27 / 43
26、お城にて
しおりを挟むマルキ公爵がお城に着くと、ザギル公夫人の従者が出迎えてくれました。そして公爵は、夫人の執務室へと案内されました。
「マルキ公爵か、よく来た。‥皆んな下がってくれ。」
公爵が部屋に入ると、従者も侍女も皆んなすぐに部屋から退室しました。
公爵は、目の前の母をまじまじと見つめました。彼女はどこからどう見ても母上なのに、魂が母上ではなく悪魔なのだという‥。頭では理解できても、何となく不思議な感じがしていました。
「‥公爵、公爵聞いてるのか?」
「‥あっ、すみません。その、母上が喋っているような気がして、話に集中できていませんでした。」
「‥そうか。ところで、公爵はこの国をどういう風にしたい?何でも言いたまえ。」
「‥優れた芸術家を育てていきたいです。この国の文化を、もっと諸外国に誇れるレベルにしたいです。それに、同性愛者や獣人と人間のカップルの婚姻を認めるように法律を変えたいです」
「‥公爵は政治に関しては、何か意見があるかな?」
「‥恥ずかしながら、何を意見したら良いのか分かりません。‥ただ、我が領地では農作物が不作の年は税率を下げてましたし、平民達も皆等しく教育を受けられるように、無償で通える学校を運営しています。これを我が領地だけではなくて、国全体として行っていけたら良いのですが‥‥。」
「‥公爵は、あの両親から産まれたにしては、えらくまともなんだな。」
「‥‥。」
「公爵、君の即位式を後日行う事にした。王都の大聖堂で、教皇様が君に王冠を被せてくれるんだ。
クククッ、知ってるかい?実は教皇様も我々悪魔の仲間なんだ。‥あそこも相当腐敗していたんだよ。」
「‥‥母上、人間の魂を持った人達はこの王都には、もういないのですか?」
「‥大半は悪魔に乗っ取られているが、純粋な人間達は大勢いる。心配するな。善良な人間は、そもそも退屈だからという理由で悪魔など呼ばない。」
「そうですか。」
「‥‥なぁ、信じられるか?教皇達は小児性愛者の変態共の集まりだったんだ。毎晩街や郊外から幼い子供達をさらって来ては、輪姦しながら殺して血を啜っていたんだ。‥聖職者達が自身の快楽の為にそんな所業をしていたとはな、流石の悪魔も驚いたよ。‥人間とは、悪魔よりも恐ろしい生き物なんだな。」
「‥ところで母上、母上を何とお呼びすれば良いですか?」
「君さえ良ければ、母上と呼んでくれて構わない。」
「ありがとうございます。母上、‥僕は以前の母上よりも、今の母上の方が優しくて大好きです。」
「‥‥公爵は、可愛いなぁ。これは‥ルシフェルも入れ揚げるわけだ。公爵、今日は泊まっていくんだろう?」
「あっいえ、屋敷に帰ります。」
「クククッ、屋敷にはルシフェルが居るからな。‥いいだろう、しばらくはお城へ通いで来ると良い。」
「はい。宜しくお願いします。」
公爵は礼をして退室しました。お城を出て馬車に乗り込む際、お城の離宮に公爵家の侍女達の姿が見えました。
「ああ、そう言えばルシフェルが侍女達にお城へ行くように言ってたなぁ‥。」
公爵は、そう呟きながら馬車に乗り込み、屋敷へと急いで帰りました。
一方侍女達は‥‥離宮でザギル公夫人の侍女達に取り囲まれていました。
「フローラとベスには、ここにる男性達と共に国の外れの村へ行ってもらいます。そしてビオラ、あなたは顔を包帯で巻いてますから、きっと顔に傷を負ってるのですね。でしたら、今後はお城の厨房で作業をしてもらいます。他の方達は‥‥一旦ザギル公夫人の侍女として働いて貰う事にします。」
「‥‥私達は、何故ここに連れて来られたのですか?公爵邸には帰らせて貰えないのですか?」
「おだまりなさい!あなた方は公爵邸で、公爵が雇われた画家のマリア令嬢に、相当な仕打ちをしたと聞いてますよ。本来なら処罰されてもおかしくないのですよ!‥公爵邸へ二度と戻れないのだとしても、このお城に置いて貰えるのです。感謝しなさい!」
公爵家の侍女達は、ザギル公夫人の侍女達に叱られて少し不服そうな顔をしましたが、逆らえないと分かると諦めて、夫人の侍女達の言う通りにしました。
彼女らは、夫人の夜のお相手をさせられた後、お気に入りの者を除いては皆んなお城の裏方で働く事になりました。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
【R18】助けてもらった虎獣人にマーキングされちゃう話
象の居る
恋愛
異世界転移したとたん、魔獣に狙われたユキを助けてくれたムキムキ虎獣人のアラン。襲われた恐怖でアランに縋り、家においてもらったあともズルズル関係している。このまま一緒にいたいけどアランはどう思ってる? セフレなのか悩みつつも関係が壊れるのが怖くて聞けない。飽きられたときのために一人暮らしの住宅事情を調べてたらアランの様子がおかしくなって……。
ベッドの上ではちょっと意地悪なのに肝心なとこはヘタレな虎獣人と、普段はハッキリ言うのに怖がりな人間がお互いの気持ちを確かめ合って結ばれる話です。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
絶倫獣人は溺愛幼なじみを懐柔したい
なかな悠桃
恋愛
前作、“静かな獣は柔い幼なじみに熱情を注ぐ”のヒーロー視点になってます。そちらも読んで頂けるとわかりやすいかもしれません。
※誤字脱字等確認しておりますが見落としなどあると思います。ご了承ください。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
黒豹の騎士団長様に美味しく食べられました
Adria
恋愛
子供の時に傷を負った獣人であるリグニスを助けてから、彼は事あるごとにクリスティアーナに会いにきた。だが、人の姿の時は会ってくれない。
そのことに不満を感じ、ついにクリスティアーナは別れを切り出した。すると、豹のままの彼に押し倒されて――
イラスト:日室千種様(@ChiguHimu)
【R18】魔法使いの弟子が師匠に魔法のオナホで疑似挿入されちゃう話
紅茶丸
恋愛
魔法のオナホは、リンクさせた女性に快感だけを伝えます♡ 超高価な素材を使った魔法薬作りに失敗してしまったお弟子さん。強面で大柄な師匠に怒られ、罰としてオナホを使った実験に付き合わされることに───。というコメディ系の短編です。
※エロシーンでは「♡」、濁音喘ぎを使用しています。処女のまま快楽を教え込まれるというシチュエーションです。挿入はありませんがエロはおそらく濃いめです。
キャラクター名がないタイプの小説です。人物描写もあえて少なくしているので、好きな姿で想像してみてください。Ci-enにて先行公開したものを修正して投稿しています。(Ci-enでは縦書きで公開しています。)
ムーンライトノベルズ・pixivでも掲載しています。
初めてのパーティプレイで魔導師様と修道士様に昼も夜も教え込まれる話
トリイチ
恋愛
新人魔法使いのエルフ娘、ミア。冒険者が集まる酒場で出会った魔導師ライデットと修道士ゼノスのパーティに誘われ加入することに。
ベテランのふたりに付いていくだけで精いっぱいのミアだったが、夜宿屋で高額の報酬を貰い喜びつつも戸惑う。
自分にはふたりに何のメリットなくも恩も返せてないと。
そんな時ゼノスから告げられる。
「…あるよ。ミアちゃんが俺たちに出来ること――」
pixiv、ムーンライトノベルズ、Fantia(続編有)にも投稿しております。
【https://fantia.jp/fanclubs/501495】
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる