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グスタフ卿とエリーゼが消えた翌朝‥
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グスタフ卿は穴の上から降り注ぐ太陽の光に顔を顰めました。
結局あれから敵はこの穴へやってくる事はなかったけれど、この穴の周りに敵がまだ潜んでいるかもしれない事や、第五騎士団の仲間達がこの穴の存在に気付いておらず、見当違いの場所で自分やエリーゼの行方を探しているのではないかと心配していたのです。
「‥グスタフ卿?」
エリーゼも穴の上から降り注ぐ朝日で目を覚まし、まだ開ききらない目を汚れた手で擦りました。
「おいっ、そんな汚い手で顔を擦ったら‥。」
「‥えっ?」
「あー、ほら目の周りが泥だらけじゃないか。」
グスタフ卿は、目の周りを泥や砂で汚したままボーッとしているエリーゼの顔を掴んで自分のハンカチで拭いてやりました。
「痛いっ。」
「あっ、すまない。強く拭きすぎたか?」
「痛いですっ。‥なんだか皮膚がチクチクする!」
「‥えっ?」
エリーゼはグスタフ卿のハンカチを取り上げるとすぐに地面に投げ捨てました。
「‥‥。」
グスタフ卿は何が起きたのか分からず、なすすべもなくエリーゼの事をただボーッと見つめていました。
「グスタフ卿!」
「‥あっ、ああ。どうした?」
「このハンカチ、微量な毒素が染み込ませてあります。」
「‥毒だって?いやそんなはずはない。僕だって毒については色々勉強しているんだ。その僕が気付かないような毒をどうして君が‥。」
「私、薬草や毒には詳しいんです。この世に存在する全ての植物の効能や毒素などの知識に関して、恐らくこの国で私の右に出る者はないと思います。」
「君が何故そんなものに詳しいんだ。」
「私の母がそういった事に詳しかったのです。」
「ああ、そうか。だから以前君は‥僕のこの顔中の吹き出物を自分なら治せるはずだと豪語していたのか。」
「そうです。」
「‥まだ顔は痛むのか?すまない。悪気がないとはいえ、また君を傷つけてしまった。」
「‥もう大丈夫です。外出先でいつ怪我をしてもいいように持っていた消毒薬をすぐつけましたから。‥あっ、グスタフ卿の顔にもつけてあげますよ。」
エリーゼはそう言うと、懐から小さいガラス瓶を取り出し、謎のスーッとする香りの液体をグスタフ卿の顔に吹き付けました。
「‥これは初めての体験だな。細かい霧のような液体が顔に吹き付けられた途端、ひんやりとして顔の痒みや痛みがスーッと引いていくようだ。」
グスタフ卿は目を閉じて気持ちよさような表情を浮かべました。
エリーゼが液体を吹きかけるのをやめてガラスの瓶をしまうと、グスタフ卿は物欲しそうな寂しそうな顔でエリーゼを見てきました。
「もっと欲しかったですか?」
「あっ、すまない。つい物欲しそうな顔で見てしまった。‥あまりにも気持ちが良かったから。」
「この液体は皮膚の炎症を抑えたり毒素を消す作用があるんですけど、アルコール分が強いので一度に使い過ぎると顔が逆に荒れてしまうんです。」
「‥そうか。」
「良ければこの薬、差し上げますよ。試しに使って見てください。ただ‥この薬はあくまで症状を抑える為だけの薬なので、グスタフ卿の吹き出物を治すには、根本原因を取り除かないと‥。」
エリーゼはそう言うと懐から薄い手袋のようなものを取り出して、グスタフ卿の持っていたハンカチを掴んで袋に入れてしまいました。
「‥グスタフ卿のハンカチ、私が調べてみてもいいですか。」
「いや、駄目だ。毒かもしれないんだろ?なら、そんな物を一般人の手に渡す事は出来ない!僕が預かる。」
「‥‥。」
「自分で調べたいんだ。さあ、貸してくれ。」
エリーゼはグスタフ卿の差し出した手に、ハンカチの入った袋を渋々手渡しました。
「絶対に調べて下さいね。グスタフ卿のハンカチに毒を染み込ませるなんて!もし犯人が分かったら、必ず傷害罪で訴えてやって下さいね!」
「分かった。」
「毒が何なのか分かったら絶対に私に教えて下さいね!必ずその毒に対抗できる薬を調合してみせますから!」
「分かった。」
「これから定期的に私に会いに来て下さいね。」
「‥分かった。」
「‥えっ?」
「ここから無事に出られたら近いうちに会いに行くよ。」
「絶対ですよ。絶対に会いに来て下さいね。」
エリーゼは嬉しさのあまりグスタフ卿に思い切り抱きついてしまいました。
グスタフ卿にすぐに体を引き離されるかと思いきや‥彼はエリーゼの事を抱きしめ返してきました。
蒸し暑い穴の中でジリジリと日の光が差し込む中、エリーゼとグスタフ卿は抱き合いました。
『‥あれ、グスタフ卿といつまで抱き合ってていいんだろう。グスタフ卿と私って‥今いい感じの関係になっているって事かしら。‥グスタフ卿は私がグスタフ卿を好きだって事を知ってるのよね。それならグスタフ卿は今私の事をどう思っているのかしら。』
「そういえばグスタフ卿は‥。」
エリーゼは、思わずグスタフ卿に自分の事をどう思っているのかをストレートに聞こうとしてしまいましたが、それを思いとどめました。
もしストレートに聞いて、またばっさりと振られてしまったら‥と思うと怖くなってしまったのです。やっとこ親しい関係になれたというのに、うっかり言った一言のせいでこの良い関係を壊したくなかったのです。
その代わりに、この機にどうしてもグスタフ卿に伝えておかなくてはならない自分の体質の事を告白しようと思いました。
「グスタフ卿、実はまだ話していない事が‥。」
エリーゼは、自分のラッキースケベ体質の事や本当の素顔を隠している事をこの機にグスタフ卿に明かそうとしました。
‥ですがそれはかないませんでした。
「おーい、こっちだぞ!こっちに敵の死体がある。この近くに団長もいるはずだ。」
グスタフ卿は素早くエリーゼを体から離すと、第五騎士団の声に反応しました。
「おーい、ここだ。穴の中にいるんだ。誰かロープを投げ入れてくれ。」
グスタフ卿がそう叫ぶと、すぐに穴の上の方から長いロープが投げ入れられました。
ロープには所々大きな結び目があり、グスタフ卿はエリーゼを抱き上げると、その結び目を利用して素早く穴の上へ登って行きました。
「助かった。皆んなありがとう。」
「‥!」
『おい、団長が笑ってるぞ。』
『何だか機嫌が良さそうだな。』
『それよりもあの女性は誰だ?昨日助けた女性の1人か?』
第五騎士団の皆んながざわざわする中、グスタフ卿が穴に落ちた時の様子やエリーゼの事を説明しはじめました。
「‥昨日助けた御令嬢の中にルモンド侯爵家の令嬢がいたとは知りませんでした。すぐにルモンド侯爵家に連絡します。今朝ルモンド侯爵家令嬢の捜索願いが出たところなんです。」
「あっ‥。」
「エリーゼ、そういう事だ。君は僕の部下と一緒にすぐに家へ帰るんだ。」
「分かりました。ご迷惑をおかけしました。」
「僕は今から報告をしにいかなければならない。‥また落ち着いたら、君に会いに行く。」
「分かりました。‥待ってますね。」
「‥ああ、待っていてくれ。」
グスタフ卿とエリーゼが見つめ合うただならぬ様子を、第五騎士団の皆んなは固唾を飲んで見守りました。
『まさか、団長にとうとう春が来たのか。』
『あんなに硬派な団長が何故あんな地味な女性に落ちたんだ?』
『いやいや、硬派な団長だからこそ派手な女性よりも素朴な女性を好むんじゃないか。』
第五騎士団の人達がヒソヒソ話し合う中、エリーゼはグスタフ卿の部下の1人に連れられて馬車に乗りました。
彼はエリーゼを馬車へ乗せると、そのまま御者席に座り馬車を走らせました。
‥馬車はものすごい勢いで走っていきました。
エリーゼは両手両足を伸ばして、体が浮き上がるのを必死に堪えていました。
「‥着きましたよ。」
グスタフ卿の部下が馬車を止めて、エリーゼをエスコートします。
エリーゼは馬車から降りるとヨロヨロと歩き出しました。
ルモンド侯爵家の皆が玄関から出てきて、待ちきれない様子でエリーゼに抱きついてきました。
「エリーゼ!こんなにもぼろぼろになって‥。」
「‥お母様、もしかして心配してくれてたの?」
「当たり前でしょ、相変わらず馬鹿な娘ね!」
エリーゼは家族全員に抱きしめられながら、なんとなく幸福な気分に浸りました。
口の悪い義母に、何を考えているのか分からない弟、なんとなく煙たい存在だった父、それに何かと騒がしい存在だったロレーヌが、今日は何だかとても愛しく感じられたのでした。
結局あれから敵はこの穴へやってくる事はなかったけれど、この穴の周りに敵がまだ潜んでいるかもしれない事や、第五騎士団の仲間達がこの穴の存在に気付いておらず、見当違いの場所で自分やエリーゼの行方を探しているのではないかと心配していたのです。
「‥グスタフ卿?」
エリーゼも穴の上から降り注ぐ朝日で目を覚まし、まだ開ききらない目を汚れた手で擦りました。
「おいっ、そんな汚い手で顔を擦ったら‥。」
「‥えっ?」
「あー、ほら目の周りが泥だらけじゃないか。」
グスタフ卿は、目の周りを泥や砂で汚したままボーッとしているエリーゼの顔を掴んで自分のハンカチで拭いてやりました。
「痛いっ。」
「あっ、すまない。強く拭きすぎたか?」
「痛いですっ。‥なんだか皮膚がチクチクする!」
「‥えっ?」
エリーゼはグスタフ卿のハンカチを取り上げるとすぐに地面に投げ捨てました。
「‥‥。」
グスタフ卿は何が起きたのか分からず、なすすべもなくエリーゼの事をただボーッと見つめていました。
「グスタフ卿!」
「‥あっ、ああ。どうした?」
「このハンカチ、微量な毒素が染み込ませてあります。」
「‥毒だって?いやそんなはずはない。僕だって毒については色々勉強しているんだ。その僕が気付かないような毒をどうして君が‥。」
「私、薬草や毒には詳しいんです。この世に存在する全ての植物の効能や毒素などの知識に関して、恐らくこの国で私の右に出る者はないと思います。」
「君が何故そんなものに詳しいんだ。」
「私の母がそういった事に詳しかったのです。」
「ああ、そうか。だから以前君は‥僕のこの顔中の吹き出物を自分なら治せるはずだと豪語していたのか。」
「そうです。」
「‥まだ顔は痛むのか?すまない。悪気がないとはいえ、また君を傷つけてしまった。」
「‥もう大丈夫です。外出先でいつ怪我をしてもいいように持っていた消毒薬をすぐつけましたから。‥あっ、グスタフ卿の顔にもつけてあげますよ。」
エリーゼはそう言うと、懐から小さいガラス瓶を取り出し、謎のスーッとする香りの液体をグスタフ卿の顔に吹き付けました。
「‥これは初めての体験だな。細かい霧のような液体が顔に吹き付けられた途端、ひんやりとして顔の痒みや痛みがスーッと引いていくようだ。」
グスタフ卿は目を閉じて気持ちよさような表情を浮かべました。
エリーゼが液体を吹きかけるのをやめてガラスの瓶をしまうと、グスタフ卿は物欲しそうな寂しそうな顔でエリーゼを見てきました。
「もっと欲しかったですか?」
「あっ、すまない。つい物欲しそうな顔で見てしまった。‥あまりにも気持ちが良かったから。」
「この液体は皮膚の炎症を抑えたり毒素を消す作用があるんですけど、アルコール分が強いので一度に使い過ぎると顔が逆に荒れてしまうんです。」
「‥そうか。」
「良ければこの薬、差し上げますよ。試しに使って見てください。ただ‥この薬はあくまで症状を抑える為だけの薬なので、グスタフ卿の吹き出物を治すには、根本原因を取り除かないと‥。」
エリーゼはそう言うと懐から薄い手袋のようなものを取り出して、グスタフ卿の持っていたハンカチを掴んで袋に入れてしまいました。
「‥グスタフ卿のハンカチ、私が調べてみてもいいですか。」
「いや、駄目だ。毒かもしれないんだろ?なら、そんな物を一般人の手に渡す事は出来ない!僕が預かる。」
「‥‥。」
「自分で調べたいんだ。さあ、貸してくれ。」
エリーゼはグスタフ卿の差し出した手に、ハンカチの入った袋を渋々手渡しました。
「絶対に調べて下さいね。グスタフ卿のハンカチに毒を染み込ませるなんて!もし犯人が分かったら、必ず傷害罪で訴えてやって下さいね!」
「分かった。」
「毒が何なのか分かったら絶対に私に教えて下さいね!必ずその毒に対抗できる薬を調合してみせますから!」
「分かった。」
「これから定期的に私に会いに来て下さいね。」
「‥分かった。」
「‥えっ?」
「ここから無事に出られたら近いうちに会いに行くよ。」
「絶対ですよ。絶対に会いに来て下さいね。」
エリーゼは嬉しさのあまりグスタフ卿に思い切り抱きついてしまいました。
グスタフ卿にすぐに体を引き離されるかと思いきや‥彼はエリーゼの事を抱きしめ返してきました。
蒸し暑い穴の中でジリジリと日の光が差し込む中、エリーゼとグスタフ卿は抱き合いました。
『‥あれ、グスタフ卿といつまで抱き合ってていいんだろう。グスタフ卿と私って‥今いい感じの関係になっているって事かしら。‥グスタフ卿は私がグスタフ卿を好きだって事を知ってるのよね。それならグスタフ卿は今私の事をどう思っているのかしら。』
「そういえばグスタフ卿は‥。」
エリーゼは、思わずグスタフ卿に自分の事をどう思っているのかをストレートに聞こうとしてしまいましたが、それを思いとどめました。
もしストレートに聞いて、またばっさりと振られてしまったら‥と思うと怖くなってしまったのです。やっとこ親しい関係になれたというのに、うっかり言った一言のせいでこの良い関係を壊したくなかったのです。
その代わりに、この機にどうしてもグスタフ卿に伝えておかなくてはならない自分の体質の事を告白しようと思いました。
「グスタフ卿、実はまだ話していない事が‥。」
エリーゼは、自分のラッキースケベ体質の事や本当の素顔を隠している事をこの機にグスタフ卿に明かそうとしました。
‥ですがそれはかないませんでした。
「おーい、こっちだぞ!こっちに敵の死体がある。この近くに団長もいるはずだ。」
グスタフ卿は素早くエリーゼを体から離すと、第五騎士団の声に反応しました。
「おーい、ここだ。穴の中にいるんだ。誰かロープを投げ入れてくれ。」
グスタフ卿がそう叫ぶと、すぐに穴の上の方から長いロープが投げ入れられました。
ロープには所々大きな結び目があり、グスタフ卿はエリーゼを抱き上げると、その結び目を利用して素早く穴の上へ登って行きました。
「助かった。皆んなありがとう。」
「‥!」
『おい、団長が笑ってるぞ。』
『何だか機嫌が良さそうだな。』
『それよりもあの女性は誰だ?昨日助けた女性の1人か?』
第五騎士団の皆んながざわざわする中、グスタフ卿が穴に落ちた時の様子やエリーゼの事を説明しはじめました。
「‥昨日助けた御令嬢の中にルモンド侯爵家の令嬢がいたとは知りませんでした。すぐにルモンド侯爵家に連絡します。今朝ルモンド侯爵家令嬢の捜索願いが出たところなんです。」
「あっ‥。」
「エリーゼ、そういう事だ。君は僕の部下と一緒にすぐに家へ帰るんだ。」
「分かりました。ご迷惑をおかけしました。」
「僕は今から報告をしにいかなければならない。‥また落ち着いたら、君に会いに行く。」
「分かりました。‥待ってますね。」
「‥ああ、待っていてくれ。」
グスタフ卿とエリーゼが見つめ合うただならぬ様子を、第五騎士団の皆んなは固唾を飲んで見守りました。
『まさか、団長にとうとう春が来たのか。』
『あんなに硬派な団長が何故あんな地味な女性に落ちたんだ?』
『いやいや、硬派な団長だからこそ派手な女性よりも素朴な女性を好むんじゃないか。』
第五騎士団の人達がヒソヒソ話し合う中、エリーゼはグスタフ卿の部下の1人に連れられて馬車に乗りました。
彼はエリーゼを馬車へ乗せると、そのまま御者席に座り馬車を走らせました。
‥馬車はものすごい勢いで走っていきました。
エリーゼは両手両足を伸ばして、体が浮き上がるのを必死に堪えていました。
「‥着きましたよ。」
グスタフ卿の部下が馬車を止めて、エリーゼをエスコートします。
エリーゼは馬車から降りるとヨロヨロと歩き出しました。
ルモンド侯爵家の皆が玄関から出てきて、待ちきれない様子でエリーゼに抱きついてきました。
「エリーゼ!こんなにもぼろぼろになって‥。」
「‥お母様、もしかして心配してくれてたの?」
「当たり前でしょ、相変わらず馬鹿な娘ね!」
エリーゼは家族全員に抱きしめられながら、なんとなく幸福な気分に浸りました。
口の悪い義母に、何を考えているのか分からない弟、なんとなく煙たい存在だった父、それに何かと騒がしい存在だったロレーヌが、今日は何だかとても愛しく感じられたのでした。
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