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第25話
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「さてと。お姉ちゃん達と合流しよっか!」
「うん、そうだね」
案内所から当初の合流場所まで歩き出す。
途中、何度かお兄ちゃん達にLINEを送ったけど既読は付かなかった。
どうしたんだろう。
もしかして、怒ってるのかな。
そうこうしているうちにお兄ちゃん達と合流することができた。
「2人ともどこ行ってたんだ?」
「ごめんごめん、実は色々あって……あれ? 友華さんは?」
「それが、途中までは一緒に花火見てたんだけど『心配だから探してきます』って言ってどこか行ったきりなんだ」
「トモが通話かけてくれたりしたんだけど、繋がらなくってさぁ」
「私もダメだったわ。多分、これだけ多くの人がいるから回線が込んでるのかもしれないわね」
さっき既読が付かなかったのもそのせいかもしれない。
それにしても、今度は友華さんが迷子になっちゃうなんて。
「ごめんなさい。私が分かれて周ろうって言わなければ……」
「沙月のせいじゃないさ。それより、今から案内所に行って呼び出しをお願いしようと思ってたんだ」
「友也さん……ありがとうございます」
「はは、気にするなって」
そして私達は案内所に向かって歩き出した。
途中、ミカちゃんの事を簡潔に説明したら、みんなが沙月ちゃんに関心していた。
沙月ちゃんは少し気恥ずかしそうしていたが、突然表情が強張った。
「どうしたの?」
そう問いかけながら視線の先を追うと、そこには2人組の男に囲われた友華さんがいた。
男達はガタイが良く日焼けをしていて、見るからに地元のチャラ男だった。
一体何があったのか想像を働かせる間もなく、沙月ちゃんはいきり立った様子で近づいていき
「ちょっと。ウチのお姉ちゃんに何の用ですか?」
と、明らかに敵意をむき出しで睨みつけていた。
そんな沙月ちゃんとは対象的に、男達は笑顔で
「もしかしてお連れさんですか?」
とこちらを一瞥し、返してきた。
「フン。都合が悪くなったからってイイ顔して逃げようったってそうはいかないんだからね!」
「ち、違うの沙月!」
啖呵を切る沙月ちゃんを止めたのは友華さんだった。
「この人たちは、その、迷子になった私を、ここまで案内してくれたの」
「え?」
「だからね、沙月が考えてるような、えと、いかがわしい事は何も……」
きょとんとした顔で友華さんの説明を聞いていた沙月ちゃんの顔がみるみる赤くなっていく。
「え、あ、その。ご、ごめんなさい!」
「ははは、いいですよ全然。誤解も解けたみたいですし」
「あの、妹が失礼しました。それと、お世話になりました」
「いえいえ」
姉と妹が何度も頭を下げ、2人の男は笑顔で会釈を繰り返している。
それを暫く微笑ましく見つめた後、私達も2人にお礼をした。
「いやぁそれにしても、妹思いのお姉さんですね」
「え?」
「どうしたんですかって尋ねても『妹が迷子なんです』ってずっと心配してて」
「その話はもういいですよぉ」
「ははは。けどお姉さんもいい妹さんをお持ちですね」
「僕達、結構怖がられる方なんですけど、あそこまで果敢に立ち向かってくる女の子は中々いないですよ。本当に仲の良い姉妹なんですね」
褒める男達と照れる姉妹のやり取りは暫く続いた。
時折、「いえいえ」と言って横に手を振る様子が完全にシンクロしてた。
やっぱり姉妹なんだなぁ。
その後、私達は再度お礼を伝え男達と別れた。
男達の姿が完全に見えなくなった後、沙月ちゃんの表情が一変した。
そして友華さんに振り返り
「心配したんだからねお姉ちゃん!」
と、少し大げさにも見える様子で怒った。
「えと、その……ごめんね沙月」
「もう! でも、私も心配かけてごめんね」
そう言って沙月ちゃんは友華さんの手を取る。
「探しに来てくれて、ありがと。お姉ちゃん」
「沙月……」
沙月ちゃんと友華さんはどちらともなく笑顔になった。
そんな2人を、私達は微笑ましく眺めていた。
「さて、友華さんとも無事に合流できたことだし宿に帰るか」
「え~もう帰るの~?」
「仕方ないわよ。花火もう終わっちゃったんだから」
口ではそう言ってはいるけど、新島先輩も中々その場を離れようとはしない。
先輩だけじゃない。
私だって、まだみんなと遊んでいたい。
その時私はある事を思い出した。
「そうだ。みんなでこれやりませんか?」
「お、手持ち花火か。柚希、これどうしたんだ?」
「さっき沙月ちゃんと射的の景品で当てたの」
「お~さっすが柚希ちゃん! やろやろ♪」
「そうね。まだ時間もそう遅くないし」
満場一致で決まると近くの公園に移動する。
幸いにも花火専用のバケツなどが常備されていた。
「見て見て~トモ~」
「うお! 危ないからこっちくるなぁ~!」
水瀬先輩は両手にジェット花火を何本も持ち、お兄ちゃんを追いかけまわしている。
まるで子供だけど、あの無邪気さが水瀬先輩らしい。
その反面、新島先輩は凛と澄まして線香花火を垂れ下げている。
うん。やっぱり絵になるなぁ。
沙月ちゃんと友華さんは少し離れたところにいる。
仲睦まじく肩を並べてどの花火をやろうかと話し合っている。
「皆さん、次はこれやりましょ!」
沙月ちゃんは設置型の吹き出し花火を持って中央に置いた。
火を点け、みんなでそれを囲む。
色とりどりの火花が宙を鮮やかに染め出した。
「綺麗だな」
「うん、そうだね」
暗闇に輝く火花をボーっと見つめていると、今日一日で起きた事が走馬灯のように蘇ってくる。
沙月ちゃんと友華さんも仲直りできたみたいだし私も嬉しい。
途中で色々あったけど、最後にみんなでこうして同じ花火を見れてよかった。
それから私達は、残る花火に少しずつ火を点けていく。
この和やかな時間が終わるのを惜しむかのように。
旅館に戻り部屋に入ると布団が敷かれていた。
途中、水瀬先輩と沙月ちゃんのイタズラコンビが先導して枕投げ合戦が始まったけど、いつの間にかみんな寝てしまった。
「うん、そうだね」
案内所から当初の合流場所まで歩き出す。
途中、何度かお兄ちゃん達にLINEを送ったけど既読は付かなかった。
どうしたんだろう。
もしかして、怒ってるのかな。
そうこうしているうちにお兄ちゃん達と合流することができた。
「2人ともどこ行ってたんだ?」
「ごめんごめん、実は色々あって……あれ? 友華さんは?」
「それが、途中までは一緒に花火見てたんだけど『心配だから探してきます』って言ってどこか行ったきりなんだ」
「トモが通話かけてくれたりしたんだけど、繋がらなくってさぁ」
「私もダメだったわ。多分、これだけ多くの人がいるから回線が込んでるのかもしれないわね」
さっき既読が付かなかったのもそのせいかもしれない。
それにしても、今度は友華さんが迷子になっちゃうなんて。
「ごめんなさい。私が分かれて周ろうって言わなければ……」
「沙月のせいじゃないさ。それより、今から案内所に行って呼び出しをお願いしようと思ってたんだ」
「友也さん……ありがとうございます」
「はは、気にするなって」
そして私達は案内所に向かって歩き出した。
途中、ミカちゃんの事を簡潔に説明したら、みんなが沙月ちゃんに関心していた。
沙月ちゃんは少し気恥ずかしそうしていたが、突然表情が強張った。
「どうしたの?」
そう問いかけながら視線の先を追うと、そこには2人組の男に囲われた友華さんがいた。
男達はガタイが良く日焼けをしていて、見るからに地元のチャラ男だった。
一体何があったのか想像を働かせる間もなく、沙月ちゃんはいきり立った様子で近づいていき
「ちょっと。ウチのお姉ちゃんに何の用ですか?」
と、明らかに敵意をむき出しで睨みつけていた。
そんな沙月ちゃんとは対象的に、男達は笑顔で
「もしかしてお連れさんですか?」
とこちらを一瞥し、返してきた。
「フン。都合が悪くなったからってイイ顔して逃げようったってそうはいかないんだからね!」
「ち、違うの沙月!」
啖呵を切る沙月ちゃんを止めたのは友華さんだった。
「この人たちは、その、迷子になった私を、ここまで案内してくれたの」
「え?」
「だからね、沙月が考えてるような、えと、いかがわしい事は何も……」
きょとんとした顔で友華さんの説明を聞いていた沙月ちゃんの顔がみるみる赤くなっていく。
「え、あ、その。ご、ごめんなさい!」
「ははは、いいですよ全然。誤解も解けたみたいですし」
「あの、妹が失礼しました。それと、お世話になりました」
「いえいえ」
姉と妹が何度も頭を下げ、2人の男は笑顔で会釈を繰り返している。
それを暫く微笑ましく見つめた後、私達も2人にお礼をした。
「いやぁそれにしても、妹思いのお姉さんですね」
「え?」
「どうしたんですかって尋ねても『妹が迷子なんです』ってずっと心配してて」
「その話はもういいですよぉ」
「ははは。けどお姉さんもいい妹さんをお持ちですね」
「僕達、結構怖がられる方なんですけど、あそこまで果敢に立ち向かってくる女の子は中々いないですよ。本当に仲の良い姉妹なんですね」
褒める男達と照れる姉妹のやり取りは暫く続いた。
時折、「いえいえ」と言って横に手を振る様子が完全にシンクロしてた。
やっぱり姉妹なんだなぁ。
その後、私達は再度お礼を伝え男達と別れた。
男達の姿が完全に見えなくなった後、沙月ちゃんの表情が一変した。
そして友華さんに振り返り
「心配したんだからねお姉ちゃん!」
と、少し大げさにも見える様子で怒った。
「えと、その……ごめんね沙月」
「もう! でも、私も心配かけてごめんね」
そう言って沙月ちゃんは友華さんの手を取る。
「探しに来てくれて、ありがと。お姉ちゃん」
「沙月……」
沙月ちゃんと友華さんはどちらともなく笑顔になった。
そんな2人を、私達は微笑ましく眺めていた。
「さて、友華さんとも無事に合流できたことだし宿に帰るか」
「え~もう帰るの~?」
「仕方ないわよ。花火もう終わっちゃったんだから」
口ではそう言ってはいるけど、新島先輩も中々その場を離れようとはしない。
先輩だけじゃない。
私だって、まだみんなと遊んでいたい。
その時私はある事を思い出した。
「そうだ。みんなでこれやりませんか?」
「お、手持ち花火か。柚希、これどうしたんだ?」
「さっき沙月ちゃんと射的の景品で当てたの」
「お~さっすが柚希ちゃん! やろやろ♪」
「そうね。まだ時間もそう遅くないし」
満場一致で決まると近くの公園に移動する。
幸いにも花火専用のバケツなどが常備されていた。
「見て見て~トモ~」
「うお! 危ないからこっちくるなぁ~!」
水瀬先輩は両手にジェット花火を何本も持ち、お兄ちゃんを追いかけまわしている。
まるで子供だけど、あの無邪気さが水瀬先輩らしい。
その反面、新島先輩は凛と澄まして線香花火を垂れ下げている。
うん。やっぱり絵になるなぁ。
沙月ちゃんと友華さんは少し離れたところにいる。
仲睦まじく肩を並べてどの花火をやろうかと話し合っている。
「皆さん、次はこれやりましょ!」
沙月ちゃんは設置型の吹き出し花火を持って中央に置いた。
火を点け、みんなでそれを囲む。
色とりどりの火花が宙を鮮やかに染め出した。
「綺麗だな」
「うん、そうだね」
暗闇に輝く火花をボーっと見つめていると、今日一日で起きた事が走馬灯のように蘇ってくる。
沙月ちゃんと友華さんも仲直りできたみたいだし私も嬉しい。
途中で色々あったけど、最後にみんなでこうして同じ花火を見れてよかった。
それから私達は、残る花火に少しずつ火を点けていく。
この和やかな時間が終わるのを惜しむかのように。
旅館に戻り部屋に入ると布団が敷かれていた。
途中、水瀬先輩と沙月ちゃんのイタズラコンビが先導して枕投げ合戦が始まったけど、いつの間にかみんな寝てしまった。
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