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ユリカ 就職する
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「守護獣をこんなふうに扱う聖女には、初めてお目にかかったよ。しかも駄犬って・・・くくく」
レオールは見事に体を捻り一回転して床に難なく着地する。その表情は分かりにくいが、ばれちまったか。というような表情を浮かべている。えーい。ままよ。女は度胸!!
「あのーこれには海よりも深い訳がありまして・・・・。私は身一つでこの世界に来たもので、とにかく守護獣のレオールに、私の仕事が見つかるまでの約束で協力してもらっているのです」
だから、何が何でも仕事くれ!!といわんばかりに、憐れみを誘う感じで言ってみた。どうやってレオールが守護獣ってことまでばれたか知らないが、事情が分かっているなら交渉もしやすい。もし警察に引き渡すつもりなら、城にまで招き入れたりはしないだろう。
「どうして守護獣がいるのに仕事が必要なの?」
おーー面接が始まったのか?これ。どうして我が社を選んだのってことですよね。面接官様。
「はい。私は御馬車の豪華さに目を引かれ、このような馬車に乗っていらっしゃる方なら、慈悲深く私にもお仕事がいただけるのではないかと思い、守護獣の助けを借りて恥を忍んでお仕事をいただきたく参りました。大学での専門は経済なのでこの世界ではあまり使えないかもしれませんが、掃除洗濯なんでもします。お仕事をください」
イケメン様はとても驚いたような顔をして私を見返す。しまった。あまりにもお仕事くださいといいすぎたのか・・・。
「いや・・そういう意味ではなくて、守護獣がいたら働かなくても財産が手に入るだろうと言うことだよ」
私はその言葉にはっと気がついた。
「そうですね。そこは盲点でした。たしかにレオールは地の精霊なので、もしかしたら地面におちている小銭なんかを集めてこれることくらいはできたかもしれませんね。そうすれば夕ご飯くらいにはありつけたかも・・・」
そういって自分のお腹に手をやる。朝からカロリーメイトしか食べてない。お腹減った・・・。
「そうか彼は地の精霊なんだ。だったら宝石や金なんかいくらでも取ってきてもらえるだろう?」
こいつもレオールと同じことをいう。
「私はそんなすぐ新しい服とか食べ物とかを買えそうも無いものはいりません。それにレオールがずっと私の傍にいるとは限りませんから、私一人でも自立してこの世界で生きていくための仕事を探しているんです。でも異世界に来た不審な私ではなかなか見つからなくて、最後の手段でこんなことをしました。ごめんなさい」
「服や食べ物ならいくらでも好きなだけあげるよ。この城に住む部屋も用意させるから、ここにいれば生涯何も心配する必要はないはずだ」
このイケメン様。何も分かってない。私はその言い草にだんだんむかっ腹が立ってきた。
「だ・か・ら・私は誰かに頼って生きるのはいやなの。レオールや貴方に頼って生きていっても、もし貴方達がその後いなくなったら生活できなくなるじゃない。それにお金は必要な分だけあれば、それ以上はいらない。お金はあればあるほど不幸になるから・・・」
そうだ。私は元彼と一緒にすごした4年間で沢山見てきた。お金に魅入られて人生を台無しにした人たちを・・・。私にとって必要以上のお金は、災いとしか思えなかった。
「仕事くれないなら。帰るわよ。レオール・・・」
私が言った言葉に反応したレオールがもとの金色の豹に姿を変える。ああ黒豆芝可愛かったのに、まあいいや後でまた変化してもらおう。一瞬で2メートルに近い高さになったレオールが、周囲の高級そうな調度品にあたって壊しそうになるのをなんとか阻止して、その高い窓に手をかけて開く。もう周囲は真っ暗になっていて、あまり周りの様子は伺えなかった。
「待ちなさい」
イケメン様がそう低い声でおっしゃった時、私はもう既にレオールの背にまたがっていたので上半身だけねじって振り返る。
「わかった。仕事をあげよう。自分が聖女であることを秘密にできるのならば、この城の侍女として住み込みで働かせてあげてもいい」
しばし熟考してみるが、悪い話ではない・・・というか最初の計画通りではないか!!
「聖女とは名ばかりで、あるのは守護獣と会話できるだけの余り役に立たない能力だけですし、正直荷が重いくらいなので、普通の女として働かせてくれるならそのほうが十分気が楽です。その仕事、まかない付きで永久指名なら受けます」
最後にちゃっかり条件を入れておくのを忘れなかった。イケメン様がにやりと鋭い笑いを浮かべるとまるで独り言のように呟いた。
「本当に面白いおもちゃ・・・女だな君は・・・」
あれ?おもちゃって言いかけた??
レオールは見事に体を捻り一回転して床に難なく着地する。その表情は分かりにくいが、ばれちまったか。というような表情を浮かべている。えーい。ままよ。女は度胸!!
「あのーこれには海よりも深い訳がありまして・・・・。私は身一つでこの世界に来たもので、とにかく守護獣のレオールに、私の仕事が見つかるまでの約束で協力してもらっているのです」
だから、何が何でも仕事くれ!!といわんばかりに、憐れみを誘う感じで言ってみた。どうやってレオールが守護獣ってことまでばれたか知らないが、事情が分かっているなら交渉もしやすい。もし警察に引き渡すつもりなら、城にまで招き入れたりはしないだろう。
「どうして守護獣がいるのに仕事が必要なの?」
おーー面接が始まったのか?これ。どうして我が社を選んだのってことですよね。面接官様。
「はい。私は御馬車の豪華さに目を引かれ、このような馬車に乗っていらっしゃる方なら、慈悲深く私にもお仕事がいただけるのではないかと思い、守護獣の助けを借りて恥を忍んでお仕事をいただきたく参りました。大学での専門は経済なのでこの世界ではあまり使えないかもしれませんが、掃除洗濯なんでもします。お仕事をください」
イケメン様はとても驚いたような顔をして私を見返す。しまった。あまりにもお仕事くださいといいすぎたのか・・・。
「いや・・そういう意味ではなくて、守護獣がいたら働かなくても財産が手に入るだろうと言うことだよ」
私はその言葉にはっと気がついた。
「そうですね。そこは盲点でした。たしかにレオールは地の精霊なので、もしかしたら地面におちている小銭なんかを集めてこれることくらいはできたかもしれませんね。そうすれば夕ご飯くらいにはありつけたかも・・・」
そういって自分のお腹に手をやる。朝からカロリーメイトしか食べてない。お腹減った・・・。
「そうか彼は地の精霊なんだ。だったら宝石や金なんかいくらでも取ってきてもらえるだろう?」
こいつもレオールと同じことをいう。
「私はそんなすぐ新しい服とか食べ物とかを買えそうも無いものはいりません。それにレオールがずっと私の傍にいるとは限りませんから、私一人でも自立してこの世界で生きていくための仕事を探しているんです。でも異世界に来た不審な私ではなかなか見つからなくて、最後の手段でこんなことをしました。ごめんなさい」
「服や食べ物ならいくらでも好きなだけあげるよ。この城に住む部屋も用意させるから、ここにいれば生涯何も心配する必要はないはずだ」
このイケメン様。何も分かってない。私はその言い草にだんだんむかっ腹が立ってきた。
「だ・か・ら・私は誰かに頼って生きるのはいやなの。レオールや貴方に頼って生きていっても、もし貴方達がその後いなくなったら生活できなくなるじゃない。それにお金は必要な分だけあれば、それ以上はいらない。お金はあればあるほど不幸になるから・・・」
そうだ。私は元彼と一緒にすごした4年間で沢山見てきた。お金に魅入られて人生を台無しにした人たちを・・・。私にとって必要以上のお金は、災いとしか思えなかった。
「仕事くれないなら。帰るわよ。レオール・・・」
私が言った言葉に反応したレオールがもとの金色の豹に姿を変える。ああ黒豆芝可愛かったのに、まあいいや後でまた変化してもらおう。一瞬で2メートルに近い高さになったレオールが、周囲の高級そうな調度品にあたって壊しそうになるのをなんとか阻止して、その高い窓に手をかけて開く。もう周囲は真っ暗になっていて、あまり周りの様子は伺えなかった。
「待ちなさい」
イケメン様がそう低い声でおっしゃった時、私はもう既にレオールの背にまたがっていたので上半身だけねじって振り返る。
「わかった。仕事をあげよう。自分が聖女であることを秘密にできるのならば、この城の侍女として住み込みで働かせてあげてもいい」
しばし熟考してみるが、悪い話ではない・・・というか最初の計画通りではないか!!
「聖女とは名ばかりで、あるのは守護獣と会話できるだけの余り役に立たない能力だけですし、正直荷が重いくらいなので、普通の女として働かせてくれるならそのほうが十分気が楽です。その仕事、まかない付きで永久指名なら受けます」
最後にちゃっかり条件を入れておくのを忘れなかった。イケメン様がにやりと鋭い笑いを浮かべるとまるで独り言のように呟いた。
「本当に面白いおもちゃ・・・女だな君は・・・」
あれ?おもちゃって言いかけた??
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