月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第58話 地上に向けて22

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月の魔女とよばれるまで

第58話 地上に向けて22

三人の食事を終えるまで休憩を取る。沙更はミリアに、料理のことを話をしていた。それは、沙更としてミリアによい食事をしてほしかったからだ。

ミリアとしても沙更のやりたいことを止めたりはしない。それは意思を尊重しているからだった。

休憩後、地下三階層から地下二階層への階段までウィンドウォークで加速するともうすぐそばだった。

やはり、時折魔石が落ちていた。小粒なものが多いがそれでも拾っていく。少しでもお金が必要なのだから致し方ない面が大きい。盾を失っていたし、買い直すにもお金が必要だ。

その事を考えれば、拾っていくこと自体は自然なことであった。

強いて言うのなら、古代遺跡全て浄化するなんて力業を出来てしまった沙更が凄いと言うか、光魔法最上級であるディバインブレードが異常すぎると言うべきだろう。

この世界の人間にはあれだけの光も逆に闇を持つことが出来る程精神が強くないのだ。だから、光も闇も弱体化していく。神を排除した世界に、傑物は生まれないと言わんがばかりに。

やはりだが、地上に近づけば近づくほどモンスターは弱くなっていくようだ。地下二階層には、一番上でデスハウンドが現れてそれ以外にはオークなどのDランクモンスターになるようだった。

「この遺跡は、地下に潜れば潜るだけ難易度が上がるタイプなのですね」

「うん、そうみたい。Cランクモンスターは下位と上位で、強さの幅が広いからデスハウンドくらいならそこまで苦労しなくて良いんだけどね」

沙更のつぶやきにミリアが答える。

この世界のモンスターはCランクが一番幅が広く、次いでBランク、Dランクとなるようだ。同じランクでもかなりの幅が出てしまうのはBランクの定義が鋼の武器を弾くと言うところかららしい。

Bランク以上のモンスターと戦うならば、魔鉄の武器以上が無ければ傷さえ付けられないと言うのはそこに由来している。実際Bランクのモンスター一体で、村が滅ぶどころか町一つ滅びかねないレベルになるとミリアから教えられる。

Aランクである月女神の眷属は、下手すれば都市や小国なら滅ぼしかねないほどの力を持つ。半神まで存在を高めたことで、下手な人間では抗うのも難しい。

古代遺跡地下二階層をウィンドウォークであっさりと走破していく。元々、戻るだけならば荒野の狼のメンバーがいることでルートが分かっていると言うことが非常に大きかった。

時折魔石が落ちているのは、地下三階と同じであるがやはり地下二階の方が落ちている魔石が小さい。

そうやって歩いていると見えてきたのは地下一階への階段だった。やはり、場所が分かっているだけに早いと言うしかなかった。

「行きが怖いで、帰りが良い良いって変な感じですね」

「それをセーナちゃんが言う?そうなったの、セーナちゃんなのに」

ミリアがそう言って笑うと沙更としても悪い気はしない。ちゃんとミリア達を助けられたと言うその事実だけがそこにあるからだ。

そのまま地下一階層まで階段で上がる。徐々に地上が近づいてくるのが、肌で感じられるのは風を感じられるようになったからだろうか。
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