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ユーリスの届かぬ想い

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サクラは今どうしているのだろうか?アルフリード王子が無理やり彼女を転移魔法で連れ去ってから、私の心は揺れ動いたままだ。

ギルセナ国の森の中で休憩を取った時、彼女は一人で立ってみるといって聞かなかった。地面に降ろして立たせて上げると、子供のように喜んでから微笑んだ。自分で立てることがそんなに嬉しいのかと、微笑ましく思った。私が森の説明をすると、サクラはあらたまって身を正すと私にお礼を言った。

「ユーリ、こんなに遠くまで私を迎えに来てくれてありがとう!」

その時の彼女は鬱蒼とした魔獣が出る森の中にいながら、純白の花嫁の衣装をまとい、その白色のドレスの上に透き通るような色をした黒髪をたらしていて、まるで色の無い世界に浮かび上がった一筋の虹のように美しかった。

一瞬見惚れて時間を忘れるが、気を取り直して先ほどの自分を誤魔化すかのように饒舌になる。

「サクラ、その格好。とても素敵です。黄色のドレスも似合っていましたけど、純白色もその黒髪に映えてものすごく綺麗です。惚れ直しました」

サクラがいつものように照れて頬を桜色に染めながら目を逸らした。そんな仕草も全てが可愛くて仕方が無い。二人きりの時間を楽しんでいると、邪魔なアルフリード王子がやってきた。クリスティーナのことで彼女に誤解されているのが堪らなく嫌らしい。

自業自得だ。あんな女の術中にはまり、サクラを傷つけた事は彼女が許そうとも私は一生許さない。私は殿下を睨んだ。

アルフリード王子が弁解を重ねる度に、サクラの機嫌は悪くなる一方だった。殿下が他の女性に見せるような冷血な態度で、彼女に接したであろう事は想像の範囲内だったが、まさか憎悪の感情までぶつけていたとは・・・サクラはその悪感情に無防備にさらされて、かなり傷ついているようだった。怒りが増してくる。

彼女は思い出しながら話すうちに、その時の感情が蘇ったようでだんだん感情的になってきた。そこで彼女は言ったのだ。

一番大切な人に裏切られて憎まれて怒鳴られた・・と。

私はショックを隠せなかった。アルフリード王子がクリスティーナに骨抜きにされたせいで、サクラが王城を出たと聞いた時から恐れていた事だった。

責任感の強い彼女が騎士訓練所の仕事も中途半端なまま、何もかも捨てて出て行った。しかも彼女は私の帰りを待とうとはしなかった。その事実に、まさかとは思っていたが・・・。

でもこれで確信した。彼女は・・・サクラは私よりもアルフリード王子が好きなのだと・・・。

その後の彼女は感情に流されたまま、子供のように言葉を紡いでいった。異世界にたった一人で連れてこられた17歳の少女の本心だったに違いない。今まで気丈に抑えていた感情が爆発したのだろう。

私は嘆き悲しむ彼女を抱き締めることしかできなかった。これが愛しい彼女に私ができる精一杯だった。

私はその時に決心した。彼女が誰を選ぼうとも、私はサクラを一生愛して悲しい時はこうして抱き締めてあげよう・・・。

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