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9、レミーの妄想
しおりを挟むダイアン王子を取り囲む令嬢達にハインリヒ様が近づいていくと、令嬢達は自然とハインリヒ様に道を開けて人集りの輪の中へと促しつつ‥‥私だけをはじき出す、という高度なテクニックを見せてくれました。
令嬢達の輪の中で、ダイアン王子とハインリヒ様が私に向かって何か言ってますが、令嬢達の歓声が凄すぎて何も聞こえません。
私はお二人に軽く礼をして、成人のお祝いの会場を後にしました。
部屋に戻った私は、ベッドに横になり今日あった出来事を色々振り返り、頭を整理しました。
ダイアン王子とハインリヒ様は学校の友達だと言っていました。‥という事は、ハインリヒ様も寄宿制の男子校へ通っていたと言う事になります。ハインリヒ様は大国の貴族だと言っていましたが、王子と仲良くなれるなんて、相当身分の高い貴族様なのでは?
それにハインリヒ様、私がダイアン王子の婚約者候補者なのを知っていた感じです。ダイアン王子が私の事をハインリヒ様に何と言っていたのかが気になります。
‥‥それにしても、三年間でダイアン様があんなに変わるなんて‥。
‥ダイアン様、三年間で誰かと付き合ってたりしたのかな‥‥。
ダイアン様、私の事を好きだったって言ってたけど‥。
一体いつから私の事を好きだったのかしら?
それにしても‥‥初対面で、ダイアン様が私に対して言った一言を、私は忘れてませんよ。
「お前、ぽっちゃり良いしてるな。白くてふわふわだし、マシュマロみたいだ。」
貴族の子供達が一斉にお城に集められたお茶会の日、皆んなの前でそう言われた屈辱を私は忘れていませんから。
‥おかげで、〝ぽっちゃり令嬢″とか〝マシュマロ令嬢″等まわりに言われて、とても恥ずかしい思いをしたのですから。
‥‥その後、何故か私とルビーさんだけが王子達の婚約者候補として残った訳ですが‥。
私は正直なところ、王子達の婚約者だなんて興味ありませんでしたから、王子達と積極的に関わろうとしませんでした。
なのに何故、ダイアン王子が私の事を好きになったのか分かりません。
‥‥ハインリヒ様もハインリヒ様です!三年ぶりの再会ですが、二回目の対面ですが、チャラいです。それにセクシー過ぎです。目の毒です。
‥なんであんなに見た目が素敵な方達が、よりによって私に気がある素振りをするのかしら?
‥‥待って、あのお二人は友達と言ってたわね。‥‥まさか二人して、私の事をどっちが先に口説き落とすか賭けをしてるとか?
‥‥二人共、そんなに悪い事をするようには見えませんでしたが‥。
そう言えば‥ダイアン王子と私の婚約ってどうなったのかしら?まだ婚約が決まってないなら、婚約者候補から既に外れているって事かしら?
だとしたら、ジャック様の時のように、もう恋を諦めなくても良いのかもしれません。やっと自由な恋愛が出来るのです。
ダイアン王子やハインリヒ様の色気に当てられて、危うく二人に惚れそうになってしまいましたが、今やっと目が覚めました。
「私、初恋はかなわなかったけど、次こそは素敵な人を見つけて結婚するわ!ダイアン王子やハインリヒ様に振り回されてる場合じゃないわ。それと‥‥万が一結婚しそびれた時に、自立して一人で生きていけるように、手に職をつけなきゃいけないわね。」
私はそう決意し、素敵な未来を妄想してワクワクしながら眠りについたのでした。
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