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ミーアの正体
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ミュリエルは警備兵に保護され、屋敷に帰った。その後屋敷に帰ってきたマックスとカレンとルイスとヒースは、襲撃の話を聞いて驚いた。
特にルイスとマックスにはかなり詳しく襲撃の様子を尋ねられたが、リュークの事を話すのははばかられたので、リュークの護衛の人に助けてもらったのだといった。その後リュークは、その護衛と一緒にブルージュ伯爵家に帰ったと説明した。
嘘は言っていない。少し脚色しただけだ。マックス騎士様はもしかしてリュークの正体を知っていたのかもしれない。大体、王帝魔術騎士が私の隣にいること自体があり得ないことだ。それもリュークからの繋がりだ。
ああ・・・そうだ、そう考えていけばリュークの存在自体がおかしかった。突然13歳の時にいきなりジリアーニ学園に編入するなんてあり得ない。よほど魔力があるとか、魔方陣の作成に優れているとかの才能でもなければ、貴族であったとしても不可能だ。しかもリュークの成績はいつも地を這っていた。
もうリュークの事は忘れよう。ミュリエルはため息をついた。
ボロジュネール子爵家の屋敷は広大だが、手入れをしていないため使用できる部屋は限られる。なのでみんな寝るとき以外は大広間に集まっていた。ただヒースは屋敷に戻るなり、こういい残して王都の王帝科学研究室に帰っていった。
「あれから随分探したが、この新種のアリは見つからんかった。研究所の所長には連絡を取ったから、明日には研究員が大量にボロジュネール子爵家にくるぞ。わしはとにかく時間が惜しいので、このヒュートリム草と新種のアリを持って研究室に戻る。もっと細胞組成を研究してみたいのでな」
残されたマックスとカレン。クレアにミュリエルとルイスが大広間に勢ぞろいしていた。みんなクレアをのぞいて疲れ切った顔をしている。無理もない、殆ど一日中洞窟内で過ごしていたのだ。
「どうしよう・・・明日たくさんの研究員が来るって言ってたわよね。うちにはもうこれ以上人を泊めるスペースなんてないわ。うちの庭にテントを建てるってどうかしら?」
「姉さま。僕のお部屋を使ってくださっても構いませんよ。僕は姉さまの部屋で一緒に寝ますから」
「まあ、ギュンターったら。いいのよあなたは気にしなくて。私と寝たいならいつでも寝室にいらっしゃい。あなたなら大歓迎よ」
「わあい、お姉さま。大好き!」
ギュンターが天使のような笑顔でミュリエルと抱き合っている。その様子を微笑ましく見つめていたマックスが思い出したようにつぶやいた。
「そういえばこの屋敷はミュリエルの祖父であるジョーゼフ子爵によって増築されたんですよね。資料室の書物に載っていました。東館は昔は存在しなかったとか・・・」
「そうなんです。東館は我が家で一番新しい建物なのに、あそこに白アリが湧いてしまって・・・。柱がスカスカになったので、人の立ち入りは禁止しているんです。いつ建物が崩れてくるかもわかりませんから・・・」
「もう、アリの話はいいよ。今日はそのアリを3時間以上洞窟で探したんだから。ああ、今日、夢にもでてきそうだ」
ルイスがアリという単語を聞くのも嫌そう顔を覆っていう。
「でもお嬢様。うちの白アリは普通の白アリではないんですよ。本当にしぶとくてポールが駆除するのに苦労しています。なんでも危険を感じたら変な液体を出して威嚇するそうですわ。それがまた一度手についたらなかなか取れないんですって」
「液体をだして・・・なかなか取れない・・・白アリ・・・ちょっと待って!!リリアンさん、そのアリどんな色をしているんですか?!」
「ルイス様おかしなことを聞きますのね。白アリですから、もちろん白色ですわ。それがどうかしまして?」
その答えに、いちど高揚した気持ちが一気に下降する。
「まあ、そううまくはいかないわよね。白アリは白アリってことよね・・・」
「そりゃそうですわ、お嬢様。当屋敷の白アリは別名スミレアリともいって、ボロジュネール領にしか生息しない珍しいアリなんですって。昔は数を増やそうとしていたらしいんですけど、こんなに増えちゃったらもうどうにもなりませんわ」
スミレアリ・・・ん?スミレって紫色の花じゃなかったっけ?
ミュリエルはマックスと顔を見合わせる。そうして突然二人で立ち上がったかと思うと一緒に部屋をでて走り去っていった。その後を何事かとカレンとルイスがついてくる。
「ジョーゼフ子爵が建てた東館に、むかし飼っていたスミレアリ・・。これはもしかしたらそうなのかもしれませんよ!」
「そうね。おじい様はスライムに鉱山士が襲われないようにと増やしていたのかもしれないわ。だけど、ヒュートリム草がなくなってからは必要なくなったので放置してたのよ。だから東館から広がっていったのかも!!」
燃料費がもったいないので明りの全くない真っ暗な廊下を走り抜けて、東館につながる大きな扉の前まで来た。長年使っていないその扉は固く閉ざされていて、なかなか開かなかったがマックスが何とか力任せに開けて、二人で中に入る。
窓も板で打ち付けてあるので月の灯りすら入らない真っ暗な空間に怯えて、ミュリエルが尻ごみをし始めた。
「な・・・なんか、幽霊でもでそうなんだけど・・マックス騎士様、そこにいますか?」
「大丈夫です、ミュリエル。あなたは洞窟は怖くないのに、自分の館の暗闇が怖いなんて面白いですね。ほら蛍光虫を持ってきていますので、いまから明るくなりますよ」
そういって安心させるようにミュリエルの手を握った。ミュリエルはその手を頼りにマックスの腕にしがみ付いてから言った。
「私が物心ついたときからもうここは閉鎖されていて、ことあるごとにおじいさまが東館をネタにした怪談話をして私を怖がらせてたからトラウマなんです」
二人が足を進めるたびに床がギシギシと音を立てる。
「ミュリエル!!見てください!!!」
突然マックスが大きな声を上げたと思ったら、そこには蛍光虫に照らされて紫の色を放つたくさんの白アリが、束になってもぞもぞと動いていた。
「これがミーアです!!とうとう見つけました!!」
「本当にこれがミーアなの・・・?これで王国が助かるのね!!!それに王国だけじゃなくてボロジュネール家も助かるのね!!やったわ!マックス様!!私やったわ!!」
ミュリエルは大はしゃぎで思わずマックスに抱きついた。マックスは突然のミュリエルの行動に一瞬ひるんだが、何かを考え直したように彼女の体を抱き寄せた。
「ミュリエル。これで借金も返してハンセルと結婚しなくて済むようになりましたね。私としては貴方の偽装婚約者になれなくて少々残念ですが、次は偽装でない方を目指して頑張りますよ」
「あーーーお前ら何をしているんだ!!おい!マックス!!ミュリエルから離れろ!!」
後からマックスとミュリエルを追ってきたルイスが二人が抱き合っているのを見て、間に割り込もうとする。それを見てミュリエルはルイスも巻き込んで3人で抱き合った。
「ルイス!!やったわよ!!これでボロジュネール子爵家にお金ができるのよ!!そうしたら、ギュンターにもいい学校に行かせてあげられるし、社交界に出ても恥ずかしくないようにしてあげられるわ!!お父様にもいい薬が買える!!」
「ミュリエル・・・」
ルイスはそんな無邪気なミュリエルの様子を見て、少年のように笑っていった。
「はははっ、ミュリエルらしいや!!自力で借金を返してしまうなんて・・・!!」
「そうですね、どの貴族の令嬢でも無理でしょうね」
「あっ、早くお父様にも知らせてあげないと!!私がハンセルと結婚させられるんじゃないかと凄く心配してたから・・・」
「マックス様、早く行動しないと我々は来週には戦場ですよ」
カレンが抱き合っている3人から離れたところに立って、小さな声で無表情のままつぶやいた。
その夜。ボロジュネール子爵家の夕飯はいつになく豪勢なものが出た。庭師のポールは、自分が毎日駆除に必死に明け暮れていた白アリが王国を救うと聞いて、卒倒しそうになりながらも喜んだ。
リリアンはあれは白アリだと主張したが、暗闇に長くいると色を変えるという事が分かってようやく安心したようだ。ミュリエルがハンセルのところに嫁に行かなくてすむと聞くと、泣いて喜んだ。
みんな幸せな夜を過ごした。次の日、ミュリエルの元にジリアーニ学園から審問会の知らせが来るまでは・・・。
特にルイスとマックスにはかなり詳しく襲撃の様子を尋ねられたが、リュークの事を話すのははばかられたので、リュークの護衛の人に助けてもらったのだといった。その後リュークは、その護衛と一緒にブルージュ伯爵家に帰ったと説明した。
嘘は言っていない。少し脚色しただけだ。マックス騎士様はもしかしてリュークの正体を知っていたのかもしれない。大体、王帝魔術騎士が私の隣にいること自体があり得ないことだ。それもリュークからの繋がりだ。
ああ・・・そうだ、そう考えていけばリュークの存在自体がおかしかった。突然13歳の時にいきなりジリアーニ学園に編入するなんてあり得ない。よほど魔力があるとか、魔方陣の作成に優れているとかの才能でもなければ、貴族であったとしても不可能だ。しかもリュークの成績はいつも地を這っていた。
もうリュークの事は忘れよう。ミュリエルはため息をついた。
ボロジュネール子爵家の屋敷は広大だが、手入れをしていないため使用できる部屋は限られる。なのでみんな寝るとき以外は大広間に集まっていた。ただヒースは屋敷に戻るなり、こういい残して王都の王帝科学研究室に帰っていった。
「あれから随分探したが、この新種のアリは見つからんかった。研究所の所長には連絡を取ったから、明日には研究員が大量にボロジュネール子爵家にくるぞ。わしはとにかく時間が惜しいので、このヒュートリム草と新種のアリを持って研究室に戻る。もっと細胞組成を研究してみたいのでな」
残されたマックスとカレン。クレアにミュリエルとルイスが大広間に勢ぞろいしていた。みんなクレアをのぞいて疲れ切った顔をしている。無理もない、殆ど一日中洞窟内で過ごしていたのだ。
「どうしよう・・・明日たくさんの研究員が来るって言ってたわよね。うちにはもうこれ以上人を泊めるスペースなんてないわ。うちの庭にテントを建てるってどうかしら?」
「姉さま。僕のお部屋を使ってくださっても構いませんよ。僕は姉さまの部屋で一緒に寝ますから」
「まあ、ギュンターったら。いいのよあなたは気にしなくて。私と寝たいならいつでも寝室にいらっしゃい。あなたなら大歓迎よ」
「わあい、お姉さま。大好き!」
ギュンターが天使のような笑顔でミュリエルと抱き合っている。その様子を微笑ましく見つめていたマックスが思い出したようにつぶやいた。
「そういえばこの屋敷はミュリエルの祖父であるジョーゼフ子爵によって増築されたんですよね。資料室の書物に載っていました。東館は昔は存在しなかったとか・・・」
「そうなんです。東館は我が家で一番新しい建物なのに、あそこに白アリが湧いてしまって・・・。柱がスカスカになったので、人の立ち入りは禁止しているんです。いつ建物が崩れてくるかもわかりませんから・・・」
「もう、アリの話はいいよ。今日はそのアリを3時間以上洞窟で探したんだから。ああ、今日、夢にもでてきそうだ」
ルイスがアリという単語を聞くのも嫌そう顔を覆っていう。
「でもお嬢様。うちの白アリは普通の白アリではないんですよ。本当にしぶとくてポールが駆除するのに苦労しています。なんでも危険を感じたら変な液体を出して威嚇するそうですわ。それがまた一度手についたらなかなか取れないんですって」
「液体をだして・・・なかなか取れない・・・白アリ・・・ちょっと待って!!リリアンさん、そのアリどんな色をしているんですか?!」
「ルイス様おかしなことを聞きますのね。白アリですから、もちろん白色ですわ。それがどうかしまして?」
その答えに、いちど高揚した気持ちが一気に下降する。
「まあ、そううまくはいかないわよね。白アリは白アリってことよね・・・」
「そりゃそうですわ、お嬢様。当屋敷の白アリは別名スミレアリともいって、ボロジュネール領にしか生息しない珍しいアリなんですって。昔は数を増やそうとしていたらしいんですけど、こんなに増えちゃったらもうどうにもなりませんわ」
スミレアリ・・・ん?スミレって紫色の花じゃなかったっけ?
ミュリエルはマックスと顔を見合わせる。そうして突然二人で立ち上がったかと思うと一緒に部屋をでて走り去っていった。その後を何事かとカレンとルイスがついてくる。
「ジョーゼフ子爵が建てた東館に、むかし飼っていたスミレアリ・・。これはもしかしたらそうなのかもしれませんよ!」
「そうね。おじい様はスライムに鉱山士が襲われないようにと増やしていたのかもしれないわ。だけど、ヒュートリム草がなくなってからは必要なくなったので放置してたのよ。だから東館から広がっていったのかも!!」
燃料費がもったいないので明りの全くない真っ暗な廊下を走り抜けて、東館につながる大きな扉の前まで来た。長年使っていないその扉は固く閉ざされていて、なかなか開かなかったがマックスが何とか力任せに開けて、二人で中に入る。
窓も板で打ち付けてあるので月の灯りすら入らない真っ暗な空間に怯えて、ミュリエルが尻ごみをし始めた。
「な・・・なんか、幽霊でもでそうなんだけど・・マックス騎士様、そこにいますか?」
「大丈夫です、ミュリエル。あなたは洞窟は怖くないのに、自分の館の暗闇が怖いなんて面白いですね。ほら蛍光虫を持ってきていますので、いまから明るくなりますよ」
そういって安心させるようにミュリエルの手を握った。ミュリエルはその手を頼りにマックスの腕にしがみ付いてから言った。
「私が物心ついたときからもうここは閉鎖されていて、ことあるごとにおじいさまが東館をネタにした怪談話をして私を怖がらせてたからトラウマなんです」
二人が足を進めるたびに床がギシギシと音を立てる。
「ミュリエル!!見てください!!!」
突然マックスが大きな声を上げたと思ったら、そこには蛍光虫に照らされて紫の色を放つたくさんの白アリが、束になってもぞもぞと動いていた。
「これがミーアです!!とうとう見つけました!!」
「本当にこれがミーアなの・・・?これで王国が助かるのね!!!それに王国だけじゃなくてボロジュネール家も助かるのね!!やったわ!マックス様!!私やったわ!!」
ミュリエルは大はしゃぎで思わずマックスに抱きついた。マックスは突然のミュリエルの行動に一瞬ひるんだが、何かを考え直したように彼女の体を抱き寄せた。
「ミュリエル。これで借金も返してハンセルと結婚しなくて済むようになりましたね。私としては貴方の偽装婚約者になれなくて少々残念ですが、次は偽装でない方を目指して頑張りますよ」
「あーーーお前ら何をしているんだ!!おい!マックス!!ミュリエルから離れろ!!」
後からマックスとミュリエルを追ってきたルイスが二人が抱き合っているのを見て、間に割り込もうとする。それを見てミュリエルはルイスも巻き込んで3人で抱き合った。
「ルイス!!やったわよ!!これでボロジュネール子爵家にお金ができるのよ!!そうしたら、ギュンターにもいい学校に行かせてあげられるし、社交界に出ても恥ずかしくないようにしてあげられるわ!!お父様にもいい薬が買える!!」
「ミュリエル・・・」
ルイスはそんな無邪気なミュリエルの様子を見て、少年のように笑っていった。
「はははっ、ミュリエルらしいや!!自力で借金を返してしまうなんて・・・!!」
「そうですね、どの貴族の令嬢でも無理でしょうね」
「あっ、早くお父様にも知らせてあげないと!!私がハンセルと結婚させられるんじゃないかと凄く心配してたから・・・」
「マックス様、早く行動しないと我々は来週には戦場ですよ」
カレンが抱き合っている3人から離れたところに立って、小さな声で無表情のままつぶやいた。
その夜。ボロジュネール子爵家の夕飯はいつになく豪勢なものが出た。庭師のポールは、自分が毎日駆除に必死に明け暮れていた白アリが王国を救うと聞いて、卒倒しそうになりながらも喜んだ。
リリアンはあれは白アリだと主張したが、暗闇に長くいると色を変えるという事が分かってようやく安心したようだ。ミュリエルがハンセルのところに嫁に行かなくてすむと聞くと、泣いて喜んだ。
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