かわいそうな旦那様‥

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13、王様主催の夜会へ

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テオがベラの家へ泊まる回数が少なくなってから数ヶ月後、テオとリリアは王様主催の夜会に招待されました。 

テオは当日はリリアをエスコートしてくれるようです。

それを知った侍女達は大変喜びました。侍女達にとって優しく賢いリリアは、最高の女主人だったので、公爵夫人として末長くこのお屋敷にいて欲しいと真剣に願っていたからです。

侍女達はリリアを夜会会場の誰よりも美しく仕上げたくて、張り切っていました。

リリアの髪をアップして化粧も終えると、侍女達は、アクセサリー選びを始めました。


「‥奥様、アクセサリーはどれにしますか?」

侍女はそう言って何点かのネックレスをリリアの首元に当てがいました。

そのネックレスのほとんどは、リリアが自宅から持ってきた物でしたが、一つだけ特別なネックレスがありました。

真珠と金のネックレスです。これは妖精王からリリアにプレゼントされたものでした。このネックレスの真珠は、妖精王が知り合いの海の精霊から貰った真珠を主体にして、デザインされたネックレスでしたので、市場には出回っていない、リリアの為だけのネックレスなのでした。

「‥やっぱり、これが奥様に一番似合いますね。これもご実家からお持ちになったんですか?」

侍女達には、妖精王からのプレゼントだとは言っていなかった為、リリアは言葉を濁しました。

「‥え、ええ、そうね。」

侍女はリリアにそのネックレスとイヤリングを丁寧につけました。そして、支度のできあがったリリアのその姿を見て、思わず感動してしまいました。

「‥できました!‥奥様、まるで月の女神のように神秘的で美しいです!」

侍女の努力の甲斐あって、今日のリリアは、まるで‥この世のものとは思えないほどに神秘的で美しく仕上がっていました。

シックなシルバーと水色のグラデーションのマーメイドドレスは、リリアのスタイルの良さを強調していましたし、金と真珠のネックレスは、リリアの髪色と瞳の色に、とてもよく映えていました。


玄関先で先に支度を終えて待っていたテオも、このリリアの姿を見て驚いていました。

ドレスや髪型のせいでしょうか?今日のリリアはとても大人っぽく見えました。それに、リリアのその美貌は人々の目を惹きつけてやまないほどに、以前よりもさらに魅力を増していました。

リリアの唇は、誰もがキスをしたくなるほどに艶々で悩ましげでしたし‥

リリアの膨らんできた胸は、ドレスの中に窮屈そうに押し込められており、思わず脱がしてしまいたくなるほどに誘惑的でした。

それに、リリアの腰からお尻のラインの悩ましげな事と言ったら‥もう思わず触りたくなるほどに色っぽかったのです。

テオは、リリアの手をとりながらドキドキしていました。

それに、このリリアが自分の妻なのだと思うと、早く夜会で皆んなに自慢げに見せびらかしてやりたくもなっていました。

リリアは、そんなテオのいやらしい眼差しに気付く事もなく、しきりにネックレスを触っていました。妖精王の事を思いながら‥‥。

馬車がお城に着いたようです。

リリアはテオに手をひかれながら、お城へ入りました。会場についた途端、その場にいた全員がリリア達に一斉に注目しました。

そして、リリアの神秘的な美しさに釘付けになっていました。

‥そんな夜会の会場の中には、ベラとラスター侯爵もいました。

「‥あれが、噂の公爵夫人か。なるほど美しいな。‥それにあのネックレスは、今まで見た事がないほど美しく、驚く程に夫人に似合っている。‥あの純金の中の真珠‥‥あれはお城が一つ買えるほどの価値がありそうだ。」

「‥‥!」

「‥あのネックレスは、公爵から夫人へのプレゼントかな?‥だとしたら相当愛されてるな。」

ラスター侯爵は、リリアとリリアのネックレスをしきりに褒めていました。

ベラはこの事に、この上なくプライドを傷つけられていました。

『‥‥テオ、最近私のもとに来ないと思ったら、奥様とそんなに仲良くなっていたのね。‥それに、あのネックレス!‥私にはあんな恥をかかせておきながら、奥様にはあんなにも高価なネックレスを買っていたのね。‥許さないわ!」

ベラは鬼の形相でリリアの事を睨み続けました。


一方、王様と王妃様に挨拶に行ったリリア達は、話に花を咲かせていました。

「‥‥そうか。リリアさんは、花の妖精が見えるのか。」

「はい。花の種類によって、その花の妖精達の性格も異なります。‥私が最近販売を始めました外国産の珍しい花達も、その美しさや香りはさる事ながら、その癒し効果は絶大です。これも花の妖精のおかげなのです。花の妖精達は、人間を癒す事を一番の喜びとしていますので、不眠症が治ったり、夫婦喧嘩が減ったりする効果が報告されてます。」


「‥まぁ、そうなの。リリアさんが公爵領で栽培して、販売しているというその花は、今王都で大流行のあのカラフルなお花の事かしら。私も欲しいわぁ。」


「王妃様にピッタリのお花を探してきますので、今度プレゼントさせて下さい。」


「ええ、楽しみにしているわ。」


王様夫妻と楽しそうに会話するリリアを見ながら、テオはとても満足そうでした。


『うちの妻は美しいだけじゃなくて、商売上手で、王様夫妻とも上手く付き合えるのか。

フフフ。どうだ、会場の男共、僕が羨ましいだろう?』


テオはそんな考えに浸っていたのです。


と、その時‥給仕係がテオのもとにやって来ました。そして、持っていたトレーの下から手を伸ばし、まわりに見えないようにそっと、テオに紙を手渡したのです。

給仕係はテオに紙を手渡した後は、何事もなかったかのように、さっさとその場を立ち去って行きました。

テオは会場の壁際へ行って、その紙をこっそりと広げてみました。


『テオ様、バルコニーでお待ちしてます。一人でお越し下さい。あなたのベラより。』


テオがバルコニーの方に目をやると、確かにベラらしき女性の後ろ姿が見えました。その姿は‥とても寂しそうでした。ベラのそんな姿を見たテオは、ここ最近の自分についてひどく反省をしました。


「僕は‥なんて事をしたんだ。愛しいベラを放っておいて、あんなにも悲しませて‥。ベラ、ごめんよ。今すぐ君のもとへ行くから!」


‥‥テオは、急いでベラのもとへ向かいました。
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