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マリス騎士

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私はマリス騎士様へのお礼の品について悩んでいた。命を懸けてまでクラマの愛する人セシリアを助けにギルセナ王国まで行ったのだ・・・・というか少なくとも彼はそう思っている。

マリス騎士様へは私の雑用係として稼いだ給料で、できる限りのお礼をしたかった。

そこで思いついたのが、水泳パンツだ。この間見た時は赤いチェックのパンツのまま泳いでいた。もしかして水泳パンツを持っていないのかもしれない。

私は早速町へ買い物に出かけた。あまり男性が好む柄の見当が付かないので、自分の趣味で選ぶ事にした。数件の店を回って好みにぴったりの驚きの模様の水泳パンツを見つけたので、すぐさま買った。

多少予算オーバーしたが、この柄の水泳パンツにいつ次に出会えるか分からないので、迷わず決めた。ユーリにも色違いを買っておいた。喜んでくれるかな?

早速裏庭に呼び出して渡す事にした。息を切らせて満面の笑みで待ち合わせ場所にきたマリス騎士様は開口一番こういった。

「クラマ!元気か?セシリア嬢とのこと・・・聞いたぞ、元気を出せ。惚れた相手の幸せを喜んでこその愛だ!!」

それはセシリアがアルフリード王子との婚約発表を聞いたからでの発言なのでしょう?

マリス騎士様の中でセシリア嬢ってば、すっごい尻軽女認定されているんではないだろうか?始めはユーリス様の婚約者で、次はクラマと駆け落ちして、今はアルフリード王子の婚約者。

私は返事を返さずに本来の目的である、プレゼントを渡す事にした。彼は水泳パンツを見て一番にこういった。

「これは!!一緒に泳ごうといったお誘いとみていいのか?クラマ」

「いえ・・・一人で泳いでくださいといった趣旨のものです」

マリス騎士様は残念そうに言った。

「クラマの水着姿見たかったのにな・・・」

「僕は泳げませんので、泳ぎません。でもマリス騎士様は存分に泳いでください」

「クラマ・・・この水着の模様はなんなんだ?白い長方形に赤い丸がある・・」

ふふふふ。その模様は日本の国旗です。マリス騎士様には赤をベースにしたところに日本の国旗が所狭しと並んである水泳パンツです。ちなみにユーリのは緑のベースです。

「まあいいや。よし今から泳ごう!!皆!!川で泳ぐ奴いないか!また競争しよう!」

マリス騎士様はとても喜んでくれたみたいで、他の騎士様達を誘って川で泳ぐそうで・・・。

ってマリス騎士様何をなさって・・・。

「ぎゃーーーーーー!!マリス騎士様そこでパンツを脱いで着替えないで下さい!!せめて前を隠してくださいってば!!」



永遠の少年マリス騎士様は相変わらずです。
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