36 / 36
終わりとこれから
しおりを挟む
愛の怪我のこともあるので、抜糸が終わるまでの一週間は王城のダグラスの部屋で過ごすことになった。
王族たちは帝王に『沈黙の魔法』をかけられて国に戻ったらしく、愛が聖女だと公言できる人はいなくなった。
アイが世話になった医者や侍女までも例外ではなかったらしく、なんだか悪いことをした気になる。愛が謝ると、侍女はにこやかに答えてくれた。
「気になさらないでください。私はアイ様のお世話ができただけでとても光栄ですから」
その言葉にホッとする。
最初の日をのぞいて、愛の世話は彼女ではなく他の侍女が行っている。もちろんその侍女たちは愛のことを辺境から来た妙な女だとの認識らしく、相変わらず陰口や嫌味が聞こえてくる。
でもそれも日常に戻ったような感じがして、なんだか安心してしまう。もともと崇め奉られるのには慣れていないのだ。
(よかった。誰も私が聖女だなんて知らないんだ)
帝王は『沈黙の魔法』で力を使いすぎたらしく、あの日から顔を合わせることはなかった。時々、カルラがこっそり部屋に顔を出してアイを驚かせる。
煙になって移動するため、ある程度形作られるまでは気が付かない。愛は他の人たちに見つからないようにするので必死だ。夜だけにしてくれと言い聞かせたら、カルラは悲しそうに目を伏せた。
あの夜から、愛はずっとダグラスに新宮 塔子のことを尋ねていた。彼女は今、帝国の牢獄で裁きを待っているのだという。
そうして今日、ようやくダグラスから塔子の処遇が決まったのだと聞いた。
異世界から来たということで、死刑には反対の意見が多く出たらしい。なので一生王城で幽閉すると決まったとダグラスは語った。愛は彼女のことを思って心を曇らせる。
(私が逮捕したせいで彼女は一生を狭い部屋で過ごすんだ……)
自分の責任なのかと悩むが、愛はすぐに顔を横に振って考えるのを辞めた。こういう問題には答えはないのだ。似たような葛藤は刑事になってすぐから愛を悩ませた。でもいつも結論はでない。
彼女の仕事は犯人を捕まえるだけ。人を裁くのは他の人の役割だ。そう割り切るしかない。
魔力や結界が全く効かない彼女は、王城の隅にある一番高い塔の最上階に閉じ込められていた。塔子の足には長い鎖のついた足輪までつけられている。物理的に拘束するしかできないからだろう。
「あら、日和佐 愛さん。どうしたの? 私のことが気になったのかしら」
彼女はまるで自宅に人が訪ねてきたかのような気軽な対応に驚く。しばらく会話をするが、塔子は自分の犯した罪にも自分の未来でさえ、さほど興味はなさそうだ。
独房にはたくさんの本が山積みになっていて、彼女が本を読むことに時間を費やしているのが見て分かった。
愛の傍では三人の警備兵がしっかりと塔子を見張っている。日本語で会話する塔子の言葉は、彼らには理解できないだろう。
「まだ文字が難しくて簡単には読めないけれど、かなり興味深いのよ。あなたのおかげで時間はたっぷりできたし、ここで学ぶのは悪くないわ」
ということは塔子は愛の血を飲んだのだ。そうして愛の体液は、同じ世界から来た塔子の病気も治した。
(私の体液が人を助けるんだ……しかもどんな病気でも治してしまう)
愛が複雑な顔をしていると、塔子がその肩に手をのせた。
「私のことより、あなたの方が心配よ。だってこれからあなたの血や肉を狙う者が出てくるわ。日本では人魚の肉を食べれば不老不死になれるって言い伝えがあったわね。なんにでも効く万能薬だなんて、なんて聖女の能力に相応しいのかしら」
確かにそうだ。帝王は聖女の治癒能力について、王族たちには語らなかった。恐らくそうなることを危惧したからに違いない。
(私の血や肉を食べようと、命がけで私の体を狙う人が出てくる……?)
背筋がぞくっとするが愛はその感情を抑えた。塔子に怯えていることを悟られたくない。それに愛の強い負の感情は魔獣を呼び寄せてしまうと帝王が言っていた。しかもその負の感情が強ければ強いほど、強大な力の魔獣を引き寄せるとも。
その時、愛は塔子が禁忌の言葉。『聖女』という言葉を使ったことにふと気が付く。
(そうか。帝王様の『沈黙の魔法』も塔子にはかけられないんだ……だから彼女をこんな場所に幽閉したのね)
「あの……あなたは元の世界に帰りたいとは思わないんですか?」
罪悪感に駆られた愛の質問に、塔子は笑顔で答える。それは憑き物が落ちたような爽やかなものだった。
「そうね、思わないわ。どこにいるかは大した問題じゃないもの。それより自分が何をするかの方がよっぽど大事。ふふ、刑事さん。あなたにだけいいことを教えてあげる。頭の中の腫瘍を取り除いてくれたお礼よ」
塔子はそういうと、愛の耳元で何かを囁く。
愛は驚きに目を見張り、そうしてその塔子の言葉はまるで呪文のように愛の脳裏に焼き付いた。
♢ ♢ ♢
「何か心配事でもあるのか? トーコに会ってから何かおかしいが」
アンカスター伯爵家に向かう馬車の中、ぼうっと考え事をしている愛にダグラスが問う。ハッと気が付いて愛は顔を上げた。
二頭の尻尾がイタチの馬がひく馬車の後ろを、ミリリアが飛んで追いかけてきている。
「な、なんでもない」
愛は笑ってごまかす。こんなことダグラスにはとても言えない。愛はじっくりと考え込む。
塔子はあの時愛にこういったのだ。
『私がこの世界に来た時の入り口が開いているみたいなの。爆発の影響なのかしら。ナーデンの本神殿の御神木のうろに入り口があるわ。もしあなたが元の世界に戻りたいなら帰れるわよ』
そんな穴がまだ開いているとしたら、ナーデンの神官が気づかないわけがない。それにそんな簡単に行き来できるのならば、すでに日本から何人か来ていてもよさそうだ。
(きっと彼女にからかわれただけ。そうに決まってる)
なのにどうしてこんなに気になるのだろう。愛はダグラスとこの世界で生きていくと決めたはずなのに。でももしかして元の世界に帰れるかもしれないと思うとどうしても考え込んでしまう。
「少しは育ったんじゃないか? 俺のおかげだな」
ダグラスがぼそりと漏らした一言に、愛はハッと気が付いた。隣に座るダグラスが愛の肩に手を回して反対側の手で乳房を揉んでいるのだ。
(もー! この男はこんな時にまでっ!)
愛はキッと睨みつけると、乳房を揉み続けているダグラスの手の甲をつねった。彼は小さな声を上げて手を離す。
「強制わいせつ罪で、六か月以上七年以下の懲役!」
「少しぐらいいいじゃないか、もう俺たちは結婚したも同然だろう」
愛はその言葉に顔を真っ赤にして反論する。
「正式には私たちはまだ赤の他人! それに強制わいせつ罪は恋人同士でも成立するの!」
「……アイにとって俺はまだ恋人どまりか……ふぅ。まあ少しは前進したと喜ぶべきなのかな。俺としては運命のつがいをようやく見つけたような気持ちなんだが。俺のほうが愛に惚れてるから仕方ないか」
ダグラスが真剣な顔で悩んでいる。
(う、運命のつがいって、そこまで考えてたの?!)
愛は横目で彼を見た。相変わらず逞しい体に詰襟の騎士服が似合っている。つい二か月ほど前までは恋人もいなかったのに、こんな素敵な騎士団長と結婚できるなんて信じられない。
私も大好きだとダグラスに返したいが、恥ずかしくてどうしても口にできない。そのかわり、愛はそっぽを向いたまま、ダグラスの手の上にそっと自分の手を重ねた。
するとダグラスがふっと笑みを漏らした音が聞こえてくる。
彼が愛の手を握り返してくれたので、愛は照れながらもゆっくりとダグラスに視線を向ける。そうして彼を見た瞬間、心臓が大きく跳ねた。
(だ、駄目っ! 静まれ私の心臓っ!)
きっともう遅くて、ダグラスもそれを感じ取っているのだろう。
「はははっ!」
彼が嬉しそうに微笑むので、照れくささが倍増してして全身が熱くなり更に鼓動が激しくなる。
(あぁ、もうバカバカバカ! 私の心臓ったらどうしてこんなに節操がないの!)
するとダグラスは愛の頭をポンポンと撫でた。そうして愛情のこもった瞳で愛を見る。視線だけで全身を抱きしめられているよう。
「俺は分かってるから心配するな。お前が素直じゃないのは織り込み済みだ。俺も愛しているぞ、アイ」
「わ、私はあなたを愛しているなんて全然言ってない!!」
顔を真っ赤にしながら涙目で愛が言い返すが、ダグラスは更に幸せそうに笑った。
fin
いままで書いたところはこれでおしまいです。
これから愛は公には聖女としてではなく、ダグラスの婚約者として異世界で生きていきます。
現世界との交わりや開いたままの異世界との穴。
事情を知らない貴族や使用人などからの嫌がらせや、もう一人新しい刑事が異世界に来たり……完全人間体の魔獣が現れたりしますが、またそれは後日ということで。
塔子の存在も世界を混迷に陥れます。
ここまでお付き合いいただけてありがとうございます。ペコペコ
ではまた、次回作でお会いできることを楽しみにしています。
南 玲子
王族たちは帝王に『沈黙の魔法』をかけられて国に戻ったらしく、愛が聖女だと公言できる人はいなくなった。
アイが世話になった医者や侍女までも例外ではなかったらしく、なんだか悪いことをした気になる。愛が謝ると、侍女はにこやかに答えてくれた。
「気になさらないでください。私はアイ様のお世話ができただけでとても光栄ですから」
その言葉にホッとする。
最初の日をのぞいて、愛の世話は彼女ではなく他の侍女が行っている。もちろんその侍女たちは愛のことを辺境から来た妙な女だとの認識らしく、相変わらず陰口や嫌味が聞こえてくる。
でもそれも日常に戻ったような感じがして、なんだか安心してしまう。もともと崇め奉られるのには慣れていないのだ。
(よかった。誰も私が聖女だなんて知らないんだ)
帝王は『沈黙の魔法』で力を使いすぎたらしく、あの日から顔を合わせることはなかった。時々、カルラがこっそり部屋に顔を出してアイを驚かせる。
煙になって移動するため、ある程度形作られるまでは気が付かない。愛は他の人たちに見つからないようにするので必死だ。夜だけにしてくれと言い聞かせたら、カルラは悲しそうに目を伏せた。
あの夜から、愛はずっとダグラスに新宮 塔子のことを尋ねていた。彼女は今、帝国の牢獄で裁きを待っているのだという。
そうして今日、ようやくダグラスから塔子の処遇が決まったのだと聞いた。
異世界から来たということで、死刑には反対の意見が多く出たらしい。なので一生王城で幽閉すると決まったとダグラスは語った。愛は彼女のことを思って心を曇らせる。
(私が逮捕したせいで彼女は一生を狭い部屋で過ごすんだ……)
自分の責任なのかと悩むが、愛はすぐに顔を横に振って考えるのを辞めた。こういう問題には答えはないのだ。似たような葛藤は刑事になってすぐから愛を悩ませた。でもいつも結論はでない。
彼女の仕事は犯人を捕まえるだけ。人を裁くのは他の人の役割だ。そう割り切るしかない。
魔力や結界が全く効かない彼女は、王城の隅にある一番高い塔の最上階に閉じ込められていた。塔子の足には長い鎖のついた足輪までつけられている。物理的に拘束するしかできないからだろう。
「あら、日和佐 愛さん。どうしたの? 私のことが気になったのかしら」
彼女はまるで自宅に人が訪ねてきたかのような気軽な対応に驚く。しばらく会話をするが、塔子は自分の犯した罪にも自分の未来でさえ、さほど興味はなさそうだ。
独房にはたくさんの本が山積みになっていて、彼女が本を読むことに時間を費やしているのが見て分かった。
愛の傍では三人の警備兵がしっかりと塔子を見張っている。日本語で会話する塔子の言葉は、彼らには理解できないだろう。
「まだ文字が難しくて簡単には読めないけれど、かなり興味深いのよ。あなたのおかげで時間はたっぷりできたし、ここで学ぶのは悪くないわ」
ということは塔子は愛の血を飲んだのだ。そうして愛の体液は、同じ世界から来た塔子の病気も治した。
(私の体液が人を助けるんだ……しかもどんな病気でも治してしまう)
愛が複雑な顔をしていると、塔子がその肩に手をのせた。
「私のことより、あなたの方が心配よ。だってこれからあなたの血や肉を狙う者が出てくるわ。日本では人魚の肉を食べれば不老不死になれるって言い伝えがあったわね。なんにでも効く万能薬だなんて、なんて聖女の能力に相応しいのかしら」
確かにそうだ。帝王は聖女の治癒能力について、王族たちには語らなかった。恐らくそうなることを危惧したからに違いない。
(私の血や肉を食べようと、命がけで私の体を狙う人が出てくる……?)
背筋がぞくっとするが愛はその感情を抑えた。塔子に怯えていることを悟られたくない。それに愛の強い負の感情は魔獣を呼び寄せてしまうと帝王が言っていた。しかもその負の感情が強ければ強いほど、強大な力の魔獣を引き寄せるとも。
その時、愛は塔子が禁忌の言葉。『聖女』という言葉を使ったことにふと気が付く。
(そうか。帝王様の『沈黙の魔法』も塔子にはかけられないんだ……だから彼女をこんな場所に幽閉したのね)
「あの……あなたは元の世界に帰りたいとは思わないんですか?」
罪悪感に駆られた愛の質問に、塔子は笑顔で答える。それは憑き物が落ちたような爽やかなものだった。
「そうね、思わないわ。どこにいるかは大した問題じゃないもの。それより自分が何をするかの方がよっぽど大事。ふふ、刑事さん。あなたにだけいいことを教えてあげる。頭の中の腫瘍を取り除いてくれたお礼よ」
塔子はそういうと、愛の耳元で何かを囁く。
愛は驚きに目を見張り、そうしてその塔子の言葉はまるで呪文のように愛の脳裏に焼き付いた。
♢ ♢ ♢
「何か心配事でもあるのか? トーコに会ってから何かおかしいが」
アンカスター伯爵家に向かう馬車の中、ぼうっと考え事をしている愛にダグラスが問う。ハッと気が付いて愛は顔を上げた。
二頭の尻尾がイタチの馬がひく馬車の後ろを、ミリリアが飛んで追いかけてきている。
「な、なんでもない」
愛は笑ってごまかす。こんなことダグラスにはとても言えない。愛はじっくりと考え込む。
塔子はあの時愛にこういったのだ。
『私がこの世界に来た時の入り口が開いているみたいなの。爆発の影響なのかしら。ナーデンの本神殿の御神木のうろに入り口があるわ。もしあなたが元の世界に戻りたいなら帰れるわよ』
そんな穴がまだ開いているとしたら、ナーデンの神官が気づかないわけがない。それにそんな簡単に行き来できるのならば、すでに日本から何人か来ていてもよさそうだ。
(きっと彼女にからかわれただけ。そうに決まってる)
なのにどうしてこんなに気になるのだろう。愛はダグラスとこの世界で生きていくと決めたはずなのに。でももしかして元の世界に帰れるかもしれないと思うとどうしても考え込んでしまう。
「少しは育ったんじゃないか? 俺のおかげだな」
ダグラスがぼそりと漏らした一言に、愛はハッと気が付いた。隣に座るダグラスが愛の肩に手を回して反対側の手で乳房を揉んでいるのだ。
(もー! この男はこんな時にまでっ!)
愛はキッと睨みつけると、乳房を揉み続けているダグラスの手の甲をつねった。彼は小さな声を上げて手を離す。
「強制わいせつ罪で、六か月以上七年以下の懲役!」
「少しぐらいいいじゃないか、もう俺たちは結婚したも同然だろう」
愛はその言葉に顔を真っ赤にして反論する。
「正式には私たちはまだ赤の他人! それに強制わいせつ罪は恋人同士でも成立するの!」
「……アイにとって俺はまだ恋人どまりか……ふぅ。まあ少しは前進したと喜ぶべきなのかな。俺としては運命のつがいをようやく見つけたような気持ちなんだが。俺のほうが愛に惚れてるから仕方ないか」
ダグラスが真剣な顔で悩んでいる。
(う、運命のつがいって、そこまで考えてたの?!)
愛は横目で彼を見た。相変わらず逞しい体に詰襟の騎士服が似合っている。つい二か月ほど前までは恋人もいなかったのに、こんな素敵な騎士団長と結婚できるなんて信じられない。
私も大好きだとダグラスに返したいが、恥ずかしくてどうしても口にできない。そのかわり、愛はそっぽを向いたまま、ダグラスの手の上にそっと自分の手を重ねた。
するとダグラスがふっと笑みを漏らした音が聞こえてくる。
彼が愛の手を握り返してくれたので、愛は照れながらもゆっくりとダグラスに視線を向ける。そうして彼を見た瞬間、心臓が大きく跳ねた。
(だ、駄目っ! 静まれ私の心臓っ!)
きっともう遅くて、ダグラスもそれを感じ取っているのだろう。
「はははっ!」
彼が嬉しそうに微笑むので、照れくささが倍増してして全身が熱くなり更に鼓動が激しくなる。
(あぁ、もうバカバカバカ! 私の心臓ったらどうしてこんなに節操がないの!)
するとダグラスは愛の頭をポンポンと撫でた。そうして愛情のこもった瞳で愛を見る。視線だけで全身を抱きしめられているよう。
「俺は分かってるから心配するな。お前が素直じゃないのは織り込み済みだ。俺も愛しているぞ、アイ」
「わ、私はあなたを愛しているなんて全然言ってない!!」
顔を真っ赤にしながら涙目で愛が言い返すが、ダグラスは更に幸せそうに笑った。
fin
いままで書いたところはこれでおしまいです。
これから愛は公には聖女としてではなく、ダグラスの婚約者として異世界で生きていきます。
現世界との交わりや開いたままの異世界との穴。
事情を知らない貴族や使用人などからの嫌がらせや、もう一人新しい刑事が異世界に来たり……完全人間体の魔獣が現れたりしますが、またそれは後日ということで。
塔子の存在も世界を混迷に陥れます。
ここまでお付き合いいただけてありがとうございます。ペコペコ
ではまた、次回作でお会いできることを楽しみにしています。
南 玲子
0
お気に入りに追加
1,442
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(32件)
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから
gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
完結お疲れ様でした!とても楽しませて頂きました♪
愛とダグラスが幸せになれて良かったです!
私としては帝王がやっぱり好きです。とても良いキャラでした!
なにやら、まだまだお話が続いていきそうな感じですねっ
ひとまず、素敵なお話をありがとうございました!
完結おめでとうございます。
あとがきからすると、また続きがあるかもしれないんですか?期待してしまいます。
私は帝王様が好みだったので大人な帝王様が読みたいですね。カッコいいだろうな。
楽しい時間をありがとうございました。
また、次作もしくは続編楽しみにしています。
完結お疲れ様でした。楽しく拝見させて頂きました。次回作も楽しみにしております。
as様
ありがとうございます。
今度の次回作はもっと早く出せるように頑張りますね。
ペコペコ