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古代遺跡の出来事
第33話 神刀と呼ばれし魔法
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月の魔女とよばれるまで
第33話 神刀と呼ばれし魔法
月女神との会話を終え、空間魔法が閉じるとそこは先ほどまでの古代遺跡であった。時間はどうやらほぼ動いていなかったらしい。
月女神の眷属が、あれだけの魔法を操れるのが月女神本人だと言うことに気付いたからだ。
「何故、御方が目覚めている!?」
気付いたことから、考えるに目覚めていることが分からないわけがない。だが、既に月女神の眷属は月女神とのつながりが切れていた。それだけに、気付くことも出来なかった。
「月女神様から、貴方を止めて欲しいと言われた。魔に落ちた貴方をね」
「まさか、あの時から御方との繋がりは無くなっていたと言うのか!?」
その事実に、月女神の眷属は衝撃を受けることになった。まさか、繋がりを絶たれているとは思っても居なかったからだ。認識してしまえば、余りの異常ぶりに納得するしかない。
そして、自らが神に片足を踏み込んでいることも気付く。
「御方との繋がりは絶たれていても我が神になれば同じ事」
やけになったかは分からないが神になれば、神を復活させることも出来ると思ったようだ。だが、それは出来る話ではない。しかも、意識を持たないならまだしも既に月女神は意識を取り戻している。
その状態で無理矢理器に収めると言うことがどれだけの負担をかけるかが分かっていない。それでも強行するのなら、それは敵対すると同義だと言うことにもだ。
「強引な男性は女性に嫌われますよ。神でもそれは一緒です」
沙更が静かにそう言うと同時にセーナが一気に魔力を集めていく。
(沙更お姉ちゃん、魔力をもっと集めるけど大丈夫?)
(セーナちゃん、大丈夫?余り無理はしないでね)
(大丈夫、沙更お姉ちゃんの魂に守られてるからこれくらいしか出来ないの。だから、魔力だけならセーナがどうにかするからね)
沙更の周囲に、超高濃度の魔力が集まる。セーナの魂が一気に魔力を集めている為、魔力がない人間でも容易に魔力があることを視認することすら出来る状態になっていた。
「なっ、これだけの密度の魔力を集めるなんて」
「もの凄い大技を出そうって言うのは分かるぜ。それにしても、とてつもないな」
「こんな魔力、扱いきれると言うの!?本当に、あの子は何者なの?」
パウエルやガレム、ヘレナもこれだけの魔力を集めるのを見るのは初めてだ。この時代の魔法士で、これだけの濃度の魔力を扱うことなど出来ない。沙更だから出来る荒技とも言える。
古代魔法士でも、これだけの魔力を集めての大魔法はまずもって使わないだろうからだ。
そこに、沙更がミリアに声をかける。
「ごめんなさい、ミリアお姉さん。一分だけ、時間を稼げますか?」
「セーナちゃんが必要なんでしょ?いいよ、頑張ってみる」
「ありがとうございます」
「セーナちゃんがお礼を言うことじゃないって」
ミリアはそれだけ言うと、白の直刀を握り直して月女神の眷属に向かう。
余りの濃度の魔力に、月女神の眷属は何の魔法を使うか予想が付いたがその魔法を扱えることに驚愕する。古代魔法士でも扱える人間がほぼいなかった魔法だったからだ。
「この魔力の濃度、まさか!?まさか、あの光魔法最上級である神の刃を呼ぶ気か!?させぬ、させぬぞ!!」
気付いた月女神の眷属が、紫の大剣を振るうがミリアの白の直刀に阻まれる。マイティアップの魔法の効力が凄まじいと言うしか無い。人間が神に片足を踏み込んでいる存在と互角に戦える時点で、おかしいと言うしかなかった。
紫の大剣の横から胴抜きの一撃が飛ぶが、瞬時にミリアの白の直刀が煌めいたと同時に交錯。威力を打ち消されたのを気付いた月女神の眷属が、力に任せた唐竹割りを放つ。
それに対応するように、ミリアは白の直刀を握って待ち構える。襲う唐竹割りを力の点を白の直刀を使い、動かすことで受け流した。
慌てる月女神の眷属の攻撃が荒くなっていく。一分、されど一分。ミリアはここは耐える場だと自分に言い聞かせていた。ずっと、対応しきれるとミリア自身思っていなかったからだ。
人間と神に片足を踏み入れている存在とでは、体力が違いすぎる。だが、焦りが相手にあることでなんとか防戦を仕掛けることが出来ていると本人は思っていたのだ。
そんな風に思っていたミリアが月女神の眷属から一分をもぎ取るとそこに、沙更の詠唱が聞こえてきた。
「無より生まれし光たち、我が声に応じてその姿を現せ。その力は、最高峰の光であり神の剣。全ての空間、時空をも切り裂く全の剣であり、全ての邪を討ち滅ぼす光であらん。我が名はセーナ。その力を望む者なり、目覚めよ、神刀ディバインブレード!!!」
膨大な魔力が光の巨大な剣を生み出す。神聖なる大いなる力がその剣には宿っていて、その力は時空すら切り裂く全の剣。それが四本、顕現していた。
巨大な光の刃が月女神の眷属に襲いかかった。月女神の眷属は、ここで滅ぼされるわけにはいかないと瞬時に撤退したが、ディバインブレードの力は撤退した月女神の眷属に容赦なくまぶしいばかりの光で焼いていく。
沙更の周囲がまばゆいばかりの光に覆われ、その光が消えた時には月女神の眷属は消えていた。
第33話 神刀と呼ばれし魔法
月女神との会話を終え、空間魔法が閉じるとそこは先ほどまでの古代遺跡であった。時間はどうやらほぼ動いていなかったらしい。
月女神の眷属が、あれだけの魔法を操れるのが月女神本人だと言うことに気付いたからだ。
「何故、御方が目覚めている!?」
気付いたことから、考えるに目覚めていることが分からないわけがない。だが、既に月女神の眷属は月女神とのつながりが切れていた。それだけに、気付くことも出来なかった。
「月女神様から、貴方を止めて欲しいと言われた。魔に落ちた貴方をね」
「まさか、あの時から御方との繋がりは無くなっていたと言うのか!?」
その事実に、月女神の眷属は衝撃を受けることになった。まさか、繋がりを絶たれているとは思っても居なかったからだ。認識してしまえば、余りの異常ぶりに納得するしかない。
そして、自らが神に片足を踏み込んでいることも気付く。
「御方との繋がりは絶たれていても我が神になれば同じ事」
やけになったかは分からないが神になれば、神を復活させることも出来ると思ったようだ。だが、それは出来る話ではない。しかも、意識を持たないならまだしも既に月女神は意識を取り戻している。
その状態で無理矢理器に収めると言うことがどれだけの負担をかけるかが分かっていない。それでも強行するのなら、それは敵対すると同義だと言うことにもだ。
「強引な男性は女性に嫌われますよ。神でもそれは一緒です」
沙更が静かにそう言うと同時にセーナが一気に魔力を集めていく。
(沙更お姉ちゃん、魔力をもっと集めるけど大丈夫?)
(セーナちゃん、大丈夫?余り無理はしないでね)
(大丈夫、沙更お姉ちゃんの魂に守られてるからこれくらいしか出来ないの。だから、魔力だけならセーナがどうにかするからね)
沙更の周囲に、超高濃度の魔力が集まる。セーナの魂が一気に魔力を集めている為、魔力がない人間でも容易に魔力があることを視認することすら出来る状態になっていた。
「なっ、これだけの密度の魔力を集めるなんて」
「もの凄い大技を出そうって言うのは分かるぜ。それにしても、とてつもないな」
「こんな魔力、扱いきれると言うの!?本当に、あの子は何者なの?」
パウエルやガレム、ヘレナもこれだけの魔力を集めるのを見るのは初めてだ。この時代の魔法士で、これだけの濃度の魔力を扱うことなど出来ない。沙更だから出来る荒技とも言える。
古代魔法士でも、これだけの魔力を集めての大魔法はまずもって使わないだろうからだ。
そこに、沙更がミリアに声をかける。
「ごめんなさい、ミリアお姉さん。一分だけ、時間を稼げますか?」
「セーナちゃんが必要なんでしょ?いいよ、頑張ってみる」
「ありがとうございます」
「セーナちゃんがお礼を言うことじゃないって」
ミリアはそれだけ言うと、白の直刀を握り直して月女神の眷属に向かう。
余りの濃度の魔力に、月女神の眷属は何の魔法を使うか予想が付いたがその魔法を扱えることに驚愕する。古代魔法士でも扱える人間がほぼいなかった魔法だったからだ。
「この魔力の濃度、まさか!?まさか、あの光魔法最上級である神の刃を呼ぶ気か!?させぬ、させぬぞ!!」
気付いた月女神の眷属が、紫の大剣を振るうがミリアの白の直刀に阻まれる。マイティアップの魔法の効力が凄まじいと言うしか無い。人間が神に片足を踏み込んでいる存在と互角に戦える時点で、おかしいと言うしかなかった。
紫の大剣の横から胴抜きの一撃が飛ぶが、瞬時にミリアの白の直刀が煌めいたと同時に交錯。威力を打ち消されたのを気付いた月女神の眷属が、力に任せた唐竹割りを放つ。
それに対応するように、ミリアは白の直刀を握って待ち構える。襲う唐竹割りを力の点を白の直刀を使い、動かすことで受け流した。
慌てる月女神の眷属の攻撃が荒くなっていく。一分、されど一分。ミリアはここは耐える場だと自分に言い聞かせていた。ずっと、対応しきれるとミリア自身思っていなかったからだ。
人間と神に片足を踏み入れている存在とでは、体力が違いすぎる。だが、焦りが相手にあることでなんとか防戦を仕掛けることが出来ていると本人は思っていたのだ。
そんな風に思っていたミリアが月女神の眷属から一分をもぎ取るとそこに、沙更の詠唱が聞こえてきた。
「無より生まれし光たち、我が声に応じてその姿を現せ。その力は、最高峰の光であり神の剣。全ての空間、時空をも切り裂く全の剣であり、全ての邪を討ち滅ぼす光であらん。我が名はセーナ。その力を望む者なり、目覚めよ、神刀ディバインブレード!!!」
膨大な魔力が光の巨大な剣を生み出す。神聖なる大いなる力がその剣には宿っていて、その力は時空すら切り裂く全の剣。それが四本、顕現していた。
巨大な光の刃が月女神の眷属に襲いかかった。月女神の眷属は、ここで滅ぼされるわけにはいかないと瞬時に撤退したが、ディバインブレードの力は撤退した月女神の眷属に容赦なくまぶしいばかりの光で焼いていく。
沙更の周囲がまばゆいばかりの光に覆われ、その光が消えた時には月女神の眷属は消えていた。
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