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ボルゾイと例の侍女が再び密会…

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 ボルゾイと私の婚約が正式に決まった日から、私の身の回りで些細な嫌がらせが続きました。

 私のお茶に小さ虫が入れられていたり、服に針を仕込まれたり…

 さらにはベッドの中に虫や小鳥の死骸を入れられていたり…といった感じにです。

 これは明らかに私とボルゾイとの婚約を快く思わない者からの嫌がらせでした。

 一体誰が…と考えてみた時、ふと昔ボルゾイと密会していた侍女の事を思い出しました。

 彼女はニコールがシューレマンと結婚した後もずっとこの屋敷で侍女として働いています。

 もしかして彼女が私に嫌がらせをしてるの?

 そう疑ってみると確かに彼女が嫌がらせの犯人だと思える証拠がありました。

 まず虫がティーカップに入っていた時、彼女はその場で給仕をしていました。

 それに彼女は侍女として私の部屋に入る事が可能です。

 だとしたら本当に彼女が嫌がらせの犯人なのかしら?

 そんな疑いを抱きながら何日か悶々としていると、屋敷の庭園で再びボルゾイと例の侍女との密会現場に出くわしてしまいました。

 思わず以前のように近くの生垣に隠れてしまいましたが…

 今回は2人の会話の内容を聞き取りたくて、少しだけ2人の近くまで近づいてから隠れました。

 おかげで2人の会話の内容を聞き逃さずに全て聞き取る事ができました。

「ボルゾイ!あなた私との約束を忘れてまたこの家の女と婚約したの?!」

「…もういい加減にしてくれ!君とは何の約束もしていない。君は間違っている。君と約束をしたのは…僕の友人のドリトルだ。僕はドリトルに振られて傷心だった君を一度だけ慰めただけだ。」

「あの日…私達は体で結ばれたの。あの日から私達はただならぬ関係なの。」

「あの日のことは記憶にないんだ。目が覚めたら君が裸になって僕の隣で寝ていたけど、僕は君に対していかがわしい行為は決してしていない!」

「あなたが覚えていないだけよ。」

「…何回言えば分かるんだ。君が勘違いをしているだけなんだ。僕は自分がそういった行為をしたとした時には必ず自覚がある!」

「嘘!あなたは事実を認めたくないだけよ!」

「…全く何回言えば分かるんだ。嘘をついてるのは君だよ。僕は…」

「私、あの陰気な女に私達の関係をばらして傷つけてやるわ!」

「よせ、それに自分の雇い主に対して何という事を言うんだ!」

「もういいの!あなたを手に入れる為なら私は何だってするから。もう怖いものなんてないのよ。」

「もういい加減にしてくれ!」

「もう私決めた!明日このお屋敷の侍女の仕事をやめるわ。今日ね、あの女を殺す事にした。もともと殺しなんて平気だしね。」

「…まさかドナに何かするつもりじゃないだろうな!」

「さぁ…どうかしら。」

「おい!」

「アッハハ、何しちゃおうかしら。」

 侍女は笑いながらクルクルとターンをし、まるでダンスでも踊っているかのように歩いて去って行きました。

 私はこれで確信しました。やはり彼女が嫌がらせの犯人だと…。

 それに今夜私は…彼女に殺されてしまうかもしれないです。

 殺人なんて何とも思わないという彼女に…。


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