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レイモンドとの別れ話
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ようやく午後の授業も終わり、ミュリエルはレイモンドといつも会っている約束の場所に向かった。今日はレイモンドと別れ話をする予定だ、気が重くなってくる。仕方がない自分の蒔いた種だ。自分で刈り取るしかない。ミュリエルは心に決めた。
そこは学園の真ん中にある屋内庭園で、たくさんの生徒たちが放課後カップルで散策をしている。その蘭が一面に咲き誇る一角で、いつもレイモンドと待ち合わせをしていた。
「ミュリエル、待たせてしまったかい?ああ、君は今日も美しい」
いつものレイモンドだ。まさか今から別れ話をされるとは思ってもいないのだろう。無邪気な笑顔にミュリエルの罪悪感が刺激されて大きくなる。しばらく世間話をしてから本題に入ろう。まずは無難な馬の話から始めようと話題を振ろうと口を開いた時、突然レイモンドが話し始めた。
「父上が戦争に出ることになったようなのです」
「ブルース公爵様が!!!」
「ユーミア王国との戦況が思わしくないようで、公式発表はされていませんがかなりの王国の領地を奪われました。このままでは我がブルテイン王国の存続すら危うくなりそうです」
最近新兵器を導入したユーミア王国はこの王国に向かって順調に侵攻を続けているらしく、国境に沿った領地が根こそぎ奪われているらしい。ミュリエルは恐怖に身を震わせた。
「暁の王がいればよかったのですが・・・次の代に期待するにはもう遅すぎですね。私たちも覚悟を決めなければいけないのかもしれません」
『 暁の王 』
それは伝説でもなんでもなく、ブルテイン王国の王族に時々、紅の目をした子供が生まれる。その子供は多大なる魔力を操り、他人の魔力まで奪って自身の力にすることさえできる能力を有しているらしい。
暁の王が誕生すればブルテイン王国は最強国となり、どこの国でも手出しすることはできないほどに力を持つ。しかしもう5代に渡って紅の目をした子供は生まれてこなかった。神は我がブルテイン王国を見捨てたのではないかと、皆が噂をするほどまでになっている。
ミュリエルはレイモンドを射抜くような鋭い目をしていった。
「そんな覚悟なんてするつもりはないわ。私は来年卒業したら絶対に王帝魔術騎士になってギュンターや大切な人たちの未来を守って見せる。私の大事な人たちを失うわけにはいかないもの。それが私のする覚悟よ!!」
「君は・・・・・」
レイモンドが信じられないといったような目つきでミュリエルを見ている。
「君は卒業したら本気で王帝魔術騎士になるつもりだったのですか?いくらジリアーニ学園を最優秀で卒業しようとも、王帝魔術騎士になることはかなり難しいのですよ。普通の魔術騎士から始めて何十年とかけても、ほんの一握りの者しかなれないというのに君には無理です」
「レイモンド様、では私と将来どうなるおつもりだったのですか?」
「君のような魔力の素質を持った女性の血を、我がブルース公爵家に入れるという事で、父上は君との結婚を認めてくれるはずです。君が騎士になる必要はありません」
ミュリエルはレイモンドの考えに驚いた。彼は少なくともミュリエルの夢を理解してくれていると思っていた。なのに違ったのだ。そもそもの始めから間違っていたのだ。ミュリエルはレイモンドと一緒にいて楽しいと思ったことはおろか、そばにいて安心することも無かった。
「・・・レイモンド様、私このままあなたのおそばにいることはできません。ごめんなさい」
「どういうことなんですか?ミュリエル、君は私を慕っていてくれていたのではないのですか?」
ミュリエルの突然の態度の変わりように、レイモンドが顔色を変えた。縋りつくような目でミュリエルを見つめる。
「きっと違ったのです。レイモンド様には申し訳ありませんが、私たち別々の道を行った方がいいと思うのです」
「そんなことはありません。先ほどの話が気に障ったのなら、少し譲歩してあげてもいい。君の魔力の能力は素晴らしい。王家の血を引く我が家に、もしかしたら暁の王が誕生するかもしれないよ。そうすれば君の大事な人たちも救えるのではないでしょうか」
レイモンドが話をするたびに、この交際は間違いだったとミュリエルは思い知らされる。ミュリエルがレイモンドの援助が目的だったように、レイモンドもミュリエルの魔力が目的だったのか・・。
「ごめんなさい、私たちもうこれ以上は・・・」
「ミュリエル!!そんなことは許さない!!」
突然レイモンドはミュリエルの肩を強く掴んで、恐ろしい形相で睨みつけてきた。力任せに掴まれた肩が痛む。ミュリエルは怯えた表情でレイモンドを見つめる。
「絶対に別れない!!君はもう私のものだ!!誰にも渡さない!!」
「レイモンド、諦めろ。ミュリエルが怯えているじゃないか・・」
突然レイモンドの手を掴んでその腕をねじり上げた人物がそういった。レイモンドが痛みに顔を歪ませる。
「っつ!!リューク!!どうして邪魔をする!」
「この女は俺が買ったからだ。こいつの所有権は俺にある。勝手に傷つけられると困るんだよ」
そういいながらリュークは、レイモンドに掴まれていたミュリエルの服を乱暴におろして具合を見る。右肩があらわになって素肌が見える。皮膚は赤くなって内出血をしているようだった。
「きゃっ!!何するのよ!!!」
女性の服を許可もなくおろして肌をさらすなんてあり得ない恥辱だ。ミュリエルが怒って反射的にリュークの頬をぶとうとした時、いきなりリュークがその肩を舐めた。
「ひゃぁぁぁぁぁ!!!!」
右手でレイモンドの手を拘束し、左手でミュリエルの襟元をつかんでいるリュークは、端正な顔で妖しげに色っぽく微笑んでから、状況が呑み込めずにうろたえているレイモンドに向かって言い放った。
「こういうことだよ。分かったか?お坊ちゃん。もう行ってもいいぞ」
リュークに手を開放してもらい自由になった手をさすりながら、レイモンドは悔しそうに言った。
「ミュリエル、君がそんなに軽い女性だとは知りませんでした。君とはもう終わりです。私が君に振られたんじゃないですからね。私が君を見限ったのです」
そう言い残すと、そそくさとその場を去っていった。ミュリエルは茫然と右肩をさらしながらレイモンドが去っていった方向を見つめていた。
「お前、賭けの事覚えているよな」
何だこの男は。私は今それどころではないというのに・・・レイモンドを傷つけてしまった良心の呵責に浸っているというのに、賭け?一体なんのこと・・・あれ?!
ミュリエルはリュークとした賭けの事を思い出し、レイモンドへの贖罪の事は全く頭から飛んで行って、顔面蒼白になった。
「・・・・もしかして・・あの時の・・」
「そうだ、お前がレイモンドを幸せにできなかったらお前の処女を貰うってやつだ。まさかもう忘れたわけじゃないだろうな」
リュークが勝ち誇ったような顔でミュリエルを見下ろしながらいう。
「そ・・・それは・・それは・・・」
なんて男だ!あんな賭けをまだ覚えていたのか!しかもこのタイミングでいう事ではない気がする!
「そうね、女に二言はないわ!私の処女はあなたにあげる。でも私はいつあげるとは約束したつもりはないわ。もしかしたら一生そんな日はこないままかもしれないわね」
「それはお前が一生処女のまま死んでいくってことか?」
ま・・まあそういう意味だ。でもこのままでは醜悪なハンセルと初夜を迎えることになるだろう。それならばまだ顔が良い分、こいつと最初は済ませておくのも悪い案ではなさそうだ。
最初は痛いと聞いているから、経験豊富なこいつとなら何とかなるに違いない。あ・・ハンセルも経験豊富だったっけ。主に娼館らしいけど・・・。
「まあ俺は分割払いでもいいぞ。今日はこれで我慢しておくか」
そういうとリュークは突然ミュリエルの唇を奪った。前回と違って舌を強引に入れてこず、唇を合わせたと思ったらすぐに離した。舌が入ってくると思って身構えていたミュリエルが、拍子抜けしてリュークの顔を見つめた。
「なんだ、物足りなかったのか?舌を入れると前みたいに噛まれると困るからな。でもお前がどうしても入れて欲しいというなら奥まで入れてやらないことも無いぞ」
なんだか表現があまりに卑猥で顔が自然と赤くなる。リュークはそんなミュリエルの姿を見て満足そうに微笑むとその場を去っていった。
残されたミュリエルは片方の肩を露出したあられもない格好のまま茫然として、彼が去っていった方向をいつまでも見つめていた。
そこは学園の真ん中にある屋内庭園で、たくさんの生徒たちが放課後カップルで散策をしている。その蘭が一面に咲き誇る一角で、いつもレイモンドと待ち合わせをしていた。
「ミュリエル、待たせてしまったかい?ああ、君は今日も美しい」
いつものレイモンドだ。まさか今から別れ話をされるとは思ってもいないのだろう。無邪気な笑顔にミュリエルの罪悪感が刺激されて大きくなる。しばらく世間話をしてから本題に入ろう。まずは無難な馬の話から始めようと話題を振ろうと口を開いた時、突然レイモンドが話し始めた。
「父上が戦争に出ることになったようなのです」
「ブルース公爵様が!!!」
「ユーミア王国との戦況が思わしくないようで、公式発表はされていませんがかなりの王国の領地を奪われました。このままでは我がブルテイン王国の存続すら危うくなりそうです」
最近新兵器を導入したユーミア王国はこの王国に向かって順調に侵攻を続けているらしく、国境に沿った領地が根こそぎ奪われているらしい。ミュリエルは恐怖に身を震わせた。
「暁の王がいればよかったのですが・・・次の代に期待するにはもう遅すぎですね。私たちも覚悟を決めなければいけないのかもしれません」
『 暁の王 』
それは伝説でもなんでもなく、ブルテイン王国の王族に時々、紅の目をした子供が生まれる。その子供は多大なる魔力を操り、他人の魔力まで奪って自身の力にすることさえできる能力を有しているらしい。
暁の王が誕生すればブルテイン王国は最強国となり、どこの国でも手出しすることはできないほどに力を持つ。しかしもう5代に渡って紅の目をした子供は生まれてこなかった。神は我がブルテイン王国を見捨てたのではないかと、皆が噂をするほどまでになっている。
ミュリエルはレイモンドを射抜くような鋭い目をしていった。
「そんな覚悟なんてするつもりはないわ。私は来年卒業したら絶対に王帝魔術騎士になってギュンターや大切な人たちの未来を守って見せる。私の大事な人たちを失うわけにはいかないもの。それが私のする覚悟よ!!」
「君は・・・・・」
レイモンドが信じられないといったような目つきでミュリエルを見ている。
「君は卒業したら本気で王帝魔術騎士になるつもりだったのですか?いくらジリアーニ学園を最優秀で卒業しようとも、王帝魔術騎士になることはかなり難しいのですよ。普通の魔術騎士から始めて何十年とかけても、ほんの一握りの者しかなれないというのに君には無理です」
「レイモンド様、では私と将来どうなるおつもりだったのですか?」
「君のような魔力の素質を持った女性の血を、我がブルース公爵家に入れるという事で、父上は君との結婚を認めてくれるはずです。君が騎士になる必要はありません」
ミュリエルはレイモンドの考えに驚いた。彼は少なくともミュリエルの夢を理解してくれていると思っていた。なのに違ったのだ。そもそもの始めから間違っていたのだ。ミュリエルはレイモンドと一緒にいて楽しいと思ったことはおろか、そばにいて安心することも無かった。
「・・・レイモンド様、私このままあなたのおそばにいることはできません。ごめんなさい」
「どういうことなんですか?ミュリエル、君は私を慕っていてくれていたのではないのですか?」
ミュリエルの突然の態度の変わりように、レイモンドが顔色を変えた。縋りつくような目でミュリエルを見つめる。
「きっと違ったのです。レイモンド様には申し訳ありませんが、私たち別々の道を行った方がいいと思うのです」
「そんなことはありません。先ほどの話が気に障ったのなら、少し譲歩してあげてもいい。君の魔力の能力は素晴らしい。王家の血を引く我が家に、もしかしたら暁の王が誕生するかもしれないよ。そうすれば君の大事な人たちも救えるのではないでしょうか」
レイモンドが話をするたびに、この交際は間違いだったとミュリエルは思い知らされる。ミュリエルがレイモンドの援助が目的だったように、レイモンドもミュリエルの魔力が目的だったのか・・。
「ごめんなさい、私たちもうこれ以上は・・・」
「ミュリエル!!そんなことは許さない!!」
突然レイモンドはミュリエルの肩を強く掴んで、恐ろしい形相で睨みつけてきた。力任せに掴まれた肩が痛む。ミュリエルは怯えた表情でレイモンドを見つめる。
「絶対に別れない!!君はもう私のものだ!!誰にも渡さない!!」
「レイモンド、諦めろ。ミュリエルが怯えているじゃないか・・」
突然レイモンドの手を掴んでその腕をねじり上げた人物がそういった。レイモンドが痛みに顔を歪ませる。
「っつ!!リューク!!どうして邪魔をする!」
「この女は俺が買ったからだ。こいつの所有権は俺にある。勝手に傷つけられると困るんだよ」
そういいながらリュークは、レイモンドに掴まれていたミュリエルの服を乱暴におろして具合を見る。右肩があらわになって素肌が見える。皮膚は赤くなって内出血をしているようだった。
「きゃっ!!何するのよ!!!」
女性の服を許可もなくおろして肌をさらすなんてあり得ない恥辱だ。ミュリエルが怒って反射的にリュークの頬をぶとうとした時、いきなりリュークがその肩を舐めた。
「ひゃぁぁぁぁぁ!!!!」
右手でレイモンドの手を拘束し、左手でミュリエルの襟元をつかんでいるリュークは、端正な顔で妖しげに色っぽく微笑んでから、状況が呑み込めずにうろたえているレイモンドに向かって言い放った。
「こういうことだよ。分かったか?お坊ちゃん。もう行ってもいいぞ」
リュークに手を開放してもらい自由になった手をさすりながら、レイモンドは悔しそうに言った。
「ミュリエル、君がそんなに軽い女性だとは知りませんでした。君とはもう終わりです。私が君に振られたんじゃないですからね。私が君を見限ったのです」
そう言い残すと、そそくさとその場を去っていった。ミュリエルは茫然と右肩をさらしながらレイモンドが去っていった方向を見つめていた。
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何だこの男は。私は今それどころではないというのに・・・レイモンドを傷つけてしまった良心の呵責に浸っているというのに、賭け?一体なんのこと・・・あれ?!
ミュリエルはリュークとした賭けの事を思い出し、レイモンドへの贖罪の事は全く頭から飛んで行って、顔面蒼白になった。
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「そうだ、お前がレイモンドを幸せにできなかったらお前の処女を貰うってやつだ。まさかもう忘れたわけじゃないだろうな」
リュークが勝ち誇ったような顔でミュリエルを見下ろしながらいう。
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ま・・まあそういう意味だ。でもこのままでは醜悪なハンセルと初夜を迎えることになるだろう。それならばまだ顔が良い分、こいつと最初は済ませておくのも悪い案ではなさそうだ。
最初は痛いと聞いているから、経験豊富なこいつとなら何とかなるに違いない。あ・・ハンセルも経験豊富だったっけ。主に娼館らしいけど・・・。
「まあ俺は分割払いでもいいぞ。今日はこれで我慢しておくか」
そういうとリュークは突然ミュリエルの唇を奪った。前回と違って舌を強引に入れてこず、唇を合わせたと思ったらすぐに離した。舌が入ってくると思って身構えていたミュリエルが、拍子抜けしてリュークの顔を見つめた。
「なんだ、物足りなかったのか?舌を入れると前みたいに噛まれると困るからな。でもお前がどうしても入れて欲しいというなら奥まで入れてやらないことも無いぞ」
なんだか表現があまりに卑猥で顔が自然と赤くなる。リュークはそんなミュリエルの姿を見て満足そうに微笑むとその場を去っていった。
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