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第1章
第1章 2
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「……レイが、私のこと信じすぎてて、つらいよぉ……どうすればいいんですかぁ、葵先ぱぁい」
正直、ここまでレイが素直だと思っていなかった私は、感動やら悲しさやらがごちゃごちゃに混ざった涙を流しかけていた。
「え、えーと……もう告白しちゃえば良いんじゃないか?もう君が入学してきて一ヶ月半、君の恋愛相談にのりはじめて一ヶ月だが、レイくんは君のことを完全に信じ切っている。そう考えたら、もう、君から告白でもしない限り絶対に気づかないと思うぞ?」
「それも出来ないから困ってるんじゃないですかぁ!」
「……………………」
無言になってしまった葵先輩に、ついに涙と今までの不満があふれ出す。
「恋愛相談にのりはじめて一ヶ月ってさっき言いましたけど、ちゃんとのってくれるようになったの、つい最近じゃないですか!しかも……しかも、茜くんが私に、こ、告白してきてからじゃないですか!」
「ッ!?だ、だってそれは……」
先輩が言葉に詰まった隙に捲し立てるように言葉を並べる。
「先輩がすごいブラコンなのは知ってるんですよ!私のこと応援してるのだって茜くんが私にとられないようにするためなんだってこともなんとなく知ってるんですから!違いますか!?葵先輩!!」
私は感情の趣くまま絶対に言ってはいけない事を言ってしまったことを後悔した。
葵先輩は、重度のブラコンで、その事実はこの学園の生徒ほぼ全員に知れ渡っている。が、葵先輩にそのことを言ってはならないという暗黙のルールも同時に存在する。それは、葵先輩が壊れるからであり、それによって葵先輩のイメージが崩壊するからである。
「あの、すいません先輩今のは──」
「ち、違うもん!茜のことなんて何にも思ってないもん!」
先程までのクールさの欠片も残っていない幼さの残るような口調になった葵先輩が、ついさっきまでの私のように文句をつけてくる。
「ティナリアちゃんだって自分の好きな人にそのことを伝える事すら出来てないのに私に指図しないでよ!」
「何ですか、聞き捨てならないですね!その言葉は!決闘でもしますか!?」
二人とも気付いた時には遅かった。周りからの「何やってんだこいつら」という視線が突き刺さる。
「…………………………」
「…………………………あの」
「ひぅん!!」「ふあっ!?」
突然のチャイムで開きかけていた口から変な声が漏れる。目の前にいた葵先輩も声を出してしまい、赤面していた。ちなみに「ふあっ!?」が葵先輩です。そして、お互いの真っ赤に染まった顔を見て、笑いあっていると、スピーカーから声が響く。
『生徒諸君!今すぐ第一闘技場に集まれ!』
気まずい雰囲気をぶち壊してくれた放送に感謝しながら、私は、葵先輩と共に歩き出した。
正直、ここまでレイが素直だと思っていなかった私は、感動やら悲しさやらがごちゃごちゃに混ざった涙を流しかけていた。
「え、えーと……もう告白しちゃえば良いんじゃないか?もう君が入学してきて一ヶ月半、君の恋愛相談にのりはじめて一ヶ月だが、レイくんは君のことを完全に信じ切っている。そう考えたら、もう、君から告白でもしない限り絶対に気づかないと思うぞ?」
「それも出来ないから困ってるんじゃないですかぁ!」
「……………………」
無言になってしまった葵先輩に、ついに涙と今までの不満があふれ出す。
「恋愛相談にのりはじめて一ヶ月ってさっき言いましたけど、ちゃんとのってくれるようになったの、つい最近じゃないですか!しかも……しかも、茜くんが私に、こ、告白してきてからじゃないですか!」
「ッ!?だ、だってそれは……」
先輩が言葉に詰まった隙に捲し立てるように言葉を並べる。
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私は感情の趣くまま絶対に言ってはいけない事を言ってしまったことを後悔した。
葵先輩は、重度のブラコンで、その事実はこの学園の生徒ほぼ全員に知れ渡っている。が、葵先輩にそのことを言ってはならないという暗黙のルールも同時に存在する。それは、葵先輩が壊れるからであり、それによって葵先輩のイメージが崩壊するからである。
「あの、すいません先輩今のは──」
「ち、違うもん!茜のことなんて何にも思ってないもん!」
先程までのクールさの欠片も残っていない幼さの残るような口調になった葵先輩が、ついさっきまでの私のように文句をつけてくる。
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「何ですか、聞き捨てならないですね!その言葉は!決闘でもしますか!?」
二人とも気付いた時には遅かった。周りからの「何やってんだこいつら」という視線が突き刺さる。
「…………………………」
「…………………………あの」
「ひぅん!!」「ふあっ!?」
突然のチャイムで開きかけていた口から変な声が漏れる。目の前にいた葵先輩も声を出してしまい、赤面していた。ちなみに「ふあっ!?」が葵先輩です。そして、お互いの真っ赤に染まった顔を見て、笑いあっていると、スピーカーから声が響く。
『生徒諸君!今すぐ第一闘技場に集まれ!』
気まずい雰囲気をぶち壊してくれた放送に感謝しながら、私は、葵先輩と共に歩き出した。
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