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領都へ
第108話 古びた砦で2
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月の魔女とよばれるまで
第108話 古びた砦で2
古びた砦の入り口から普通に入った沙更たちだったが、すぐ後ろにある鋼鉄の扉はかなりさび付いているらしく、開ける際に出るきしむ音がかなり大きい。その音が盗賊たちの聞こえないかとひやひやするけれど、そんな近くにはいないようで近寄ってくる気配が無い。
「かなり甲高い音が鳴ったのに、気付く様子がないですね。かなり奥に居ると思った方が良いのかも」
「そっちの方があたしたちに取っては好都合だけどね。それにしても、結構崩れたりしてるね」
古びた砦は、流石に老朽化が激しい。一部分崩れたりしているところがある。それでも、まだ使える辺りは作った当時に堅牢に造ったということなのだろう。
ミリアを先頭に、いつもの陣形を組みつつも先へと歩いて行く。見張りすらいないあたり、ここに攻め込まれることを排除しているとしか思えなかった。
その頃、盗賊たちは出て行った手下たちが戻ってこないことにようやく気付いた。
「おい、あいつら遅くねえか?」
「そう言えば、15人くらいで冒険者が4人くらいとか言ってなかったか?」
「たった四人の冒険者に返り討ちに遭ったって言うのか!?」
「もしかしたら、戦利品の女どもを味わってて遅いって落ちかもですが」
「それなら尚更絞めねえとダメじゃねえか!俺様より先に戦利品に手を付けるなと言ってあったよな!?」
盗賊の頭の怒気をはらんだ言葉に、手下達は冷や汗を流す。盗賊の頭は短気なだけに、怒らせたら手が付けられなくなる上に止められる人間がここには居なかった。
「まあいい、あいつらの状況をちょっと見てこい」
「一人で大丈夫ですかねえ?」
「ここに残ってるのが俺と他4人しか居ねえじゃねえか!!とっとと行ってこい!!」
盗賊の頭にどやされつつも一人の盗賊が出口に向かって動き始めた。
ミリアは、前から来る足音と気配に気付いて、パウエル達に知らせる。
「前から盗賊が一人、こっちに来るよ」
「で、どうすると言うほどのことも無い。始末するのが一番だろう」
ミリアの報告に、パウエルはあっさりとそう言った。実質、ここに盗賊退治に来ているのだから逃がすつもりは毛頭無い。それに、たった一人で出てくると言うのならそれは好都合と言う物だ。
前から来る盗賊をパウエル達は待ち伏せする。
盗賊が一人、鋼鉄の扉に近づいたところで異変に気付いた。
「扉が動かされてるだと!?まさか…」
そこまで言ったところで、後ろからパウエルの魔鉄の青い剣が振るわれる。魔鉄だけに、盗賊をあっさりと切り払った。物言わぬ屍になったところで、先を進む。
さらに、奥に歩いて行くがそれでも盗賊の姿はない。一番奥にいるのが確定となったところで、ミリアの気配察知に引っかかる部分を見つけた。
第108話 古びた砦で2
古びた砦の入り口から普通に入った沙更たちだったが、すぐ後ろにある鋼鉄の扉はかなりさび付いているらしく、開ける際に出るきしむ音がかなり大きい。その音が盗賊たちの聞こえないかとひやひやするけれど、そんな近くにはいないようで近寄ってくる気配が無い。
「かなり甲高い音が鳴ったのに、気付く様子がないですね。かなり奥に居ると思った方が良いのかも」
「そっちの方があたしたちに取っては好都合だけどね。それにしても、結構崩れたりしてるね」
古びた砦は、流石に老朽化が激しい。一部分崩れたりしているところがある。それでも、まだ使える辺りは作った当時に堅牢に造ったということなのだろう。
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その頃、盗賊たちは出て行った手下たちが戻ってこないことにようやく気付いた。
「おい、あいつら遅くねえか?」
「そう言えば、15人くらいで冒険者が4人くらいとか言ってなかったか?」
「たった四人の冒険者に返り討ちに遭ったって言うのか!?」
「もしかしたら、戦利品の女どもを味わってて遅いって落ちかもですが」
「それなら尚更絞めねえとダメじゃねえか!俺様より先に戦利品に手を付けるなと言ってあったよな!?」
盗賊の頭の怒気をはらんだ言葉に、手下達は冷や汗を流す。盗賊の頭は短気なだけに、怒らせたら手が付けられなくなる上に止められる人間がここには居なかった。
「まあいい、あいつらの状況をちょっと見てこい」
「一人で大丈夫ですかねえ?」
「ここに残ってるのが俺と他4人しか居ねえじゃねえか!!とっとと行ってこい!!」
盗賊の頭にどやされつつも一人の盗賊が出口に向かって動き始めた。
ミリアは、前から来る足音と気配に気付いて、パウエル達に知らせる。
「前から盗賊が一人、こっちに来るよ」
「で、どうすると言うほどのことも無い。始末するのが一番だろう」
ミリアの報告に、パウエルはあっさりとそう言った。実質、ここに盗賊退治に来ているのだから逃がすつもりは毛頭無い。それに、たった一人で出てくると言うのならそれは好都合と言う物だ。
前から来る盗賊をパウエル達は待ち伏せする。
盗賊が一人、鋼鉄の扉に近づいたところで異変に気付いた。
「扉が動かされてるだと!?まさか…」
そこまで言ったところで、後ろからパウエルの魔鉄の青い剣が振るわれる。魔鉄だけに、盗賊をあっさりと切り払った。物言わぬ屍になったところで、先を進む。
さらに、奥に歩いて行くがそれでも盗賊の姿はない。一番奥にいるのが確定となったところで、ミリアの気配察知に引っかかる部分を見つけた。
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