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夫を問い詰めた夜
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夫と食事や寝室を別々にするようになってまだ一週間もしない、とある夜…
私はいまだに何も話をしてこようとしない夫に痺れを切らし、夫を呼び出して皇太子の話した事について事実がなんなのかを夫に問い詰めることにしました。
夫は相変わらず善良そうな態度と表情で私に対し接してきました。
「すまない、君を騙そうとか利用しようだなんて全く考えていないから、信じてくれ。」
開口一番真っ先にそう宣言した夫の言葉に呆れつつ、私も言葉の反撃を緩めませんでした。
「なら、皇太子様が嘘をついてるとでも言いたいの?」
「いや、それは…」
「ならどうして私と結婚したの?皇太子に言われたから?」
「それは…きっかけはそうだけど、でも…君の事も間違いなく家族として大切にしてあげられると思ったんだ。」
「家族として?はっ!なら、皇太子は何?私には家族として接して、皇太子とは恋人同士の愛を育みたいというの?」
「すまない。だけど、僕にとってドリーも君も大切な存在なんだ。できれば2人とも大切にしていきたいんだ。それに、結婚したいと思ったのも、僕にとっては子を成したいと思ったのも君だけなんだ。」
「それは…私が女だからでしょ。もし皇太子が女なら、皇太子と結婚したんでしょ!」
「…そんな恐れ多い事を言うもんじゃない!訂正したまえ!」
ほら、夫は私が皇太子を侮辱するような言葉を言えば絶対に怒ると思ったのよ。
私は目の前で私を睨みつけ、皇太子に対する侮辱の言葉?を取り消せと脅してくる夫の顔を見て思わず笑ってしまいました。
「ぶはっ!なんて顔するのよ。…はいはい、訂正するわ。私が全て悪いんでしょ。…いいわ、私が悪者を演じてあげるわよ。その間あなた達は勝手に愛でも育んでればいいのよ。」
そう言い放った時、私の心からは完全に夫の愛情を求める気持ちは消えてしまいました。全てがどうでもいいような…モヤモヤしたような、いえ、むしろスッキリしたような変な気持ちでした。
それ以降私は表面上は夫と良い夫婦を演じて、人の目のないところでは夫にそっけなく接するようにしました。
夫もそんな私に気を遣ったのか、むしろせいせいしたのか…仕事と称して屋敷にあまり寄り付かなくなってきまいました。
それでも2人で約束を交わして、月に一回子を成しやすい期間だけは夫が屋敷に戻って一緒に夜を過ごす…といった日々を送るようになったのです。
私はいまだに何も話をしてこようとしない夫に痺れを切らし、夫を呼び出して皇太子の話した事について事実がなんなのかを夫に問い詰めることにしました。
夫は相変わらず善良そうな態度と表情で私に対し接してきました。
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