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第84話 ゴブリンとの遭遇4
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月の魔女とよばれるまで
第84話 ゴブリンとの遭遇4
実際、ゴブリンジェネラルはCクラス相当だし、ゴブリンロードはBクラス相当。そして、ゴブリンキングはAクラス相当として登録されているのだから。下手な冒険者のパーティーでは壊滅必死であり、高名な冒険者のパーティーを呼ぶのが一般的だった。
この時点で、本来ならば荷が勝ちすぎているわけなのだが、沙更がいることとミリアの腕が格段に向上したことで、対処できるレベルまで来ていたのだった。
実際、ミリアは白の直刀でゴブリンたちを寄せ付けない。舞を舞うような動きで、次々とゴブリンたちを斬り倒していく。1回の動きで、ゴブリンを二匹以上始末していく様は、単なる盗賊の動きで出来ることではなかった。パウエルが動きが違うと言わしめるだけはあったと言うことであり、それだけ身軽という証でもあった。
ミリアが舞を舞うなら、パウエルは不動と言うべきだろう。完全にゴブリンたちから仕掛けさせて、こちらの動きを最小限にとどめる。なおかつ、相手の動きを利用した斬撃は見事というしかない。最小限の動きで、次々とゴブリンを切り捨てていく。
そういう点では、ガレムは剛であった。炭素鋼の斧の一振りで、確実にゴブリンを仕留める。斧の重みもそうだが、切れ味も単なる鋼に比べれば上がっているのがよく分かる。
時おり、セーナの方へ向かおうとするゴブリンにヘレナのメイスが振り下ろされ、迎撃していく。魔鉄のメイスになったことで、ヘレナの非力をカバーしてくれているようだ。一発でゴブリンの頭を潰していく。
一回出てきたホブゴブリンに、ゴブリンメイジとゴブリンアーチャーが現れる。段々と巣に近づいていることを編成で納得する形だ。
ホブゴブリンがミリアを見て、ニタアと笑みを浮かべる。その間に、メイジとアーチャーが弓矢と魔法で遠距離攻撃を仕掛けてくるが、それに対応したのは沙更だった。
多数のメイジとアーチャー相手に、たった一人で遠距離戦を繰り広げる。
ゴブリンメイジから放たれるファイアーボールとゴブリンアーチャーからの弓矢を沙更は、スターサファイアのロッドから放つシャイニングアローで全てを迎撃した。その数30。
光の矢が、炎と矢を消滅させていく様は綺麗と称するに相応しい。実際、現代魔法士ではそれだけの数を出すことも、そして迎撃することも出来ない。が、沙更の魔力ならばこのくらいのことは容易かった。
矢と魔法を一気に迎撃されたゴブリンメイジとアーチャーは、余りのことに驚きの表情を浮かべるがそれでも再度詠唱や矢をつがえ始めた。それに、対抗するように沙更は闇魔法のシャドウアローを古代詠唱の詠唱破棄で瞬時に仕掛けていく。
ゴブリンメイジとアーチャーの死角から襲いかかるシャドウアロー。木々の影から生まれた矢は、次々とゴブリンメイジとアーチャーを貫いていった。
一方、ホブゴブリンたちは、ミリア、パウエル、ガレムの三人を抜けきれずにいた。
「やっぱり、セーナちゃんは凄すぎるよね」
「あれだけの魔法と矢をたった一人で迎撃してのける時点でな」
「あの子に俺らは助けて貰ってばかりだぜ。まあ、それに応えなきゃな」
そう話しつつも、襲いかかるホブゴブリンをミリアは白の直刀で瞬時に対応する。太い棍棒を物ともせずに、白の直刀が閃くと倒れているのはホブゴブリンだった。縦に真っ二つに裂かれるのを見て、他のホブゴブリンが怯えた表情をする。
下手な木の棍棒くらいの堅さでは、白の直刀にひびを入れることすら敵わない。紫の大剣とやり合ったのは伊達ではないのだから。
そこに現れたのがホブゴブリンよりも大型なゴブリンジェネラルだ。ホブゴブリンから進化したその身体は、人間の倍前後あり、統率力と力を兼ね備えた存在である。下手な冒険者では返り討ちにあうほどの力を兼ね備えて、知能も高くなりある程度の知恵を働かせるほどになる。
そんな相手が立ちふさがったのだった。
第84話 ゴブリンとの遭遇4
実際、ゴブリンジェネラルはCクラス相当だし、ゴブリンロードはBクラス相当。そして、ゴブリンキングはAクラス相当として登録されているのだから。下手な冒険者のパーティーでは壊滅必死であり、高名な冒険者のパーティーを呼ぶのが一般的だった。
この時点で、本来ならば荷が勝ちすぎているわけなのだが、沙更がいることとミリアの腕が格段に向上したことで、対処できるレベルまで来ていたのだった。
実際、ミリアは白の直刀でゴブリンたちを寄せ付けない。舞を舞うような動きで、次々とゴブリンたちを斬り倒していく。1回の動きで、ゴブリンを二匹以上始末していく様は、単なる盗賊の動きで出来ることではなかった。パウエルが動きが違うと言わしめるだけはあったと言うことであり、それだけ身軽という証でもあった。
ミリアが舞を舞うなら、パウエルは不動と言うべきだろう。完全にゴブリンたちから仕掛けさせて、こちらの動きを最小限にとどめる。なおかつ、相手の動きを利用した斬撃は見事というしかない。最小限の動きで、次々とゴブリンを切り捨てていく。
そういう点では、ガレムは剛であった。炭素鋼の斧の一振りで、確実にゴブリンを仕留める。斧の重みもそうだが、切れ味も単なる鋼に比べれば上がっているのがよく分かる。
時おり、セーナの方へ向かおうとするゴブリンにヘレナのメイスが振り下ろされ、迎撃していく。魔鉄のメイスになったことで、ヘレナの非力をカバーしてくれているようだ。一発でゴブリンの頭を潰していく。
一回出てきたホブゴブリンに、ゴブリンメイジとゴブリンアーチャーが現れる。段々と巣に近づいていることを編成で納得する形だ。
ホブゴブリンがミリアを見て、ニタアと笑みを浮かべる。その間に、メイジとアーチャーが弓矢と魔法で遠距離攻撃を仕掛けてくるが、それに対応したのは沙更だった。
多数のメイジとアーチャー相手に、たった一人で遠距離戦を繰り広げる。
ゴブリンメイジから放たれるファイアーボールとゴブリンアーチャーからの弓矢を沙更は、スターサファイアのロッドから放つシャイニングアローで全てを迎撃した。その数30。
光の矢が、炎と矢を消滅させていく様は綺麗と称するに相応しい。実際、現代魔法士ではそれだけの数を出すことも、そして迎撃することも出来ない。が、沙更の魔力ならばこのくらいのことは容易かった。
矢と魔法を一気に迎撃されたゴブリンメイジとアーチャーは、余りのことに驚きの表情を浮かべるがそれでも再度詠唱や矢をつがえ始めた。それに、対抗するように沙更は闇魔法のシャドウアローを古代詠唱の詠唱破棄で瞬時に仕掛けていく。
ゴブリンメイジとアーチャーの死角から襲いかかるシャドウアロー。木々の影から生まれた矢は、次々とゴブリンメイジとアーチャーを貫いていった。
一方、ホブゴブリンたちは、ミリア、パウエル、ガレムの三人を抜けきれずにいた。
「やっぱり、セーナちゃんは凄すぎるよね」
「あれだけの魔法と矢をたった一人で迎撃してのける時点でな」
「あの子に俺らは助けて貰ってばかりだぜ。まあ、それに応えなきゃな」
そう話しつつも、襲いかかるホブゴブリンをミリアは白の直刀で瞬時に対応する。太い棍棒を物ともせずに、白の直刀が閃くと倒れているのはホブゴブリンだった。縦に真っ二つに裂かれるのを見て、他のホブゴブリンが怯えた表情をする。
下手な木の棍棒くらいの堅さでは、白の直刀にひびを入れることすら敵わない。紫の大剣とやり合ったのは伊達ではないのだから。
そこに現れたのがホブゴブリンよりも大型なゴブリンジェネラルだ。ホブゴブリンから進化したその身体は、人間の倍前後あり、統率力と力を兼ね備えた存在である。下手な冒険者では返り討ちにあうほどの力を兼ね備えて、知能も高くなりある程度の知恵を働かせるほどになる。
そんな相手が立ちふさがったのだった。
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