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11、夜会へ行く前に 1
しおりを挟む私は入浴を済ませると、鏡の前に座りベリアルに髪をといてもらいました。
コンコン、
誰かがノックすると音が聞こえました。
「‥誰か来たね。」
「マリア様、少しお待ち下さい。」
ベリアルがそう言って扉を開けると、侍女が数人立っていました。
「何でしょう?」
「ご主人様が夜会へ行かれるそうですね。いつもは私が一緒に行かせて貰ってだじゃないですか。何故今日はあの女をお連れするのですか?」
侍女達の先頭に立つ一際目立つ金髪の女性は、怒っているようでした。これまでは自分が公爵のパートナーを務めていたのに、急にやってきた地味な画家令嬢が、そのお役目を奪ってしまったのですから、無理もありません。
それに、あの顔はあきらかに地味な画家令嬢マリアを馬鹿にした顔です。自分の方が美しくて立場も上だと思い込んでいるようです。
「ビオラ、あなたはマリア様を見下してらっしゃいますが、マリア様は伯爵令嬢です。それにご主人様の隣に立つのに相応しい美貌の持ち主です。分かったら、どうかお引き取り下さい。」
「馬鹿な!あのブスがご主人様の隣に立つのに相応しい美貌だって?嘘よ。」
「本当です。」
「‥‥それに、何故あの女の支度をベリアルがしてるの?私達侍女の仕事でしょ。」
「そうよ、私達にやらせなさいよ。」
「そうよ、ベリアルはどいて。私達がやるから!」
ベリアルは押し寄せて強引に入って来た侍女達を止めようとする振りをして、私を振り返りウインクをしました。
そうね。ベリアル、彼女達に正論は通じないわ。話すとこちらが疲れるだけ。なら、いっそ彼女達の好きなようにやらせてみましょう。
「ベリアル、私は侍女の方々に支度を手伝って貰う事にします。皆さん、お願いします。」
私がそう言うと、ベリアルは礼をして退室しました。
すると、侍女数人が意地悪な笑顔で私をとり囲みました。
先程侍女達の先頭に立っていた金髪の女ビオラは、私の髪を力任せに引っ張ると、櫛で頭皮をゴシゴシ擦ってきました。
「痛い、痛いから、やめて下さい。」
私がそう言うと、ビオラは喜んで更に強く私の髪を引っ張ってきました。勿論私の頭皮を擦る櫛の手も休めません。
私の頭皮からは、とうとう血が出てきてしまいました。髪もボサボサです。
ビオラは疲れたのか、ハアハアと肩で息をしています。それでも満足気に不気味な笑顔を浮かべていました。
さあ、次は誰が何をするのでしょう。
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