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16、公爵と結ばれた夜
しおりを挟む公爵と私が帰ると、侍女達が迎えてくれました。ビオラ達は私の様子をしきりに気にしています。
「ご主人様、おかえりなさいませ。」
「‥皆んなもう下がってくれ。」
「‥!?」
「今日はマリアに全て手伝ってもらう。だから、マリア以外の者は必要ない。下がってくれ。」
公爵がそう言うと、ビオラは食い下がってきました。
「ですが、マリア様はドレスを着てますし、マリア様自身もお着替えの手伝いが‥‥。」
「必要ない。それならベリアルに手伝ってもらう。‥早く下がってくれ。」
ビオラが食い下がっても公爵の返事は同じでした。ビオラは、唇を噛みしめて悔しさと悲しみで溢れ出そうになる涙を我慢しました。ですが、ビオラの頬に一筋、また一筋と涙が流れ落ちます。ビオラはその場を急いで去り、部屋で思い切り泣きました。
ご主人様は私を夜会に連れて行ってくれなかったし、今晩はきっとマリアを抱くに違いないわ。ご主人様はずっと私のものだったのに。悔しくて堪らないわ!
ビオラは、ますますマリアへの怒りを募らせました。
ビオラが部屋で泣いている頃、他の侍女達も、困惑の表情を浮かべながらもバラバラとその場を去って行きました。
ベリアルは終始無言で私を見つめています。
ベリアル、お前の言いたい事は分かる。怒っているのか?公爵が今晩私を抱く事は分かってるんだろう?
私はベリアルに無言でそう訴えました。
ベリアルは少しだけ残念そうな表情を浮かべたものの、すぐに顔を引き締めて公爵に従ってその場を去りました。
私は一人で自分の部屋へ向かいます。
私は部屋にある大きな鏡を見ながら、服を脱ぎました。裸になり、マリアの体を後ろも横もしっかりと眺めました。
夜会で公爵に揉まれた胸を自分でもそっと触ってみました。
柔らかくて滑らかない触り心地に、自分でも触りながら気持ち良くなってしまいました。
日本人とは違う白くてすべすべの肌、薄い陰毛‥。これがマリアの体。これなら公爵も満足する事でしょう。
私は入浴を済ませて、ナイトドレスに着替えてベリアルがくるのを待ちました。
コンコン、
ノックの音と共にベリアルが入ってきました。
「マリア様、公爵様のお部屋へ案内します。」
そう言ってベリアルは私と共に公爵の部屋に向かいます。
「ベリアル、これをビオラと私の顔に落書きをした二人の侍女に渡してきて欲しい。‥これは魔法の手鏡なんだ。」
「ほぉ、こんな物をあの者達に?‥分かりました。私から渡しておきます。」
「ベリアル、公爵が私を抱くのが許せないか?私はマリアとして傷心の公爵を体で慰めたいだけなんだ。公爵を傷付けるつもりはない。」
「‥‥私はご主人様の仰せのままに動くのみでございます。何も言う事はありません。」
コンコン、
「ご主人様、お連れしました。」
ベリアルはそう言うと、私を公爵の部屋に招き入れ、自分はさっさと退室しました。
「‥ルシフェル!」
公爵は扉が閉まるなり私に抱きついてきました。私のナイトドレスを手際よく脱がし、自身も裸になりました。そして私をベッドへと寝かせると、上から覆いかぶさり体中をキスしたり舐めたり、吸ってきました。
「ハハハ、くすぐったいよ。公爵は犬みたいだな。」
公爵は、特に私の胸を気に入ったようで胸を執拗に揉んだり、乳首を舐めたり吸ってきました。
公爵は、私の胸を揉む手とは反対の手で、私の秘部の湿り具合を確認すると、自身の逸物をゆっくりと私の秘部に差し込みました。
「‥痛い?」
「マリアの体は処女だからな、多少の肉体的痛みはあるさ。でも大丈夫だ。安心して動いてくれ。」
私がそう言うと、公爵は遠慮なく動き出しました。私の秘部から出る淫靡な音は、私自身をもいやらしい気持ちにさせました。そして、公爵が動くたびに私の体に快感が走ります。マリアの体が敏感なのか、それとも私自身が、感じているのか分からない。だけど、擦られる度にその快感に蕩けそうになるのでした。
「‥ああ、公爵‥気持ちいい。」
私がそう言って、公爵の背中にしがみつき先に達してしまいました。
公爵も腰の動きを激しくし、一気に射精しました。
‥‥マリアの体は処女だと言うのに、ルシフェルの頃は男として女を抱いた事もあったのに、私はこのマリアの体で、公爵にイカされてしまいました。‥この淫乱さは宇野優香の名残りか?
思えば、宇野優香もこの行為が大好きでした。かといって、何でもありという訳ではありません。浮気はしないし、他人の男には手を出さないという最低限の道徳心は持ち合わせていました。
‥それにしても、女の体で感じる快感は凄いな。男の時よりも良いかもしれない。
私はあらためてマリアの体をじっと眺めてみました。マリアの白い体には、公爵の跡がたくさん残されて赤くなっていました。
スースースー、
「公爵?寝てる‥。」
公爵は、いつの間にか私の胸の中に顔を埋めたまま眠っていました。
「‥果てしなく強い性欲の持ち主だと聞いていたのに、あっさり一回の射精で満足するとは、案外普通じゃないか。」
私が聞いてる話とは違う公爵の様子に戸惑いつつも、私は公爵をきちんとベッドに寝かせて寝具を掛けると、自分の部屋へと戻り身を清めました。そして、マリアの地味なワンピースを着て伊達眼鏡をかけると公爵の秘密の部屋に向かいました。
そして、まだ描きかけの壁画制作を始めました。
悪魔は眠らない。
「ベリアル、悪魔は眠らない。‥‥夜は長いな。」
私は、部屋に掛かる鏡の中に映る老執事ベリアルに話しかけました。
「ルシフェル、あの手鏡を侍女達三人に渡して来たぞ。」
「ベリアル、ありがとう。あれは真実の鏡なんだ。あの大きさなら顔しか映らないけどね。‥明日が楽しみだよ。フフフ。」
私がそう言うと、鏡の中のベリアルは消えました。
その頃、屋敷の中で大きな悲鳴が響きました。
真実の鏡を覗いたビオラ達三人の侍女の悲鳴です。彼女達は、手鏡で自分の顔を見て驚いたのですね。
ビオラ達は、鏡に映った自身の醜い姿にさぞや驚いた事でしょう。
真実の鏡は真実の姿を映しますからね。それに、一度鏡に映った姿はもう元には戻りません。ビオラ達は、鏡に映った通りの醜い姿で今後ずっと生きていく事になります。
私は屋敷に響く悲鳴も気にせず、絵を描く事に集中しました。
絵を描くのは本当に楽しいです。
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