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第9章~ I wanna be with you ~
お見舞い④
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「はぁ、やっと下がったか」
一昨日、熱が下がったからと暴れ過ぎた所為で、沙月が帰った後にまた熱が上がってしまった。
昨日から土日に入り、学校が休みで助かった。
熱もやっと平熱まで下がっているので明日には学校へ行けるだろう。
前回の様にぶり返さない様に、今日は安静にしていよう。
両親は休日出勤だが、幸い柚希が部活休みなので何かあった時は頼るしかない。
柚希に借りを作るのは望ましくないが仕方ない。
「暇だな……」
やはりただ寝ているだけだと退屈だ。
横になっていればテレビを見る位なら大丈夫だろう。
録画してあるアニメを見ているとインターホンが鳴った。
しかし今日は柚希がいるので安心してアニメが見れる。
1時間程経った頃、部屋のドアがノックと共に開いた
「お兄ちゃーん、元気になったー?」
「あのな? ノックと同時にドア開けたらノックの意味ないだろ?」
「元気そうだね。良かった良かった」
「人の話を聞け」
「友達にランチ誘われたからちょっと出かけてくるね」
「え? じゃあ俺の昼飯は?」
「大丈夫、もう用意したから。ささ、どうぞ」
と言って柚希は横にずれる。
すると部屋に入ってきたのは……
「友華さん? え? なんで」
「ごめんなさい、お邪魔してます」
「いえ、それは大丈夫ですけど……」
いつから居たんだろう? アニメに夢中で俺が気づかなかっただけか?
それに友華さんが持っているお盆の上にはお粥らしき物が乗っている。
俺が疑問に思っていると、柚希が何故か得意げに
「どう? 驚いたでしょ?」
「ああ、っていうか友華さんは何時の間に来てたんだ?」
「ん~、1時間位前かな」
1時間前という事は、あのインターホンは友華さんだったのか!
だとすると今まで柚希と二人で何をしていたのだろう。
俺が混乱していると
「友華さんと女子トークしてましたー! 気になっちゃう?」
「まぁな。でも聞いても教えてくれないんだろ?」
「それはどうかなー。友華さんに直接聞けば? 私はもう行くねー」
と言って立ち去る。
残された友華さんは
「えっと、お粥作ったので食べてください」
と遠慮気味に部屋に入りテーブルの上に器を置く。
そしてそのままちょこんと座る。
「柚希の勝手の所為ですみません、ありがたく頂きます」
「いえいえ、大した事ではないですから。それより大丈夫ですか? 起き上がれますか?」
「はい、大丈夫です」
「無理はしないでくださ……い」
友華さんは一点を見つめたまま固まってしまった。
視線の先には先程まで見ていたアニメが流れている。
「友也さん!」
「は、はい!」
しまった! 友華さんヲタクスイッチが入った!
と思っていると
「ちゃんと安静にしてないとダメじゃないですか!」
あれ? ヲタクスイッチが入ってない?
「友也さん、聞いてますか?」
「は、はい! スミマセン」
「風邪は治りかけが大事なんですからね」
どうやらヲタクスイッチではなく、違うスイッチが入ってしまったらしい。
「それではお昼にしましょうか」
「そうですね」
と言ってベッドから降りようとすると
「友也さんはそのままで大丈夫ですよ」
「それだと食べづらいんですけど」
「私が食べさせてあげます」
「ふぅー、ふぅー。はい、どうぞ」
パクッ、もぐもぐ。
「はい、これで最後です」
パクッ、もぐもぐ。
「ご馳走さまでした」
「はい、お粗末様でした。洗い物してきますのでちゃんと横になっててくださいね」
と言って部屋から出て行った。
ヤバイヤバイヤバイ!
お粥ふぅーふぅーなんて2次元だけかと思ってたらまさか友華さんにされるなんて!
恥ずかし過ぎて何も考えられなかった。
でも、嫌じゃないかも。
っていうかふぅーふぅーしてる姿に釘付けになってしまった。
友華さんの吐息がお粥に掛かって、それを俺が食べて……。
ってこれじゃまるで変態じゃないか!
と、一人で悶絶していると友華さんが戻ってきた。
「戻りました。はい、お薬とお水です」
「何から何まですみません」
「いいえ、私がしたくてしてる事なので気にしないでください」
渡された薬を飲み、横になる。
すると友華さんはベッドのヘリに寄りかかり
「夕方までいますので何か困った事があったら言ってください」
と言ってそのまま読書を始めた。
気づけばもうすぐ4時近かった。
あれから俺は読書をしている友華さんをずっと眺めていた。
静かな空間にページのめくれる音と微かな呼吸音だけが聞こえる。
とても落ち着く空間。
本を読んでいる姿を見ているだけなのに退屈だとは全然思わない。
むしろもっと眺めていたいとさえ思える。
俺は自然と
「友華さん」
と口にしていた。
「どうしましたか?」
とこちらを振り返る。
その動作だけでも愛おしく感じる。
今伝えないと。
自然とそう思った。
「実は友華さんに大事なお話があります」
と言うと、友華さんは身体ごとこちらに向き直り姿勢を正す。
「はい、何でしょう?」
友華さんは何かを察したのかいつもは見せない真剣な表情だ。
「友華さん、俺は……」
一昨日、熱が下がったからと暴れ過ぎた所為で、沙月が帰った後にまた熱が上がってしまった。
昨日から土日に入り、学校が休みで助かった。
熱もやっと平熱まで下がっているので明日には学校へ行けるだろう。
前回の様にぶり返さない様に、今日は安静にしていよう。
両親は休日出勤だが、幸い柚希が部活休みなので何かあった時は頼るしかない。
柚希に借りを作るのは望ましくないが仕方ない。
「暇だな……」
やはりただ寝ているだけだと退屈だ。
横になっていればテレビを見る位なら大丈夫だろう。
録画してあるアニメを見ているとインターホンが鳴った。
しかし今日は柚希がいるので安心してアニメが見れる。
1時間程経った頃、部屋のドアがノックと共に開いた
「お兄ちゃーん、元気になったー?」
「あのな? ノックと同時にドア開けたらノックの意味ないだろ?」
「元気そうだね。良かった良かった」
「人の話を聞け」
「友達にランチ誘われたからちょっと出かけてくるね」
「え? じゃあ俺の昼飯は?」
「大丈夫、もう用意したから。ささ、どうぞ」
と言って柚希は横にずれる。
すると部屋に入ってきたのは……
「友華さん? え? なんで」
「ごめんなさい、お邪魔してます」
「いえ、それは大丈夫ですけど……」
いつから居たんだろう? アニメに夢中で俺が気づかなかっただけか?
それに友華さんが持っているお盆の上にはお粥らしき物が乗っている。
俺が疑問に思っていると、柚希が何故か得意げに
「どう? 驚いたでしょ?」
「ああ、っていうか友華さんは何時の間に来てたんだ?」
「ん~、1時間位前かな」
1時間前という事は、あのインターホンは友華さんだったのか!
だとすると今まで柚希と二人で何をしていたのだろう。
俺が混乱していると
「友華さんと女子トークしてましたー! 気になっちゃう?」
「まぁな。でも聞いても教えてくれないんだろ?」
「それはどうかなー。友華さんに直接聞けば? 私はもう行くねー」
と言って立ち去る。
残された友華さんは
「えっと、お粥作ったので食べてください」
と遠慮気味に部屋に入りテーブルの上に器を置く。
そしてそのままちょこんと座る。
「柚希の勝手の所為ですみません、ありがたく頂きます」
「いえいえ、大した事ではないですから。それより大丈夫ですか? 起き上がれますか?」
「はい、大丈夫です」
「無理はしないでくださ……い」
友華さんは一点を見つめたまま固まってしまった。
視線の先には先程まで見ていたアニメが流れている。
「友也さん!」
「は、はい!」
しまった! 友華さんヲタクスイッチが入った!
と思っていると
「ちゃんと安静にしてないとダメじゃないですか!」
あれ? ヲタクスイッチが入ってない?
「友也さん、聞いてますか?」
「は、はい! スミマセン」
「風邪は治りかけが大事なんですからね」
どうやらヲタクスイッチではなく、違うスイッチが入ってしまったらしい。
「それではお昼にしましょうか」
「そうですね」
と言ってベッドから降りようとすると
「友也さんはそのままで大丈夫ですよ」
「それだと食べづらいんですけど」
「私が食べさせてあげます」
「ふぅー、ふぅー。はい、どうぞ」
パクッ、もぐもぐ。
「はい、これで最後です」
パクッ、もぐもぐ。
「ご馳走さまでした」
「はい、お粗末様でした。洗い物してきますのでちゃんと横になっててくださいね」
と言って部屋から出て行った。
ヤバイヤバイヤバイ!
お粥ふぅーふぅーなんて2次元だけかと思ってたらまさか友華さんにされるなんて!
恥ずかし過ぎて何も考えられなかった。
でも、嫌じゃないかも。
っていうかふぅーふぅーしてる姿に釘付けになってしまった。
友華さんの吐息がお粥に掛かって、それを俺が食べて……。
ってこれじゃまるで変態じゃないか!
と、一人で悶絶していると友華さんが戻ってきた。
「戻りました。はい、お薬とお水です」
「何から何まですみません」
「いいえ、私がしたくてしてる事なので気にしないでください」
渡された薬を飲み、横になる。
すると友華さんはベッドのヘリに寄りかかり
「夕方までいますので何か困った事があったら言ってください」
と言ってそのまま読書を始めた。
気づけばもうすぐ4時近かった。
あれから俺は読書をしている友華さんをずっと眺めていた。
静かな空間にページのめくれる音と微かな呼吸音だけが聞こえる。
とても落ち着く空間。
本を読んでいる姿を見ているだけなのに退屈だとは全然思わない。
むしろもっと眺めていたいとさえ思える。
俺は自然と
「友華さん」
と口にしていた。
「どうしましたか?」
とこちらを振り返る。
その動作だけでも愛おしく感じる。
今伝えないと。
自然とそう思った。
「実は友華さんに大事なお話があります」
と言うと、友華さんは身体ごとこちらに向き直り姿勢を正す。
「はい、何でしょう?」
友華さんは何かを察したのかいつもは見せない真剣な表情だ。
「友華さん、俺は……」
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