月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

第301話 今後を見据えて

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月の魔女とよばれるまで

第301話 今後を見据えて

 開拓村からエアウォークの加速を使い、大森林側からエンシェントゲートまで戻ってくるころには既に日が沈む時間になっていた。

 それでも、冒険者ギルドの支部の扉は開いている。それが分かっているからこそ、戻ってそのままギルドに向かう。偵察で手に入れた情報をカタリーナに流して貰うため。

 少なくても正確な情報が必要だった。それがあるかないかは、今後の防衛戦を左右してしまうからだ。

 慌ただしくギルドに入ったものだから、中にいた冒険者が振り返るがパウエル達を見て何かがあった事を察したらしくこちらの様子をうかがっていた。

 そんな中、パウエル達は受付嬢がいるカウンターへと動くと丁度顔見知りの受付嬢が出てきた。昨日対応してくれた人だったため、逆に好都合と言って良かった。

 受付嬢は、パウエル達を見るといつものように話しかけて来た。

「何かクエストでも受けていらっしゃいましたか?」

「モンスターの氾濫の件で話がある。個室を貸して貰えないか?」

 パウエルの言葉に、受付嬢は個室を借りる手続きをしてくれる。ギルド支部の支部長もそこに呼んでくれると言うので、頼むことにした。

 エンシェントゲートのギルド支部の支部長は、今来ているBランク冒険者パーティーの荒野の狼に呼ばれたと受付嬢から聞いて、執務室から出てきてくれた。30代半ばくらいだろうか、元冒険者のようで引き締まった身体をしている。前衛職だったのだろうと推測出来た。

「君たちがBランク冒険者のパーティー荒野の狼か、優秀だとルーカから聞いているよ」

 支部長の言葉に、パウエルは首を振る。自分たちで出来る事をしただけであり、沙更のフォローがあってこそなのは言うまでも無かった。

「開拓村を偵察してきたが、既に西も東もモンスターによって壊滅していた」

「なに!?もう、モンスターがそこまでやってきているだと!?」

 パウエルの言葉に、支部長が慌てた様子を見せる。予想よりもモンスターたちの進軍速度が速いからだ。少なくても後数日は持つだろうと思っていただけに、完全に描いていたシナリオが崩れた瞬間だった。

 今すぐに攻めてくると言う話では無いが、開拓村が両方とも壊滅したとなるとエンシェントゲートを放棄することを考えなければならない。少なくても、ここに居る戦力でモンスターの氾濫を食い止めようがなかった。

 パウエル達でも相当荷が重いだけに、他の冒険者では完全に力不足も良いところである。実際で言うならBランクではモンスターの氾濫の戦力にはなれど、主力にはなれない程度でしかない。

 それが主戦力にならざるを得ない時点で、どれだけ戦力が不足しているか分かろうというもの。しかも領主の軍すら到着していないのだ。町を守れるかどうかすら怪しかった。
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