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最終章 目覚める神
第307話 プロミネンス
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月の魔女とよばれるまで
第307話 プロミネンス
Cランクモンスター30体がこちらになだれ込んでくるが、既に迎撃態勢は整っている。いつもの通り補助魔法を展開し、相手から仕掛けてきたところで戦闘開始。
デスハウンドとの戦いはもう慣れたもので、ミリアの白の直刀が次々と閃く。気付いた時には、デスハウンドが上下真っ二つにされた状態で積み上がる。交錯する間を使って一気に切り裂いているのだ。
一気に数を減らしたデスハウンドに業を煮やしたのかオーガが出てくる。が、そちらはガレムが抑えに回った。同じパワータイプではあるが、やはり反応速度などを換算するとガレムの方が圧倒的に早い。無駄な動きをせずに、炭素鋼の斧で次々とオーガを両断していく。
パウエルとヘレナもガレムの方に行かなかったオーガと戦ってはいるが危なげは全くない。沙更の補助魔法二種がきっちり掛かっている上に、二人とも慣れた手つきで対峙する。今の装備なら苦戦はしないと分かっているからだろう。
もし傷ついたとしても沙更の治癒魔法で、治すことは可能だったから。そうだとしても傷すら作らずに、30体のCランクモンスターを倒したのは戦闘開始から30分以内のことでやはり経験を積んでいるのがよく分かった。
Cランクモンスター30体を倒して、ほっとしたところに再度沙更の探査魔法にモンスターが引っかかった。今度はBランクモンスターを含んだ100体以上の群れ。流石に、このままここで迎撃というわけにはいかない。
「流石に、ここまで来れば一気にモンスターを放出するのも相手の手でしょうか?どちらにしても悪手な気がしますが……」
「でも、Bランクモンスター込み100体以上ならあたしたちだけじゃ厳しいよ?」
「ここで、新しい魔法を使うつもりです。新しいものですから、私より後ろに居てくださいね」
沙更の言葉に、ミリアが頷く。元より、沙更の魔法は他の魔法士とは一口も二口も違うだけに、その言葉に従うのが一番だと知っていた。
沙更はおもむろにスターサファイアのロッドを取り出して、初めて使う魔法のイメージを膨らませる。恒星から吹き出すプロミネンスそのものをここに呼び出すのだから。
かなりの速度で近づくモンスター達の周囲に巨大な魔方陣が描かれる。沙更の魔力に応じて自動的に描かれたそれは、その魔法がどれだけの魔力を使っているかの指針であった。
周囲数キロに描かれる魔方陣だけでも魔力消費量は数百万を下らないだろう。が、さらにそこから一気に磁力線が解き放たれて、アルファ線が撒き散らかされたところで恒星のガスが吹き上がっていく。そこまでの事象を呼び出す時点で、どこまで魔力を食っているのかはミリア達には分からない。
見ている間にも、高温のガスが魔方陣全体に吹き上がるとモンスターを一気に巻き込んでいく。Bランクモンスターとは言えど、一万℃近い高熱では耐えきれない。炎の属性を持つモンスターはこの集団には含まれていないだけに、この温度は致命的だった。
周囲全体を真っ赤な炎がモンスター達を飲み込み、もの凄い高さまで吹き上がり、再度魔方陣に飲み込まれて消えるまでほんの僅かな間だったが、その魔法が消えた時にはモンスターたちの姿は消えていて、モンスターの姿があったところには魔石が転がり落ちていた。
第307話 プロミネンス
Cランクモンスター30体がこちらになだれ込んでくるが、既に迎撃態勢は整っている。いつもの通り補助魔法を展開し、相手から仕掛けてきたところで戦闘開始。
デスハウンドとの戦いはもう慣れたもので、ミリアの白の直刀が次々と閃く。気付いた時には、デスハウンドが上下真っ二つにされた状態で積み上がる。交錯する間を使って一気に切り裂いているのだ。
一気に数を減らしたデスハウンドに業を煮やしたのかオーガが出てくる。が、そちらはガレムが抑えに回った。同じパワータイプではあるが、やはり反応速度などを換算するとガレムの方が圧倒的に早い。無駄な動きをせずに、炭素鋼の斧で次々とオーガを両断していく。
パウエルとヘレナもガレムの方に行かなかったオーガと戦ってはいるが危なげは全くない。沙更の補助魔法二種がきっちり掛かっている上に、二人とも慣れた手つきで対峙する。今の装備なら苦戦はしないと分かっているからだろう。
もし傷ついたとしても沙更の治癒魔法で、治すことは可能だったから。そうだとしても傷すら作らずに、30体のCランクモンスターを倒したのは戦闘開始から30分以内のことでやはり経験を積んでいるのがよく分かった。
Cランクモンスター30体を倒して、ほっとしたところに再度沙更の探査魔法にモンスターが引っかかった。今度はBランクモンスターを含んだ100体以上の群れ。流石に、このままここで迎撃というわけにはいかない。
「流石に、ここまで来れば一気にモンスターを放出するのも相手の手でしょうか?どちらにしても悪手な気がしますが……」
「でも、Bランクモンスター込み100体以上ならあたしたちだけじゃ厳しいよ?」
「ここで、新しい魔法を使うつもりです。新しいものですから、私より後ろに居てくださいね」
沙更の言葉に、ミリアが頷く。元より、沙更の魔法は他の魔法士とは一口も二口も違うだけに、その言葉に従うのが一番だと知っていた。
沙更はおもむろにスターサファイアのロッドを取り出して、初めて使う魔法のイメージを膨らませる。恒星から吹き出すプロミネンスそのものをここに呼び出すのだから。
かなりの速度で近づくモンスター達の周囲に巨大な魔方陣が描かれる。沙更の魔力に応じて自動的に描かれたそれは、その魔法がどれだけの魔力を使っているかの指針であった。
周囲数キロに描かれる魔方陣だけでも魔力消費量は数百万を下らないだろう。が、さらにそこから一気に磁力線が解き放たれて、アルファ線が撒き散らかされたところで恒星のガスが吹き上がっていく。そこまでの事象を呼び出す時点で、どこまで魔力を食っているのかはミリア達には分からない。
見ている間にも、高温のガスが魔方陣全体に吹き上がるとモンスターを一気に巻き込んでいく。Bランクモンスターとは言えど、一万℃近い高熱では耐えきれない。炎の属性を持つモンスターはこの集団には含まれていないだけに、この温度は致命的だった。
周囲全体を真っ赤な炎がモンスター達を飲み込み、もの凄い高さまで吹き上がり、再度魔方陣に飲み込まれて消えるまでほんの僅かな間だったが、その魔法が消えた時にはモンスターたちの姿は消えていて、モンスターの姿があったところには魔石が転がり落ちていた。
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