初恋はかなわないけど‥

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20、学校へ着きました

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ヒノキ国へ着くと、私の両親達は知人の元へと向かい、私とマキシム様は学校へと向かいました。

学校へ着くと、マキシム様は慣れた足取りで学校の事務室を訪ねて行きました。

「‥あの、すみません。学校の入学手続きに来ました。」

「‥‥随時入学枠の留学生の方ですね。身分証明書をご提示下さい。」

「‥レミーさん、身分証出して。」

「‥あっ、はい。」

あまりに手慣れた感じのマキシム様につい見惚れてしまいました。

マキシム様が、私のとマキシム様の二人分の身分証を係の人に渡すと、係の人が机の機械に何かを打ち込みました。

すると、機械の脇から紙が出てきました。

「お二人、これから面接や寮の案内がありますので、この表に従って行って下さい。」

渡された紙には、学校の地図と行き先の案内が記載されていました。

‥この国、すごい!この紙もあっという間に機械から出てきたけど、どうやって出てきたのかしら?

そんな事を考えていると、マキシム様に手をひかれてしまいました。‥私ってば、またぼーっと立ち止まってしまっていたようです。

マキシム様は待ちきれない、といった様子でいつもよりも少し早歩きで先へと進んで行きます。私もマキシム様に合わせて少し急ぎ足で歩きます。

マキシム様、いつもは私に合わせてゆっくりと歩いてくれてるのに、今日は何だかとても先を急いでいます。でも、ちっとも嫌ではないです。むしろ、こんなにも楽しそうなマキシム様が見られて嬉しく思えました。


「‥レミーさん、早速驚く事ばかりでしょう?僕はもうすでにワクワクしているよ。」

そう言って無邪気に微笑むマキシム様は‥とてもキラキラ輝いて見えました。

マキシム様につかまれた手が熱くなってくるのを感じ、私は思わず赤面してしまいました。

あんなにも手慣れた様子で手続きを済ませてしまうマキシム様‥。

こうして私の手をひき、さっさと歩いて行こうとする無邪気なマキシム様‥。

好き。マキシム様、大好きです。

でも‥‥マキシム様は、馬車の中で言っていました。


『‥できればこの国の女性と結婚して国籍を取得したいと思っている。』

『この国の女性の奥ゆかしさや内面の逞しさには、以前から憧れを抱いていたんだ。』

‥‥そんな理想の女性像を語っていました。

‥‥私はこの国の女性ではないし、奥ゆかしくもないし、内面の逞しさもない‥‥。

‥‥こんなにも素敵なマキシム様に、私が選ばれる事なんてないのでしょう。



でも、待って。私このまま諦めちゃうの?

せっかくこのヒノキ国まで来て、生まれ変わる覚悟で学校に入学までしておいて‥

私、本当に諦めてもいいの?マキシム様への恋心を諦める必要ある?

私、まだ諦めない!マキシム様の理想の女性像に少しでも近づいて見せる!そうしたら‥‥

私、マキシム様に振られても良いから、告白する!


私はそう決意しました。すると、さっきまでの沈んだ気持ちが嘘のように、晴れていきました。

私は自分の足取りが軽くなるのを感じました。

「‥おっ、レミーさんもとても楽しそうだね。」

「ええ、私も今とてもワクワクしているんです。」

そう言った私に、マキシム様は優しい笑顔で応えてくれました。


さて、学校の校長室に着きました。マキシム様が扉をノックすると、中から係の人が現れました。校長先生が一人ずつ簡単な面接をして下さるとの事です。

マキシム様、私の順に校長先生と一対一でお話をしました。

校長先生はとても優しそうな方でした。それに、面接で聞かれる内容もたわいもないお話や、この学校で何かやりたい事はあるのか?といった好意的な内容のものでした。

私達は、どうやら合格?したようです。

係の人に男女別の寮へ案内された為、マキシム様とはここで一旦お別れしました。

そして、私が向かった女子寮では、上級生の寮長が案内を引き継いでくれました。

「こんにちは、レミーさん。私は寮長のダイヤです。宜しくね。」

「ダイヤさん、宜しくお願いします。」

ダイヤさんは、長い黒髪を後ろで一つにまとめた、クールな美人さんでした。

食堂やお風呂場の使い方や、門限などを詳しく教えてくれました。

「じゃあ、レミーさん。後分からない事はルームメイトに聞くといいわよ。またね。」

「‥ありがとうございました。」

ルームメイト?私は聞き慣れない言葉に少し不安を覚えましたが、案内表に記された部屋番号を頼りに、自分の部屋へ向かいました。

コンコン、

「失礼します。」

「はーい。どうぞー!」

扉を開けると、中には短い金髪の活動的な女性がいました。

部屋には向かい合わせにベッドと机が一つずつと、衣装用のクローゼットが一つありました。

「おーい、早く入りなよ。」

「あっ、はい。」

私は部屋に入り、挨拶をしました。

「ふーん?レミーさんね、宜しく。私はヒルトンよ。」

「あの‥私今日この国に着いたばかりで、分からないんですが‥‥外国の留学生をこんなに簡単に受け入れてくれて良いんですかね?」

「ああ~、問題ないと思うよ。外国の短期留学生も多く来てるからね。レミーさんみたいに突然来る外国人も珍しくはないからね。」

「他の外国の人は短期で何を学ぶんですか?」

「んー‥、多分基礎的な学問と、あとは産業分野の研修とか?農業の専門知識とかかな。ここの学校で学んだ事を自分の国で活かす為に来てる人が多いかなぁ。」

「そうなんですか。」 

私はその後も、ヒルトンさんと色々お話をしてから、お風呂や食堂の夕食を体験しました。

食後もヒルトンさんと話は尽きなくて‥私達は話しながら寝てしまったようです。

翌朝ヒルトンさんに揺り起こされて、慌てて起きました。

そして慌てて身支度を整えて食堂へと向かいました。

‥それにしても、なんて楽しい生活なんでしょう。私は、ここでの生活も、同室のヒルトンさんも大好きになりました。

「レミーさん、何だか楽しそうだね。」

「ええ、とても楽しいの。こんなに楽しいの、初めて!」

「あはは、大袈裟!」

‥ううん、大袈裟でもなんでもないの。私、本当にここに来て良かった。

私は、これからの学校生活に大きく夢を膨らませました。
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