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大好きな人 中編
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ナタリーは学園を卒業すると、オズワルツ侯爵家の次男である兄の貿易会社で事務仕事を手伝うようになりました。
本来なら花嫁修行に励んだり、結婚相手を探す為に様々な社交場へ通うべき年頃のナタリーでしたが、ララベルとアイザックの事を忘れる為に片手間に始めた仕事がいつの間にか楽しくなってしまい、気づけば本気で仕事に取り組むようになっていました。
そして働き始めて一年もたないうちに、兄にその働きぶりを認められて会社の重要役員にも任命されるほどになってしまいました。
そんなナタリーの結婚相手について、会社の社長である兄は大変心配していました。
そこで兄は自分の親友マクレガーをナタリーに紹介する事にしました。
マクレガーは優しくて整った顔をしていたので、社交界でも令嬢達に大変人気がありましたが、まじめで男付き合いを優先してしまうところがあり、これまでずっと女性と交際をする事なく生きてきました。
そんな身持ちが固い彼だからこそ、妹の結婚相手としては申し分ないとナタリーの兄は判断したのでした。
実際、3人で食事会と称したお見合いをしてみたところ、2人はすぐに意気投合したようでした。
2人はその後すぐに交際を始め、翌年には結婚を約束していました。
ナタリーは結婚後はマクレガーの実家であるユノ侯爵家で暮らしました。
マクレガーの両親はナタリーをとても可愛がってくれましたし、とても幸福な日々を過ごしていました。
そんなある日の事、かつての親友ララベルから一通の手紙が届きました。なんと、幼なじみの男性と結婚する事が決まったというのです。
「‥あの時結婚の約束をした幼なじみがいるって言っていたのは本当だったのね。」
ナタリーがララベルからの手紙を読みながら思い出に浸っていると、夫のマクレガーがやってきました。
「‥どうしたんだい?さっきからずっと手紙を見つめながらぼーっとしてるようだけど。」
「ララベルが結婚するんですって。」
「‥ララベルというと君の学生時代の親友の事だよね。お相手は?」
「昔からの幼なじみの彼らしいわ。結婚披露パーティーを開くから私達にもきて欲しいって‥。」
「君の親友と仲直りするいい機会じゃないか。ずっと気にしてたんだろう?」
「‥そうね。」
夫の言葉に同意したものの、心中は複雑でした。
ナタリーはこの時、ララベルの結婚相手がアイザックではなかった事に思わず安堵してしまった自分の気持ちに困惑していたのです。
それから何日かが過ぎ、親友ララベルの結婚披露パーティーの日がやってきました。
ナタリーは夫マクレガーと共にララベルの元へ向かい祝福の言葉をかけました。
「ナタリー、来てくれたのね!嬉しいわ。誤解があって、あなたに避けられてるのは知ってたけど‥これからはもう避けないでね。」
「‥ごめんなさい。これまでずっとあなたを避けてしまっていたけど‥私が間違っていたわ。あなたは何も悪くないと言うのに‥。」
ナタリーとララベルがその後も涙ながらに語り合っていると、横から誰かが近づいてきました。
「‥ララベル、結婚おめでとう‥と言うべきなのかな?」
シャンパンの入ったグラスを持ち、恨みがましい表情でララベルに近づいて来たのは、ナタリーの初恋の相手アイザックでした。
本来なら花嫁修行に励んだり、結婚相手を探す為に様々な社交場へ通うべき年頃のナタリーでしたが、ララベルとアイザックの事を忘れる為に片手間に始めた仕事がいつの間にか楽しくなってしまい、気づけば本気で仕事に取り組むようになっていました。
そして働き始めて一年もたないうちに、兄にその働きぶりを認められて会社の重要役員にも任命されるほどになってしまいました。
そんなナタリーの結婚相手について、会社の社長である兄は大変心配していました。
そこで兄は自分の親友マクレガーをナタリーに紹介する事にしました。
マクレガーは優しくて整った顔をしていたので、社交界でも令嬢達に大変人気がありましたが、まじめで男付き合いを優先してしまうところがあり、これまでずっと女性と交際をする事なく生きてきました。
そんな身持ちが固い彼だからこそ、妹の結婚相手としては申し分ないとナタリーの兄は判断したのでした。
実際、3人で食事会と称したお見合いをしてみたところ、2人はすぐに意気投合したようでした。
2人はその後すぐに交際を始め、翌年には結婚を約束していました。
ナタリーは結婚後はマクレガーの実家であるユノ侯爵家で暮らしました。
マクレガーの両親はナタリーをとても可愛がってくれましたし、とても幸福な日々を過ごしていました。
そんなある日の事、かつての親友ララベルから一通の手紙が届きました。なんと、幼なじみの男性と結婚する事が決まったというのです。
「‥あの時結婚の約束をした幼なじみがいるって言っていたのは本当だったのね。」
ナタリーがララベルからの手紙を読みながら思い出に浸っていると、夫のマクレガーがやってきました。
「‥どうしたんだい?さっきからずっと手紙を見つめながらぼーっとしてるようだけど。」
「ララベルが結婚するんですって。」
「‥ララベルというと君の学生時代の親友の事だよね。お相手は?」
「昔からの幼なじみの彼らしいわ。結婚披露パーティーを開くから私達にもきて欲しいって‥。」
「君の親友と仲直りするいい機会じゃないか。ずっと気にしてたんだろう?」
「‥そうね。」
夫の言葉に同意したものの、心中は複雑でした。
ナタリーはこの時、ララベルの結婚相手がアイザックではなかった事に思わず安堵してしまった自分の気持ちに困惑していたのです。
それから何日かが過ぎ、親友ララベルの結婚披露パーティーの日がやってきました。
ナタリーは夫マクレガーと共にララベルの元へ向かい祝福の言葉をかけました。
「ナタリー、来てくれたのね!嬉しいわ。誤解があって、あなたに避けられてるのは知ってたけど‥これからはもう避けないでね。」
「‥ごめんなさい。これまでずっとあなたを避けてしまっていたけど‥私が間違っていたわ。あなたは何も悪くないと言うのに‥。」
ナタリーとララベルがその後も涙ながらに語り合っていると、横から誰かが近づいてきました。
「‥ララベル、結婚おめでとう‥と言うべきなのかな?」
シャンパンの入ったグラスを持ち、恨みがましい表情でララベルに近づいて来たのは、ナタリーの初恋の相手アイザックでした。
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