月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第46話 地上に向けて10

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月の魔女とよばれるまで

第46話 地上に向けて10

武器の修復と服をパウエルたちに渡したことで、ようやく動き出すことが出来るようになった。

「ようやく動けそうかな?」

「セーナちゃんに心配させたから、この装備なら大丈夫だと思うよ」

沙更のつぶやきに、ミリアが答える。いざとなれば、沙更が無茶をするつもりでいた。そこも、ミリアには見抜かれていたようだが。

「もう、セーナちゃん無茶する気だったでしょ?もう顔に出てたよ?」

「ミリアお姉さんには隠し事は出来ませんね。もしもの時に動くつもりでいただけですよ」

「大丈夫だよ、そうなる前にあたしが動くから。それに、リーダーに新しい剣があるしね」

そう二人で話していると、ガレムが口を挟んだ。

「セーナちゃんにミリアが無理することもねえだろ。ったく、そういうところ水くさいよなあ」

「それにしても、ガレムがここまで世話焼きになっている方が俺としては驚きなんだがな」

パウエルとしても、こんな状態のガレムはお目にかかったことがないらしい。基本、脳筋お兄さんが染みついていると言うか、そう言う振る舞いだったからだろうとは推測出来るのだが。

パウエルのその言葉に、ヘレナも頷く。

「普通、脳筋の貴方から気遣いの言葉が出てくるなんて思ってもみませんでしたわ」

「ったく、リーダーもヘレナもひでえな。まあ、今までの俺ならそうだっただろうよ。いろいろとあり得ない物を見せて貰ったからなあ、それのお礼ってところだぜ」

「とは言っても、ガレムの口からそう言う言葉が出ること自体が驚きだよ。セーナちゃんの魔法も驚きの連続だが、別の意味で驚かされてる」

「そこに関しては同感だけど、案外優しい奴だったと言うのは良かったのかも?セーナちゃんはそういうところを見抜いてたみたいだし、そういう点では良かったかな」

「ミリアみたいにそれなりにじゃねえし、俺が不器用なのは昔からだから直せねえよ」

二人から言われたガレムがふてくされるが、沙更はそういう風には見ていない。だからか、次の言葉を言ったのだった。

「ガレムさんは、今のままでも大丈夫ですよ。変わりたいと思うのなら、徐々に変われば良いのです。急に変化したら逆に怖いと思いませんか?」

流石にその発想は、荒野の狼のメンバーになかったらしい。沙更の言った言葉に、四人とも目を丸くしていた。

「流石セーナちゃん、ガレムにそこまで言ってあげるなんて優しいと思う」

「確かにそうだな。急に、ガレムが紳士になっても反応に困る。どうすれば良いか分からなくなるだろうし」

「そう言われるとそうね。やはり、セーナちゃんは賢いと思うわ。五歳の子からこんな言葉出るとは思わないもの」

何というか、言った沙更としてもそこまで考えて言ったわけじゃ無かったから、少し気恥ずかしい感じがしていた。
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