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領都へ
第71話 セーナの職業
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月の魔女とよばれるまで
第70話 セーナの職業
開拓村を離れたところで、パウエルは沙更に話しかけた。
「セーナちゃん、君の気持ちを俺たちは尊重する。領都まで送らせて欲しい」
「パウエルさん、ありがとうございます。その言葉に甘えさせてください」
沙更はそう言って頭を下げた。その行動に、ガレム、ミリア、ヘレナが頷く。
「助けて貰った側なんだぜ?セーナちゃんが頭を下げる必要はねえよ。だから、一緒に行こう」
「良いの、セーナちゃんはその思いを持っていてくれれば。あたしたちはセーナちゃんに恩を返す立場だから、その思いだけを言ってくれればその願いに応えるよ」
「そういうことですわ。神官として、いろいろと未熟だと教えてくれたこと感謝します。そう言う意味でも、出会えたことに感謝しないといけないのですわ」
セーナの思いに、四人が応える。この時に、新生荒野の狼のパーティーが結成された。
前衛をパウエルとガレムにミリア、中衛兼回復役のヘレナ、後衛かつ補助役と回復のセーナ。前のパーティーよりも魔法に軸が寄ったこととミリアの成長の結果、かなりバランスの良いパーティーになったのだった。
沙更の遠距離からの魔法攻撃と補助魔法、そしてミリアの変幻自在な攻撃方法。前の力押しとミリアの中距離攻撃だけだったのが、かなり多彩な戦術まで取れることになったことで、全体的に底上げされた格好だ。
本来ならば前衛パウエルとガレム、中衛をミリアとヘレナ、後衛をセーナの方が良いのだが現状のミリアの装備が前衛向きの為、こうなったのだった。
投げナイフなどもあると言えばあるのだが、使い捨てになる上になかなか一つ一つが値が張るから厳しい。かといって、弓は使い慣れていないことを考えるとどうしても前衛になる。
強いて言うと白の直刀の存在が、かなりミリアに影響していた。直刀の腕が立つことも考慮に入っている。それに、防具が幻影の衣になったことで相当底上げされていた。
今までの装備ならば、デスハウンドでもかなりの怪我を負うこともあったが、今ならばかすり傷程度まで軽減できる。さらに、幻影の衣に込められた魔力が幻影を生むことで、敵を攪乱することも出来た。
「それにしても、ミリアはセーナちゃんと出会ったことで相当成長したな。その持ってる代物のおかげなのか、俺の剣の腕を超えてないか?羨ましいと思う反面、まだまだ修行が足りないのを実感するよ」
「確かにミリア、お前大分強くなっただろ?まったく、羨ましいと思うが俺もまだまだ強くなるぜ」
「セーナちゃんが託してくれたこの剣は、あたしに守る力をくれたの。だから、リーダーの剣の腕よりも強いって言われるのかもしれないけど、あたし自身そんなに変わった気がしないんだよね。でも、動きは良くなった気がするかな?」
「ミリア、貴女もしかしてクラスチェンジしていませんの?今まで、初級職業のスカウトだったでしょう?わたくしもまだ初級職業の神官のまま。リーダーは、初級から中級にクラスチェンジしていましたわよね?」
三人が職業の話を始めた。セーナは興味深くその話を聞いていると、ふと自分の職業って何だろうと思った。
「あのう、私の職業って何になるのでしょう?」
「そういやあ、セーナちゃんは魔法に補助に回復にっていろいろ出来るよな?」
「あー、セーナちゃんならやはり魔法士じゃないか?でも、職業鑑定は冒険者ギルドじゃないと出来ないんだ。だから、今はどの職業になっているのかは分からない」
「でも、セーナちゃんの場合絶対初級魔法士じゃないのは言うまでもないよね。あれだけの魔法を使えるんだもの。魔導士とか高位職業って可能性もあり得るかな」
「神官系最高位のプリエステスの可能性も無いとは言えませんわ。あれだけの光魔法を扱えるのですから、無いとは言えません」
三人が三人して、セーナの職業はなんなのかで話し始める。だが、現状では職業判定は出来ないとのことで、妄想だけが膨らむ結果となった。
「本当にセーナちゃんは、一家に一人いれば大もうけ出来そうだから狙われそうだよね」
「あれだけ出来れば、冒険者としても治癒士としても一流だろうなあ」
「もし、俺が商人だったらセーナちゃんを養子にするぜ。で、いろいろと手助けして貰う」
「パウエル、それ犯罪だからしないで。それに、本人の許諾なしの養子とか搾り取る気満々じゃ無いの。出来ることが凄すぎて、引く手あまたなのも理解出来るし、危険度も言うまでもないから注意して欲しいわ」
どれだけセーナ一人でカバーできるかと考えると四人して、頭を抱えたくなる。一人何役なんてレベルの話では無い。権力者なら欲しがって当然のあれこれが、たった一人で全て簡単に片付けられるとすれば、群がらない訳が無いのだ。
そう話しつつも、開拓村跡から四人は領都へ向かって、セーナのウィンドウォークを唱えると同時に加速していった。古代遺跡で手に入った魔石を売るために、開拓村に近い町まで行くことにした。このままではお金も無いまま、動き続ける事になるのがわかりきっていたからだ。
第70話 セーナの職業
開拓村を離れたところで、パウエルは沙更に話しかけた。
「セーナちゃん、君の気持ちを俺たちは尊重する。領都まで送らせて欲しい」
「パウエルさん、ありがとうございます。その言葉に甘えさせてください」
沙更はそう言って頭を下げた。その行動に、ガレム、ミリア、ヘレナが頷く。
「助けて貰った側なんだぜ?セーナちゃんが頭を下げる必要はねえよ。だから、一緒に行こう」
「良いの、セーナちゃんはその思いを持っていてくれれば。あたしたちはセーナちゃんに恩を返す立場だから、その思いだけを言ってくれればその願いに応えるよ」
「そういうことですわ。神官として、いろいろと未熟だと教えてくれたこと感謝します。そう言う意味でも、出会えたことに感謝しないといけないのですわ」
セーナの思いに、四人が応える。この時に、新生荒野の狼のパーティーが結成された。
前衛をパウエルとガレムにミリア、中衛兼回復役のヘレナ、後衛かつ補助役と回復のセーナ。前のパーティーよりも魔法に軸が寄ったこととミリアの成長の結果、かなりバランスの良いパーティーになったのだった。
沙更の遠距離からの魔法攻撃と補助魔法、そしてミリアの変幻自在な攻撃方法。前の力押しとミリアの中距離攻撃だけだったのが、かなり多彩な戦術まで取れることになったことで、全体的に底上げされた格好だ。
本来ならば前衛パウエルとガレム、中衛をミリアとヘレナ、後衛をセーナの方が良いのだが現状のミリアの装備が前衛向きの為、こうなったのだった。
投げナイフなどもあると言えばあるのだが、使い捨てになる上になかなか一つ一つが値が張るから厳しい。かといって、弓は使い慣れていないことを考えるとどうしても前衛になる。
強いて言うと白の直刀の存在が、かなりミリアに影響していた。直刀の腕が立つことも考慮に入っている。それに、防具が幻影の衣になったことで相当底上げされていた。
今までの装備ならば、デスハウンドでもかなりの怪我を負うこともあったが、今ならばかすり傷程度まで軽減できる。さらに、幻影の衣に込められた魔力が幻影を生むことで、敵を攪乱することも出来た。
「それにしても、ミリアはセーナちゃんと出会ったことで相当成長したな。その持ってる代物のおかげなのか、俺の剣の腕を超えてないか?羨ましいと思う反面、まだまだ修行が足りないのを実感するよ」
「確かにミリア、お前大分強くなっただろ?まったく、羨ましいと思うが俺もまだまだ強くなるぜ」
「セーナちゃんが託してくれたこの剣は、あたしに守る力をくれたの。だから、リーダーの剣の腕よりも強いって言われるのかもしれないけど、あたし自身そんなに変わった気がしないんだよね。でも、動きは良くなった気がするかな?」
「ミリア、貴女もしかしてクラスチェンジしていませんの?今まで、初級職業のスカウトだったでしょう?わたくしもまだ初級職業の神官のまま。リーダーは、初級から中級にクラスチェンジしていましたわよね?」
三人が職業の話を始めた。セーナは興味深くその話を聞いていると、ふと自分の職業って何だろうと思った。
「あのう、私の職業って何になるのでしょう?」
「そういやあ、セーナちゃんは魔法に補助に回復にっていろいろ出来るよな?」
「あー、セーナちゃんならやはり魔法士じゃないか?でも、職業鑑定は冒険者ギルドじゃないと出来ないんだ。だから、今はどの職業になっているのかは分からない」
「でも、セーナちゃんの場合絶対初級魔法士じゃないのは言うまでもないよね。あれだけの魔法を使えるんだもの。魔導士とか高位職業って可能性もあり得るかな」
「神官系最高位のプリエステスの可能性も無いとは言えませんわ。あれだけの光魔法を扱えるのですから、無いとは言えません」
三人が三人して、セーナの職業はなんなのかで話し始める。だが、現状では職業判定は出来ないとのことで、妄想だけが膨らむ結果となった。
「本当にセーナちゃんは、一家に一人いれば大もうけ出来そうだから狙われそうだよね」
「あれだけ出来れば、冒険者としても治癒士としても一流だろうなあ」
「もし、俺が商人だったらセーナちゃんを養子にするぜ。で、いろいろと手助けして貰う」
「パウエル、それ犯罪だからしないで。それに、本人の許諾なしの養子とか搾り取る気満々じゃ無いの。出来ることが凄すぎて、引く手あまたなのも理解出来るし、危険度も言うまでもないから注意して欲しいわ」
どれだけセーナ一人でカバーできるかと考えると四人して、頭を抱えたくなる。一人何役なんてレベルの話では無い。権力者なら欲しがって当然のあれこれが、たった一人で全て簡単に片付けられるとすれば、群がらない訳が無いのだ。
そう話しつつも、開拓村跡から四人は領都へ向かって、セーナのウィンドウォークを唱えると同時に加速していった。古代遺跡で手に入った魔石を売るために、開拓村に近い町まで行くことにした。このままではお金も無いまま、動き続ける事になるのがわかりきっていたからだ。
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