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新たなる住処
第223話 神の制限
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月の魔女とよばれるまで
第223話 神の制限
異形の者を強制送還した後、月女神はパウエル達の側へと向かった。
異界の神も現れる事態となったが、月女神が事態を収拾してくれたおかげでなんとかなったが正しい。が、疑問に残るところもあった。そう、異形の者の扱いである。
「私の力を振るいやすいように動いてくれたことありがとう」
「月女神様に助けて貰ったのはこちらだからそのくらいは当然かなと思う。でも、月女神様どうして異界の神様は切ったのに、異形の者は送り返すだけにしたのはどうしてかなって」
ミリアの問いに、月女神は答えた。
「そもそも、神には制限がつきまとうのです。対神ならいざ知らず、異世界の生き物に対して直接攻撃をするのは神々の制限事項によって禁じられています。なので、送り返すのが精一杯と言うのが本当のところなのですよ。神が異界にやってきて大暴れをし、その世界を壊したと言うのが太古の昔横行したので、そう言う制限が設けられたとそう言うことなのです」
さらっと答える月女神に、パウエル達は目を丸くする。そういう所はぼかすのだろうと思っていたからだ。だが、月女神は一回肉体が滅んでいるため、今は神として存在していない格好になっている。それだけに、制限事項を伝えるくらいならば問題がないらしい。
「今はいない存在になっていますから、神の制限もかなり外れているのです。本当ならば、手出しするのも本来ならば禁止事項ですが異界の神が出てきたことでその制限も外れてしまったのが功を奏したと言えます」
パウエル達からしてみたら、神はもっと自由なのだと思っていただけにかなりの禁止事項があると聞いて、神も大変なんだと思わざるを得ない。
月女神としてみれば、人間にそう思われていたと言うことだけでも十分価値があることだった。こうやって人と直接交わる等と言うことは神の座に居た時には考えられなかったからだ。
強いて例外があるとすれば、エーベルと会う時くらい。それでもかなりの制限がつきまとっていた。それだけに、こうやって自由に人の意思を聞くことが出来ると言うのはあることではなかった。
それに、月女神は実際この世界を生んだ創造神が生み出した神では無い。創造神と同レベルの神であり、この世界の誕生から見守り続けている旧神。それだけに、異界の神ですらあっさり倒せるのはそれだけ神としての格が違いすぎるからと言えた。
「さて、そろそろセーナに身体を返さないといけません。ずっとわたくしが使うわけには行きませんし、貴女方もそれを望むとは思いませんから」
月女神はそれだけを言うとその存在を沙更の中へと押し込める。代わりに表に出てきた沙更は苦笑を浮かべるしか無かった。
そこまで急に変わらなくても、少しぐらいのわがままを言う権利は月女神にもあると思っていたから。
第223話 神の制限
異形の者を強制送還した後、月女神はパウエル達の側へと向かった。
異界の神も現れる事態となったが、月女神が事態を収拾してくれたおかげでなんとかなったが正しい。が、疑問に残るところもあった。そう、異形の者の扱いである。
「私の力を振るいやすいように動いてくれたことありがとう」
「月女神様に助けて貰ったのはこちらだからそのくらいは当然かなと思う。でも、月女神様どうして異界の神様は切ったのに、異形の者は送り返すだけにしたのはどうしてかなって」
ミリアの問いに、月女神は答えた。
「そもそも、神には制限がつきまとうのです。対神ならいざ知らず、異世界の生き物に対して直接攻撃をするのは神々の制限事項によって禁じられています。なので、送り返すのが精一杯と言うのが本当のところなのですよ。神が異界にやってきて大暴れをし、その世界を壊したと言うのが太古の昔横行したので、そう言う制限が設けられたとそう言うことなのです」
さらっと答える月女神に、パウエル達は目を丸くする。そういう所はぼかすのだろうと思っていたからだ。だが、月女神は一回肉体が滅んでいるため、今は神として存在していない格好になっている。それだけに、制限事項を伝えるくらいならば問題がないらしい。
「今はいない存在になっていますから、神の制限もかなり外れているのです。本当ならば、手出しするのも本来ならば禁止事項ですが異界の神が出てきたことでその制限も外れてしまったのが功を奏したと言えます」
パウエル達からしてみたら、神はもっと自由なのだと思っていただけにかなりの禁止事項があると聞いて、神も大変なんだと思わざるを得ない。
月女神としてみれば、人間にそう思われていたと言うことだけでも十分価値があることだった。こうやって人と直接交わる等と言うことは神の座に居た時には考えられなかったからだ。
強いて例外があるとすれば、エーベルと会う時くらい。それでもかなりの制限がつきまとっていた。それだけに、こうやって自由に人の意思を聞くことが出来ると言うのはあることではなかった。
それに、月女神は実際この世界を生んだ創造神が生み出した神では無い。創造神と同レベルの神であり、この世界の誕生から見守り続けている旧神。それだけに、異界の神ですらあっさり倒せるのはそれだけ神としての格が違いすぎるからと言えた。
「さて、そろそろセーナに身体を返さないといけません。ずっとわたくしが使うわけには行きませんし、貴女方もそれを望むとは思いませんから」
月女神はそれだけを言うとその存在を沙更の中へと押し込める。代わりに表に出てきた沙更は苦笑を浮かべるしか無かった。
そこまで急に変わらなくても、少しぐらいのわがままを言う権利は月女神にもあると思っていたから。
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