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ユーリス様の登場
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私は混乱していた。
状況から考えると、セイアレスとアルフリードはこの場で戦っていたのだろう。
と言うことは此処は王城でアルが倒れている今、私は敵の真っ只中にいるといるということだ。
アルに駆け寄ろうとする私の前に、セイアレスが立ちふさがっていった。
「お久しぶりですね、サクラ」
セイアレスの最後に聞いたときと同じ冷たい声が聞こえる。良く見ると首に日本語らしき文字が彫られたネックレスが目に入る。
どうやったかは分からないけれど、セイアレスは銀のネックレスを手に入れた。だから時が止まった中でも動けるんだ。
そして、その背後に立ってニヤニヤ笑っている、体中火傷と傷だらけの男が目に入る。
彼も時を止めた中で動いている。ということは彼がきっとエルドレッド王子で、3種の宝飾の一つ、指輪をはめているに違いない。指に目を寄せると、そのことはすぐに確認できた。
私が急に転移魔法で連れてこられたから、ユーリス様はきっと心配して私を探してるはずだ。私は王城にいると、伝心魔法で知らせないと!
・・・ああだめだ・・・伝信魔法が使えない!私は先程アルに連絡がつかなかったことを思い出した。
何らかの妨害魔法があるんだ。私は絶望的になった。
ならばユーリス様が言っていたように、時を動かすしか方法はなさそうだ。
そう決心してすぐに私は時を動かした・・・・なのに、何も起こらない。
「・・・どうして!!!?」
セイレアスが私の方に歩みを進め、その手で私の髪を縛っていた麻紐を解いた。髪が肩にこぼれるように落ちる。
「無理ですよ、時は動きません。貴方の力はこれからは我々のために使っていただきます」
全身の血が下がっていくのが分かった。怯えている私を見て、セイアレスはその端正な顔にさらに微笑みを浮かべた。
「大神殿にはね、封書の間というものがあるんです。そこにある書物は全て古代文字で書かれている等で、現在では解読不能なのですが・・・。そこに聖女の能力についての本があったのです」
「聖女の能力・・・?」
私は本の存在を知ってなおさらに体が震えだす。
「そうです。サクラ、あなたはどうして3種の宝飾が存在すると思いますか?これは世界をも破壊する力を持つ聖女の枷なのです。昔は一つの王冠であったらしいですが、それが100年前に3つの宝飾に分けられました。そしてその宝飾を持つ者は聖女の力には干渉されず、唯一聖女に干渉できる存在になるのです」
そういいながらセイレアスは私にかけられていた美容魔法を解いて、元の黒髪・黒眼に戻す。
「ああ、この色です。これこそが聖女の色です。美しい。ふふふ」
そういうセイアレスの眼には狂気が映っている。
どの神官だったかセイアレスは神の化身のようだと言った、その類稀な美貌とその膨大な魔力は稀有なものだったからだ。だけど目の前に立っているその人は、私には悪魔にしか見えなかった。
「そう・・・このネックレスを持っている私が願えば貴方の時を止める能力を阻止することができるのです。いま時を動かされてはまずいのでね。ある時が訪れるまで待っていただきますよ」
セイアレスがいうには何かを待っているようだ。でも一体何を・・・もしかして誰かを・・・!!
この止まっている世界で、動いている者は限られる。この場所にいず、かつこの世界で唯一動いているのは・・・
「ユーリス様・・・・?」
恐怖がピークになった瞬間、彼は崩壊した城の廊下らしき部分から突然現れた。
「サクラ!!無事ですか!!?」
状況から考えると、セイアレスとアルフリードはこの場で戦っていたのだろう。
と言うことは此処は王城でアルが倒れている今、私は敵の真っ只中にいるといるということだ。
アルに駆け寄ろうとする私の前に、セイアレスが立ちふさがっていった。
「お久しぶりですね、サクラ」
セイアレスの最後に聞いたときと同じ冷たい声が聞こえる。良く見ると首に日本語らしき文字が彫られたネックレスが目に入る。
どうやったかは分からないけれど、セイアレスは銀のネックレスを手に入れた。だから時が止まった中でも動けるんだ。
そして、その背後に立ってニヤニヤ笑っている、体中火傷と傷だらけの男が目に入る。
彼も時を止めた中で動いている。ということは彼がきっとエルドレッド王子で、3種の宝飾の一つ、指輪をはめているに違いない。指に目を寄せると、そのことはすぐに確認できた。
私が急に転移魔法で連れてこられたから、ユーリス様はきっと心配して私を探してるはずだ。私は王城にいると、伝心魔法で知らせないと!
・・・ああだめだ・・・伝信魔法が使えない!私は先程アルに連絡がつかなかったことを思い出した。
何らかの妨害魔法があるんだ。私は絶望的になった。
ならばユーリス様が言っていたように、時を動かすしか方法はなさそうだ。
そう決心してすぐに私は時を動かした・・・・なのに、何も起こらない。
「・・・どうして!!!?」
セイレアスが私の方に歩みを進め、その手で私の髪を縛っていた麻紐を解いた。髪が肩にこぼれるように落ちる。
「無理ですよ、時は動きません。貴方の力はこれからは我々のために使っていただきます」
全身の血が下がっていくのが分かった。怯えている私を見て、セイアレスはその端正な顔にさらに微笑みを浮かべた。
「大神殿にはね、封書の間というものがあるんです。そこにある書物は全て古代文字で書かれている等で、現在では解読不能なのですが・・・。そこに聖女の能力についての本があったのです」
「聖女の能力・・・?」
私は本の存在を知ってなおさらに体が震えだす。
「そうです。サクラ、あなたはどうして3種の宝飾が存在すると思いますか?これは世界をも破壊する力を持つ聖女の枷なのです。昔は一つの王冠であったらしいですが、それが100年前に3つの宝飾に分けられました。そしてその宝飾を持つ者は聖女の力には干渉されず、唯一聖女に干渉できる存在になるのです」
そういいながらセイレアスは私にかけられていた美容魔法を解いて、元の黒髪・黒眼に戻す。
「ああ、この色です。これこそが聖女の色です。美しい。ふふふ」
そういうセイアレスの眼には狂気が映っている。
どの神官だったかセイアレスは神の化身のようだと言った、その類稀な美貌とその膨大な魔力は稀有なものだったからだ。だけど目の前に立っているその人は、私には悪魔にしか見えなかった。
「そう・・・このネックレスを持っている私が願えば貴方の時を止める能力を阻止することができるのです。いま時を動かされてはまずいのでね。ある時が訪れるまで待っていただきますよ」
セイアレスがいうには何かを待っているようだ。でも一体何を・・・もしかして誰かを・・・!!
この止まっている世界で、動いている者は限られる。この場所にいず、かつこの世界で唯一動いているのは・・・
「ユーリス様・・・・?」
恐怖がピークになった瞬間、彼は崩壊した城の廊下らしき部分から突然現れた。
「サクラ!!無事ですか!!?」
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