213 / 365
新たなる住処
第197話 孤児院への後押し
しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで
第197話 孤児院への後押し
孤児達に葉野菜と干し肉のシチューを振る舞う。その間にもパウエル達は、ジャガ種のジャガバターを食べていた。沙更も口にするが、やはり蒸してそこまで時間が経っていない事とジャガ種自体にある程度の甘みがあることで、塩バターの味が引き立っていた。
「やっぱり、ジャガ種は蒸した方がおいしいですね。チーズとかがあれば、また別のを考えてもいいかもです」
「流石にセーナちゃんの料理はおいしいよね。ジャガ種はここらで取れるけど、余り人気が無いんだよ」
「芽に毒があるってことだけを知られてて、その件で口に入れるのをはばかる形だったな」
「でも、こうやって調理できる事が分かれば売れるんじゃねえの?むしろ、これからじゃねえ?」
「セーナちゃんの料理スキルで、食べられないと思われていたものもあっさり食材として使われている当たりがすごいわよね。どれだけの事をしているか想像が付かないわ」
ホクホクのジャガバターを次々とほおばる男性陣。ミリアとヘレナも一つ丸々食べ終わっていた。なんだかんだで、十分いけるらしい。
孤児達に振る舞った葉野菜と干し肉のシチューは、牛乳の甘みと葉野菜や干し肉のうま味を引き出していて寸胴鍋一つ丸々作ったのだが、おかわりが相次いだことでそんなに時間が掛からずに消えてしまった。
みんな、お腹をいつも減らしていることからここまでしっかり食べられること自体が珍しいことのようだ。
そんな様子を見ていて、シスターヴァレリーは沙更に深々と頭を下げていた。
「ありがとうございます。孤児達に満足にご飯を上げられない状況で、ここまでご奉仕して貰うことになるなんて思いも寄りませんでした」
「えっと、シスターヴァレリー頭を上げてください。孤児院の経営が厳しいのはミリアお姉さんから聞いています。それに、私もここの改善に力を貸すことにしました。なので、お礼を言うのは良くなってからでお願いします。今できることをやらないと孤児院の立て直しも出来ませんから」
沙更はそれだけ言うとミリアの顔を見る。沙更からの視線を受けて、ミリアはシスターヴァレリーに金貨が入った革袋を差し出した。
「シスターヴァレリー、当座の資金でこの金額を渡しておくね。ちなみに、返却は受け付けないからそのつもりで」
「ミリア、貴女…。ごめんなさいね、ここのために頑張っているのは分かっているの。だけど、この子達すら飢える状況にしてしまった」
「シスターが頑張ってなかったわけが無いでしょう?あれだけ働いていて、それでも経営が苦しくていつも悩んでいたのを知っているよ。だから、少しでもこのお金を役立てて欲しい」
差し出された革袋をミリアから受け取ったシスターヴァレリーは、革袋に入っていた金額の量に驚くしかなかった。革袋の中身は金貨10枚。孤児院の一年以上の収入が入っていたからだ。
第197話 孤児院への後押し
孤児達に葉野菜と干し肉のシチューを振る舞う。その間にもパウエル達は、ジャガ種のジャガバターを食べていた。沙更も口にするが、やはり蒸してそこまで時間が経っていない事とジャガ種自体にある程度の甘みがあることで、塩バターの味が引き立っていた。
「やっぱり、ジャガ種は蒸した方がおいしいですね。チーズとかがあれば、また別のを考えてもいいかもです」
「流石にセーナちゃんの料理はおいしいよね。ジャガ種はここらで取れるけど、余り人気が無いんだよ」
「芽に毒があるってことだけを知られてて、その件で口に入れるのをはばかる形だったな」
「でも、こうやって調理できる事が分かれば売れるんじゃねえの?むしろ、これからじゃねえ?」
「セーナちゃんの料理スキルで、食べられないと思われていたものもあっさり食材として使われている当たりがすごいわよね。どれだけの事をしているか想像が付かないわ」
ホクホクのジャガバターを次々とほおばる男性陣。ミリアとヘレナも一つ丸々食べ終わっていた。なんだかんだで、十分いけるらしい。
孤児達に振る舞った葉野菜と干し肉のシチューは、牛乳の甘みと葉野菜や干し肉のうま味を引き出していて寸胴鍋一つ丸々作ったのだが、おかわりが相次いだことでそんなに時間が掛からずに消えてしまった。
みんな、お腹をいつも減らしていることからここまでしっかり食べられること自体が珍しいことのようだ。
そんな様子を見ていて、シスターヴァレリーは沙更に深々と頭を下げていた。
「ありがとうございます。孤児達に満足にご飯を上げられない状況で、ここまでご奉仕して貰うことになるなんて思いも寄りませんでした」
「えっと、シスターヴァレリー頭を上げてください。孤児院の経営が厳しいのはミリアお姉さんから聞いています。それに、私もここの改善に力を貸すことにしました。なので、お礼を言うのは良くなってからでお願いします。今できることをやらないと孤児院の立て直しも出来ませんから」
沙更はそれだけ言うとミリアの顔を見る。沙更からの視線を受けて、ミリアはシスターヴァレリーに金貨が入った革袋を差し出した。
「シスターヴァレリー、当座の資金でこの金額を渡しておくね。ちなみに、返却は受け付けないからそのつもりで」
「ミリア、貴女…。ごめんなさいね、ここのために頑張っているのは分かっているの。だけど、この子達すら飢える状況にしてしまった」
「シスターが頑張ってなかったわけが無いでしょう?あれだけ働いていて、それでも経営が苦しくていつも悩んでいたのを知っているよ。だから、少しでもこのお金を役立てて欲しい」
差し出された革袋をミリアから受け取ったシスターヴァレリーは、革袋に入っていた金額の量に驚くしかなかった。革袋の中身は金貨10枚。孤児院の一年以上の収入が入っていたからだ。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
闇黒の少年と光の少女
如月 八雲
ファンタジー
「人間は私利私欲の塊であり、自分の利益の為ならば手段を選ばないし、簡単に裏切るものだ…、君も、そして僕自身も。そして、僕は人間の欲望を糧として生き、僕もまた自分の欲望満たす為に生きる。そして、自分の大切なものは自分で守る、自分から手放すのは愚の骨頂だ!」
剣と魔法、科学が存在する異世界ティエラへ転生した少年は、その意思・観念を胸に秘めて生きて来た。
少女と出会い、少年は巻き込まれ、世界は動き始めた。
夜神黄泉 謀殺・隠密担う下級貴族、夜神子爵家の4男に転生した少年、12歳。悪魔、七つの大罪の力を授かる。幼少期より隠密・暗殺術を身につけられ、任務遂行の為には、人を殺めることも躊躇しない。冒険者ギルドに入り、後、大和皇国特殊任務隊(YSMOT)に仕官することとなる。他人の悪意等ネガティブな感情を察知することには長けるが、好意等に対しては超がつく鈍感。
後に、‘漆黒の無慈悲なる死神’と呼ばれる。
「相手をやらなかったら、僕がやられる。僕には守りたいもの、守らなければいけないものがあるんだ!
さようなら、私の初恋。あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
乙女ゲームの世界に転生したと思ったらモブですらないちみっこですが、何故か攻略対象や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛されています
真理亜
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら...モブですらないちみっこでした。
なのに何故か攻略対象者達や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛されています。
更に更に変態銀髪美女メイドや変態数学女教師まで現れてもう大変!
変態が大変だ! いや大変な変態だ!
お前ら全員ロ○か!? ロ○なんか!? ロ○やろぉ~!
しかも精霊の愛し子なんて言われちゃって精霊が沢山飛んでる~!
身長130cmにも満たないちみっこヒロイン? が巻き込まれる騒動をお楽しみ下さい。
操作ミスで間違って消してしまった為、再掲しております。ブックマークをして下さっていた方々、大変申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる