地味令嬢画家とマルキ公爵の秘密

みるみる

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私は宇野優香、26歳です。地球でマンションの屋上から飛び降り自殺をした事になっています。

今私は、UFOらしき乗り物の中で、モニター画面を見ながら、自分が死んだ後の新聞記事やテレビのニュースを見ていました。

私の遺体があったとされる場所には、既にたくさんのお花や飲み物が供えられていました。テレビに映った私の知らない人が、何故か私の死を悲しんで泣いてくれてます。

テレビの取材の人に対し、

「いつも挨拶をしてくれる優しい人でした。」

って答えてますが、私はあなたを知りませんよ。‥とは言え、私の為に泣いてくれた唯一の人です。ここから感謝の意を送りたいと思います。私は幼い頃に親に捨てられて、ずっと児童施設にいたので、私の死を悲しむ家族なんていないのですから。

そう言えば‥私の職場や同僚達はどんな反応かしら?

そう思っていたら、目の前のモニター画面が職場や同僚達の様子を映し出してくれました。

画面を見ると、私を職場で虐めていた同僚の女達が青ざめた表情でニュースを見ていました。皆んなすぐにネットで自身のSNSをチェックしています。

ネットのとある掲示板では、既に彼女達の個人情報が特定されて、「自殺した女を虐めた奴、こいつな。」等の書き込みがあり、彼女達の顔写真まで晒されていました。

社会的制裁、恐るべし。

‥っていうか、私自殺なんてしてないんですけどね。他殺でもないですし。そもそもマンションの屋上から飛び降りてないんです。


「ねえ、私の死体がモニターに映ってるんだけど、あれってダミー?」

「違う。あれはお前が地球上で使っていた本物のボディだ。」

「やだぁ、あれって本物の私の死体なんだ。‥じゃあ、今ここにいる私は何なの?」

「お前本来の魂だ。」

「魂って無色透明かと思ってた!すっごくリアルに人間のカタチしてるじゃん。」

「‥‥。」

今ここで私と話しているのは、このUFOらしき乗り物の所有者で、私をここへ呼んだ張本人です。

「‥‥今からお前には、ある異世界へ行ってもらう。」

「‥ちょっと待って。異世界へ行ってもらうって何の話?それよりあんた誰、神様なの?」

「俺はお前達の集合意識が生んだ意識体だ。地上でお前達は俺を神と呼んでいるようだが‥‥。」

「‥神様なんだ。」

「地上ではそう呼ばれている。」

「‥で、異世界へ行けばいいのね。それで私は生まれ変わるの?誰かの体に乗り移るの?」

神様にそう聞くと、目の前のモニター画面にとんでもない映像が映し出されました。

真っ暗な室内に黒い布を被った人達が集まり、輪になっています。その真ん中に、若い裸の女性が震えて横たわっています。

室内の奥から、上半身裸で、牛の頭の剥製を被った男性が現れました。

黒い布を被った人達の輪の中で震える女性に覆い被さろうとしています。

「今だ、行くんだ!」

「えー、まさかあの裸の子に乗り移るの?あの状況で?って、えー‥‥。」

そこで私の意識は途切れました。

気が付くと、私は違う人物の体に乗り移っていました。もとの体の持ち主の記憶、知識、能力も引き継いで。

そしてもともとあった宇野優香の記憶も引き継ぎながら。


「私を呼んだのはお前か?マルキ公爵。私の名はルシフェル。貴様の主だ。」


そして私は新たな体での目覚めと共に、悪魔ルシフェルとしても覚醒したのでした。
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