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第102話 盗賊との遭遇3
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月の魔女とよばれるまで
第102話 盗賊との遭遇3
盗賊たちが近づく中、沙更はパウエル達にマイティアップを唱え終わる。その魔法だけで、冒険者ランクを一つ上乗せできる効力と言うだけでもしゃれにならない。
そもそも、元々がCランク成り立てとは言えBランク並みの腕を持っていたりと荒野の狼は冒険者達の中でも出世株であった。それが、古代遺跡での出来事により更に成長していたのだから、盗賊たちに取っては厳しい状況になっていた。
「盗賊だろうがモンスターだろうが、セーナちゃんは通常仕様だな」
パウエルは、沙更が魔法を次々とかけていくのを見ていた。ある意味、いつも通りと言えなくは無い。しかし、沙更の支援魔法があるからこそ、盗賊を相手に立ち回りをする気になったと言える。
盗賊たちが来るまでの間に、沙更の支援魔法はパウエル達に行き渡っている。この状態で、盗賊と当たれることは幸運だとパウエル達は思う。普通、盗賊との戦いは余程のことが無ければ遭遇戦であり、ここまで距離を開けて準備できることなどまれなのだから。
「本当に、セーナちゃんには感謝しかないんだよね。魔法のおかげで、どれだけ楽になっているか分かるから」
「ミリアお姉さん、怪我をしたら戻ってきてくださいね。下手な怪我ならすぐに治せますから」
沙更の言葉に嘘は無い。ヒールしか覚えていないとは言え、パウエル達が負った大怪我ですら治して見せた実績があるからだ。
その言葉にミリアだけでなく、パウエル達も頷く。
その話が終わった頃、ミリアの気配察知でも盗賊たちを確認できるようになってきた。
「そろそろ来る。完全支援されてるあたし達が相手だから相手にとっては災難かもね」
「ミリアのスキル範囲内か、どこから弓が飛んでくるかわからない。下手に動くなよ?」
「弓矢程度なら、私がなんとかします。ある程度の距離は防げるようにしますから、余り離れないでくださいね」
沙更の言葉に、ヘレナが呆れた顔をするのもいつものことである。古代魔法士の英知を受け継ぐことで、知っている魔法の数は多分現代魔法士よりも遙かに多い。そして、その大半を使いこなせるのが古代魔法士なのだから。
そのまま、沙更は弓矢を防御する風をイメージして魔法を唱える。ウィンドプロテクション、弓矢だけじゃなく風魔法からも守ってくれる風の幕を作り出していた。
遠距離で弓矢以外の攻撃は、この世界だと魔法しか無い。が、盗賊たちに魔法の心得があるとは思えなかった。どうしても、遠距離攻撃や支援が出来る魔法士がいるといないとではかなりの落差が出るのはいつものことだった。
第102話 盗賊との遭遇3
盗賊たちが近づく中、沙更はパウエル達にマイティアップを唱え終わる。その魔法だけで、冒険者ランクを一つ上乗せできる効力と言うだけでもしゃれにならない。
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「盗賊だろうがモンスターだろうが、セーナちゃんは通常仕様だな」
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盗賊たちが来るまでの間に、沙更の支援魔法はパウエル達に行き渡っている。この状態で、盗賊と当たれることは幸運だとパウエル達は思う。普通、盗賊との戦いは余程のことが無ければ遭遇戦であり、ここまで距離を開けて準備できることなどまれなのだから。
「本当に、セーナちゃんには感謝しかないんだよね。魔法のおかげで、どれだけ楽になっているか分かるから」
「ミリアお姉さん、怪我をしたら戻ってきてくださいね。下手な怪我ならすぐに治せますから」
沙更の言葉に嘘は無い。ヒールしか覚えていないとは言え、パウエル達が負った大怪我ですら治して見せた実績があるからだ。
その言葉にミリアだけでなく、パウエル達も頷く。
その話が終わった頃、ミリアの気配察知でも盗賊たちを確認できるようになってきた。
「そろそろ来る。完全支援されてるあたし達が相手だから相手にとっては災難かもね」
「ミリアのスキル範囲内か、どこから弓が飛んでくるかわからない。下手に動くなよ?」
「弓矢程度なら、私がなんとかします。ある程度の距離は防げるようにしますから、余り離れないでくださいね」
沙更の言葉に、ヘレナが呆れた顔をするのもいつものことである。古代魔法士の英知を受け継ぐことで、知っている魔法の数は多分現代魔法士よりも遙かに多い。そして、その大半を使いこなせるのが古代魔法士なのだから。
そのまま、沙更は弓矢を防御する風をイメージして魔法を唱える。ウィンドプロテクション、弓矢だけじゃなく風魔法からも守ってくれる風の幕を作り出していた。
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