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媚薬は甘い香り

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そのままダグラスに横抱きにされ階段を上がり、寝室に連れ込まれる。

「おい、大丈夫か? アイ。まさかジルミを食べさせられるとはな。あらかじめお前に注意しておけばよかった」

ダグラスの声が聞こえるが、愛は必死で誘惑に耐えているので頭には入ってこない。彼はベッドの端に座りこんで、寝かされている愛の上に身をかがめた。

「どうする? 俺がおさめてやろうか? 何度かイけば興奮はおさまるはずだ」

「――や、やだ。ダグラスはどっか行ってて。自分で何とかする」

愛は枕を抱えてベッドの上に突っ伏して答えた。けれども依然として愛の体は痺れて敏感になっているし、息も熱く激しい。早くダグラスに抱かれて楽になりたいと本能が求めるがそれは嫌なのだ。

「なぜだ? 昨日だってやったじゃないか。それと同じだ……」

戸惑いを含んだ声が愛の鼓膜を揺さぶる。そうしてダグラスが愛の頭を撫でようと手を伸ばしてきた。彼の指が触れたところから気持ちよさが広がって、ますます抱いてほしいと思うようになる。

我慢ができなくなった愛は大きな声で叫んだ。

「さ、触らないでっ!こんな状態で抱かれたら絶対に淫乱女みたいになって恥ずかしいとこみせちゃう。それに媚薬を治めるためのセックスなんて嫌っ。だからダグラスは私をここに置いて宴会に戻って! もし無理やり抱こうとしたら殴るわよ!」

(もう、早く部屋から出て行って!)

傍にいてほしい気持ちと、彼といると理性が外れてしまうかもという不安が交差する。

「分かった、こうしよう」

短く一言つぶやくと、ダグラスは愛の胸元に手を入れた。

「ちょ、やだっていったじゃないっ!」

殴ろうと振り返った愛の両手首を掴むと、ダグラスはそれを大きく頭上に持ち上げる。そうしてガシャリと聞き覚えのある金属音が頭上の手元で聞こえた。

「な、なに……これ」

愛の両手首には手錠が巻かれ、それはベッドの柵に回されていて腕を下ろせない。ダグラスは素早く体の上に覆いかぶさってきた。

「惚れた女が苦しんでるのに放っておくなんてできないだろう。やらないから心配するな、すぐに楽にしてやる」

あっという間にズボンを膝まで降ろされる。そうして間をあけずに股の間に熱い塊が落とされた。一瞬、彼の剛直を当てられたのかと思ったが違う。ダグラスが愛の秘所を舌で舐めているのだ。

「そ、そんなこと誰にもされたことなっ……! あっ……やっ!」

羞恥心が込み上げるがそれ以上に媚薬の効果が大きくて、気持ちよさに足を閉じることができない。そればかりかあそこは敏感になっていて与えられる快感をつぶさに拾ってしまう。

熱い唇が花びらをかき分け、ねっとりとした舌が花びらの蕾を探り当てる。

もうすでに熟しきっていた愛の蕾は、甘い香りのする愛液に浸されてぐっちょりと濡れていた。そこにダグラスの唾液が混ざって更にぴちゃぴちゃと淫靡な音を立てる。

ダグラスは蕾を執拗に舐ったり吸い上げたりして、これでもかといわんばかりに甘い蜜のような快楽を与え続けた。すぐに腰の奥から絶頂が込み上げてくる。愛は足の指を曲げ腰をのけぞらして何度かビクンと体を跳ねさせた。

「あぁぁぁっ! イ、イっちゃうぅ!」

もう愛の目からは涙が流れだし、噛みしめた唇の端からもよだれがこぼれ落ちてきている。

「大丈夫だ。このままどんどんイけ」

彼女がそっと目をやるとダグラスは唇についた液体を腕で拭っていた。その姿があまりにも雄々しくて、媚薬で息をするのも苦しいのに愛は思わずドキンと胸を弾ませる。

(あぁ、ダグラスが欲しい! なりふり構わず懇願して彼のものを挿れてほしい! でもそんな動物みたいなセックスは嫌っ!)

じゅるじゅるという音が聞こえてきて、またあそこを吸われているのだと愛は気づく。もうこのままダグラスの唇でぐちゃぐちゃに溶かされてしまいそうだ。

二、三回どころではなかっただろう。数えきれないほどダグラスに絶頂に導かれた後、愛はようやく朦朧としていた意識がはっきりしていくのを感じた。

いつの間にか手錠は外されていたようで、両手も自由になっている。彼はベッドの上で座って、愛を見下ろしていた。

愛は込み上げる恥ずかしさを抑えて上半身を起こす。そうしてダグラスに向きなおった。彼は冷静を装ってはいるが、欲情に煽られた己を必死で抑えているのだろう。下半身が膨れている。

「ダグラス……ズボンを下ろして」

愛の言っている意味が分からないようだ。ダグラスは何を言っているんだという目で彼女を見た。愛は彼のベルトに手をかけると、それを外し始める。

ようやく彼女の意図が分かったのだろうダグラスが慌て始めた。

「アイ、まだ媚薬が抜けていなかったのか! こらっ! 勝手にズボンを下ろすなっ!」

彼の抵抗もお構いなしに下着まで引きずり下ろした愛は、いきなり飛び出てきた想像を絶する大きさのそれに息を呑んだ。

(す、すごい! こんなに大きいの見たことないわ! ――で、でも怯んじゃダメ!)

「と、とにかく私は借りは返す主義なの。うまくできるかどうか自信はないけど、一回だけ口でイかせてあげるわ」

そういうと愛は目を閉じて一気にその熱い肉棒を口の中に含む。悦楽に悶える彼女の姿を見たせいで、彼の性欲は最高潮まで昂っていたようだ。あれの大きさがそれを証明している。

あまりの大きさに喉が圧迫されて苦しい。けれども顎が外れそうなのを我慢して頭を上下させる。硬い男根のくびれが下唇に引っかかると一度唾液を吸い上げ、そうしてもう一度熱い剛直を口いっぱいに頬張る。

(あっ、なんだか血管がドクンドクンって波打ってるような感じがする。気持ちいいって思ってくれてるの?)

それを繰り返しながらそっと目を開けると、ダグラスと目が合った。彼は自身の剛直を口いっぱいに頬張っている愛を凝視している。そうして目を細めると何度も短い息を繰り返した。

あまりに大きいので唇の端から垂れ落ちる涎を止められない。

「くっ! アイッ! 口を離せっ!」

顔を大きく歪めたかと思ったら口内の塊が大きく動き始めた。愛が気が付いた瞬間には、すでに何度も生暖かい液体が喉の奥深くに注がれている。

(や、やだっ! 少し飲み込んじゃった! うぅぅぅ、ちっとも美味しくないわ。これ……)

「んううぅぅぅぅぅ」

ダグラスのものから口を離すと愛は口いっぱいの状態で彼を見る。そうして近くにあったティッシュの上に白濁液を吐きだして顔を隠しながらこう言った。

「こんなにまずいなんて知らなかったわ。でもこれで貸し借りなしね」

そういうとダグラスが本当に嬉しそうに笑った。どうしたのかと愛がその理由を問う。

「いままでこの味を知らなかったってことは、口でしたのは初めてなんだろう? お前の前の男に勝ったな」

ベッドに胡坐をかいて、半裸で自信満々に語る彼を見て愛は吹き出した。そうしてまた胸に手を入れてこようとするダグラスの手をたたき落とし二人は見つめ合う。

「こういうのは勝ち負けじゃない。それにそういうことを女性に聞くのはルール違反よ」

「ルール違反か……で、それはお前の国では懲役何年なんだ?」

ダグラスは手を顎に当てて真剣に悩んでいる様子。突拍子もない質問に、愛は思わず笑って返した。

「ふふふっ。そうね、重大な犯罪だわ。無期懲役かもね」

「――アイの国は恐ろしいところだな……」

青くなっているダグラスに、彼女は唇を寄せた。気が付いた彼が同時に顔を寄せてくる。唇が触れるか触れないかのうちに、愛は少しだけ身を引いた。まだ口の中にあれが残っているかもしれない。

するとダグラスが切ない顔をしたので、愛はそのまま自分の唇を押し当てた。どちらからともなく深いキスが始まる。くちゅくちゅと互いの舌を絡ませていると、突然愛が神妙な顔をしてキスを中断した。

「――そういえば、私。かなり大声で喘いじゃった気がする。まさか近くの部屋で寝てるトーマスさんに聞こえてないよね」

騎士達は階下で騒いでいるので大丈夫だと思ったが、そういえばトーマスは同じ階で休んでいるのを忘れていた。

「あぁ、それなら俺が結界張ったから大丈夫だ。お前と二人きりになるときは必ずそうしてるから心配するな。部屋の中の音は聞こえないし、誰もこの部屋には入れない」

そういってダグラスはキスを再開させようとするが、なんだか腑に落ちない。愛は両手でダグラスの体を押しのけると、じっとりと責めるような目で彼を見た。

「待って……ということはあなたからセクハラされてた時もテントに結界を張ってたんだ。あの時、ダグラスは誰かに聞かれるかもしれないから声を出すなって言ったわよね。みんなに女だってばれると大変なことになるって」

「あーあの時は、偶然かけ忘れてたんだ。そんなこともある」

愛はひょうひょうと語るダグラスを睨みつけると、無言でベッドから降りてパジャマに着替え始めた。そうして寝る支度をすませてダグラスに向かってこう言った。

「ダグラス、あなた騎士団長でみんなの上司なんだから宴会に戻ったほうがいいわ。世話係の私は先に休ませてもらいます。じゃあお休みなさい」

「――アイッ!」

悲壮な叫びが聞こえるが、愛は構わずシーツの下に潜り込んで目を閉じた。

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