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アルフリードの想い

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アルフリードはユーリス騎士隊長と一緒に、大魔獣を駆除していた。時間が止まっているので大魔獣と戦っているというより駆除といった表現が一番近いので、それを使わせてもらう。

ユーリス騎士隊長は、クラマ・・・もといサクラを弟のように溺愛していると、ルークが間諜に探らせたレポートに書いてあった。
オレは隠してあったようだが、あいつはいまいち爪が甘い。
先ほどのサクラの話だと、今夜一緒に夜会にもパートナーとして出かけていたらしい。
さっきサクラが女性だと聞いたときは、驚いた。オレは自分のことを女嫌いだと思っていたからだ。
ピーマンが嫌いな子供が、大人になってもピーマンが嫌いなように、オレも女を一生嫌いでいると思っていた。

自分はそういう風に生まれついたと思って疑わなかった。
だがサクラに出会って、その素直さと聡明さに惹かれた。その能力に気がついてからは、力を使って悪事を働かないという信念にいたく感動した。悪用されそうな時は、自害も辞さないという潔さに魂を揺さぶられた。
自分は女ではなく男が好きなのかもしれないと、悩みだしたのもこの頃だ。この頃には自分に嘘をつけないくらいに、サクラを愛していると自覚していた。

この気持ちはクラマには告げずに、彼を見守っていってやろうと思っていた。彼の夢は平凡な生活と子沢山だ。オレとでは、その夢は叶わない。秘めた想いで十分だと思っていた。

でもサクラは、女性で・・・自分では気がついていないのだろうけれど、おそらくユイカのほうが偽者で、彼女は聖女だ。
彼女を手に入れられるかもしれない。諦めていた欲望が、再びオレを支配する。

彼女はオレから逃げているとき、無意識でユーリス騎士隊長の時を動かした。
奴の背に庇われて安心し、微笑をこぼしたサクラの表情を見たとき、得も知れぬほどの感情が身を貫いた。

彼女はユーリスが好きなのだろうか?

オレが王子だと分かってからのサクラは、オレをアルフリード王子と呼んで距離を感じるようになった。折角近づいた気持ちが、遠くなったのを感じる。

これは嫉妬だ。オレよりも長く彼女との時間を過ごし、いざというときに頼られる。そんなユーリスに嫉妬したのだ。

「アルフリード王子。そろそろ次の大魔獣を処理しにいきませんか?早く片付けないと、サクラが
痺れをきらせて、余計なことをやらかしそうです。できるだけ早く戻ってあげましょう」

「そうだな」

ユーリスも彼女のことをよく理解しているらしい。ユーリスの口からサクラという名前を聞くだけで、嫉妬で胸が痛む。


「重傷だな・・・」


自虐的に呟く。
早く魔獣を退治して、彼女の元へ急ごう。手に入れられなくてもいい。せめて傍にいたい。


オレは自分の持てる力を全部使って、魔獣を処理した。
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