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ナダル様の商会で見かけた若い女性

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ある日、ナダル様の商会での商談の後に、事務員らしき若い女性を見かけました。

彼のご両親と屈託なく楽しそうに話しています。

そばかすだらけの顔で、しわくちゃになって笑っていました。化粧などした事もないと言った感じの荒れ放題の素肌が、
なぜか私にはとても眩しく見えました。

ポッチャリした体型を気にもせず、二の腕の脂肪を揺らしながらも、身振り手振りを加えて一生懸命に話す彼女から、なぜか目が離せませんでした。

私は直感で、彼女はナダル様の良い人なのでは?と疑ってしまいました。

その直感はあながち間違ってなかったようです。私の後ろで彼女を見つめるナダル様の表情が、とても優しい笑顔でしたからーー。

そして、彼女の手の中指にはいつだったか私が注文したけど、届かなかった指輪がはめられていました。

きっと彼女もたまたま同じ指輪をかったのよ。そう自分に言い聞かせてみましたが、一度芽生えた疑惑は簡単に消えません。

‥あの指輪は誰かから彼女へのプレゼント?

誰からのーー?

きっとナダル様じゃないはずよ!

そう自分に言い聞かせてみましたが、何故か虚しい気持ちになるのでした。

それでも、まだナダル様を諦める事はしません。

だって、まだ振られた訳でも婚約を破棄された訳でもないのですから。

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