2 / 51
第2話
しおりを挟む
お兄ちゃんのリア充計画に協力を申し出てくれた。
計画通りにいった事で思わず口角が上がった事をお兄ちゃんは見逃さなかった。
「あ~あ、上手く行ってると思ったんだけどな~。でも、流石の洞察力だね。普通の人なら気づかないんだけどね」
「どこまでが計算なんだ?」
「質問が違うよお兄ちゃん。『何処からが正解』だよ?」
その言葉を受けてお兄ちゃんは面食らった表情をした。
そして、躊躇いがちに尋ねてくる。
「もしかして、ギャル達に虐められていたのも?」
「せいか~い」
「めぐは? 親友だって言ってたよな? そんなめぐも利用したのか?」
「うん、利用した」
ひとつひとつに機械的に答えていく。
だってもう何も隠す必要は無いんだから。
そして質問に答える度に、お兄ちゃんの声に熱がこもるのを感じた。
「なんで……どうしてそんな事が出来るんだよ? 親友だって言ったのは嘘だったのか!?」
お兄ちゃんがここまで感情を露わにするのも久しぶりな気がする。
それはそれで計画がうまくいっているって事なのだろうけど……。
よく考えてみたら、お兄ちゃんから責められるって事は今までなかったかもしれない。
「うるさい。 お母さんたち起きちゃうでしょ」
あまりの緊迫感にそう言うしかなかった。
そしてお兄ちゃんは私の肩を掴んで、怒気を孕んだ声で言った。
「どうしてこんな事したんだよ!?」
『どうして……?』
昔のお兄ちゃんに戻って欲しい。
ただそれだけなのに。
どうして気づかないの?
でもそんな事、今は口が裂けても言えない。
怒りと悲しみが入り混じった、自分でも整理できない感情。
思考が追いつく前に私はお兄ちゃんの手を振り払っていた。
「お兄ちゃんの所為でしょ!?」
「俺の……所為?」
何も分かっていないお兄ちゃんに怒りが爆発してしまった。
「そうだよ! お兄ちゃんがいつまでも変わろうとしないから! 中学の時は学校中から嫌われていたお蔭で私は実の兄が学校一の嫌われ者という悲劇のヒロインでいられた。でも高校では精々クラスでいつも一人で居る奴程度。それじゃ私が困るの!」
「どういう意味だ? どうして柚希が困るんだ?」
「はぁ~。もうこの際だから全部言っちゃうけど、私って常に皆から注目されたり、認めて貰いたいんだよね。その為に私は色んな努力をしてきたつもり」
冷静にならなきゃいけないのに感情が抑えられない。
計画なんてもうどうでもいい。
ただ、私の気持ちをお兄ちゃんに知って貰いたい。
そんな想いで言葉を続ける。
「めぐが学年で2位の秀才なのは知ってるよね? じゃあ1位は誰だと思う?」
「……柚希か?」
「正解、勉強だけじゃないよ? 部活だって全国に行ったのは私だけだし、持久走でも1位だし、その他にも表彰された事は何度もある。私は自分が目立つことなら何でもやってきた。お兄ちゃんの妹の立場も利用して悲劇のヒロインっていう役も演じた」
お兄ちゃんを更正させる計画だけど、私の自己顕示欲を満たす計画でもあった。
「私ってさぁ、自己顕示欲? っていうの? それが人一倍強いみたいなんだよね~」
「どうして俺を変えようと思ったんだ?」
「悲劇のヒロインは無理だと分かったし、一度経験してるから別の事で注目されたかったんだよね~。そこできづいたの! お兄ちゃんは顔の作りは悪くない。っていうかキチンとすればイケメンの部類に入るってね」
自己顕示欲の強い私は、自分の兄のビジュアルに目をつけた。
そして、リア充にする計画が私の欲求を満たす事に繋がると気づいた。
「だからお兄ちゃんを学校一のリア充にすれば、私はイケメンリア充の妹って事で注目されるんじゃないかってね。そこで一芝居打ってお兄ちゃんを焚き付けた訳。そしてまだ途中だけど結果は上々。気づいた? めぐ、お兄ちゃんに惚れてたよ?」
自分に好意を寄せている女子がいる。
しかもめぐは私も認める美少女だ。
その事実を突きつけられ、お兄ちゃんは明らかに動揺していた。
「その様子だと気づいてなかったみたいだね」
「いやいや、今日初めて会ったんだぞ? 確かに会話は楽しかったけど、それだけで惚れるか?」
お兄ちゃんは全力で否定するが
「それだけお兄ちゃんがイケメンに変わったって事だよ。特訓の成果だね」
「あ、でもまだ特訓の途中だから調子に乗らない様に!」
「まだ……続けるのか? 俺に計画を知られたのに」
「当たり前じゃん! こんなんじゃ全然満足できないもん!」
私は堂々と言い放った。
「俺が嫌だといったらどうするんだ?」
私は冷たい微笑みを浮かべて言った。
「大丈夫だよ。お兄ちゃんは絶対に私に協力する。もう引き返せないよ?」
そして迎えた新学期、お兄ちゃんより少し遅れて家を出る。
お兄ちゃんが校門の前でぼーっとしていたので、後ろから
「な~に黄昏てんの? お兄ちゃん」
「いや、春休み色々やってきたけどちょっと不安になってな」
「大丈夫だって! 私がプロデュースしてるんだから!」
「凄い自信だな」
「まぁね~」
なんて話していると
「おはようございます!」
と小走りで近くにまで来てめぐが挨拶をする。
「おはよう、めぐ」
「おはよ~」
染谷恵美。
中学からの付き合いで、私の一番の親友。
めぐには何でも話せるしいつも感謝している。
この間はお兄ちゃんの特訓にも付き合ってくれたし。
「あ、その制服かわいい~」
「何言ってるの。めぐだって同じ制服でしょ」
「アハハ、そうだったぁ」
少し抜けている部分があるけど、外見の可愛さも相まってそこがいいと言う男子も多い。
私の他に注目されてる子が居るなんて許せない。
……なんていつもなら思うんだけど、めぐだけは全くそれを感じないんだよなぁ。
「ゆず、制服似合ってるよ」
「ありがと。めぐも似合ってる」
「ふふ。ゆずに褒められると嬉しい」
めぐはいつも私を信頼してくれる。
それが嬉しいし、私もめぐを信頼している。
「じゃあ俺は教室行くから」
「頑張ってねお兄ちゃん」
「はい、頑張ってください」
そう言って、私とめぐも一年生のクラス割を見に行く。
掲示板の前は人で溢れかえっていた。
めぐと一緒に始める新しい学校生活が純粋に楽しみで仕方がない。
私たちはワクワクしながら校舎に足を踏み入れた。
教室は既に賑わっていた。
黒板に貼られた座席表を見て自分の席に座る。
めぐとは丁度隣同士だ。
先生が入ってきて軽い挨拶と説明をされる。
生徒同士の自己紹介の時間になった。
「佐藤柚希です。咲崎中学から来ました。テニス部に所属する予定です」
その後、先生が出て行った途端に教室が騒がしくなる。
どこ中出身か?
あの先輩は知ってるか?
あの駄菓子屋言ったことあるか?
共通の話題を見つけては盛り上がり、既にいくつかのグループが出来上がっていた。
「ねぇ、佐藤さんと染谷さんって咲崎中だったんでしょ?」
「うん、そうだよ」
私とめぐの周囲にも数人の女子が集まってきた。
「私の友達が咲崎中に居たんだよね~。山田秋子っていうんだけど」
「えー! 秋子ちゃんの友達なんだ~」
「うん、そうなの。じゃあさ、咲崎中の佐藤友也って知ってる?」
お兄ちゃんの名前を聞いて、場の空気が少し変わった。
「あー! ウチ知ってる。根暗の佐藤の事じゃね」
「アタシも知ってるわー」
「それで秋子から聞いたんだけど、その佐藤友也って高校ココらしいよ」
皆の反応に、一瞬心臓が跳ねた。
「うん、それも知ってるよ。仲良いから」
敢えて兄という事は伏せて相槌を打つ。
根暗でヲタクの有名人と私が知り合いという事にみんな驚いていた。
「へぇ~そうなんだ。意外」
「柚希ちゃん可愛いのにね……あ、別に深い意味はないよ!」
みんな直接的な言い方はしていなかったけど、あの佐藤友也のイメージを持っているようだった。
好きなだけ言わせておけばいい。
だって、根暗でヲタクなお兄ちゃんはもういないんだから。
私はただただ笑顔でその場を過ごした。
――――――
――――
――
夜の11時、私の部屋にお兄ちゃんを呼び出した。
「で、今日は学校でどうだった?」
早速、一日中気になっていた事を訊いてみた。
特訓の成果はちゃんと出たかな?
「……という事があった」
「やったじゃん! 初日にしては大成功だよ!」
と私に褒められるとお兄ちゃんは照れていた。
「ありがとう、柚希のお蔭だよ」
と素直にお礼される。
「お礼言うのは早いよ。私言ったでしょ? お兄ちゃんを学校一のイケメンリア充にするって。だから今の段階で満足しないで」
昼間の事を思い出し、少し強めに忠告する。
過去のお兄ちゃんを知っている人も少なくないし、油断していられない。
「あ、ああ分かってる」
「なら良し!」
その後、これまでの特訓の経過や今後の課題について話した。
「もうこんな時間だ。取りあえず今日はここまでね」
「え? いやちょ……」
「頑張ってね! 明日の報告楽しみにしてるから」
と最後に満面の笑みを見せて無理やり終わらせた。
学校でのお兄ちゃんについては、当面の問題はないだろう。
イメチェンした佐藤友也に驚愕するみんなの顔が目に浮かぶようだ。
それよりも今は、明日のテニス部見学が楽しみだ。
私はワクワクしながら眠りについた。
計画通りにいった事で思わず口角が上がった事をお兄ちゃんは見逃さなかった。
「あ~あ、上手く行ってると思ったんだけどな~。でも、流石の洞察力だね。普通の人なら気づかないんだけどね」
「どこまでが計算なんだ?」
「質問が違うよお兄ちゃん。『何処からが正解』だよ?」
その言葉を受けてお兄ちゃんは面食らった表情をした。
そして、躊躇いがちに尋ねてくる。
「もしかして、ギャル達に虐められていたのも?」
「せいか~い」
「めぐは? 親友だって言ってたよな? そんなめぐも利用したのか?」
「うん、利用した」
ひとつひとつに機械的に答えていく。
だってもう何も隠す必要は無いんだから。
そして質問に答える度に、お兄ちゃんの声に熱がこもるのを感じた。
「なんで……どうしてそんな事が出来るんだよ? 親友だって言ったのは嘘だったのか!?」
お兄ちゃんがここまで感情を露わにするのも久しぶりな気がする。
それはそれで計画がうまくいっているって事なのだろうけど……。
よく考えてみたら、お兄ちゃんから責められるって事は今までなかったかもしれない。
「うるさい。 お母さんたち起きちゃうでしょ」
あまりの緊迫感にそう言うしかなかった。
そしてお兄ちゃんは私の肩を掴んで、怒気を孕んだ声で言った。
「どうしてこんな事したんだよ!?」
『どうして……?』
昔のお兄ちゃんに戻って欲しい。
ただそれだけなのに。
どうして気づかないの?
でもそんな事、今は口が裂けても言えない。
怒りと悲しみが入り混じった、自分でも整理できない感情。
思考が追いつく前に私はお兄ちゃんの手を振り払っていた。
「お兄ちゃんの所為でしょ!?」
「俺の……所為?」
何も分かっていないお兄ちゃんに怒りが爆発してしまった。
「そうだよ! お兄ちゃんがいつまでも変わろうとしないから! 中学の時は学校中から嫌われていたお蔭で私は実の兄が学校一の嫌われ者という悲劇のヒロインでいられた。でも高校では精々クラスでいつも一人で居る奴程度。それじゃ私が困るの!」
「どういう意味だ? どうして柚希が困るんだ?」
「はぁ~。もうこの際だから全部言っちゃうけど、私って常に皆から注目されたり、認めて貰いたいんだよね。その為に私は色んな努力をしてきたつもり」
冷静にならなきゃいけないのに感情が抑えられない。
計画なんてもうどうでもいい。
ただ、私の気持ちをお兄ちゃんに知って貰いたい。
そんな想いで言葉を続ける。
「めぐが学年で2位の秀才なのは知ってるよね? じゃあ1位は誰だと思う?」
「……柚希か?」
「正解、勉強だけじゃないよ? 部活だって全国に行ったのは私だけだし、持久走でも1位だし、その他にも表彰された事は何度もある。私は自分が目立つことなら何でもやってきた。お兄ちゃんの妹の立場も利用して悲劇のヒロインっていう役も演じた」
お兄ちゃんを更正させる計画だけど、私の自己顕示欲を満たす計画でもあった。
「私ってさぁ、自己顕示欲? っていうの? それが人一倍強いみたいなんだよね~」
「どうして俺を変えようと思ったんだ?」
「悲劇のヒロインは無理だと分かったし、一度経験してるから別の事で注目されたかったんだよね~。そこできづいたの! お兄ちゃんは顔の作りは悪くない。っていうかキチンとすればイケメンの部類に入るってね」
自己顕示欲の強い私は、自分の兄のビジュアルに目をつけた。
そして、リア充にする計画が私の欲求を満たす事に繋がると気づいた。
「だからお兄ちゃんを学校一のリア充にすれば、私はイケメンリア充の妹って事で注目されるんじゃないかってね。そこで一芝居打ってお兄ちゃんを焚き付けた訳。そしてまだ途中だけど結果は上々。気づいた? めぐ、お兄ちゃんに惚れてたよ?」
自分に好意を寄せている女子がいる。
しかもめぐは私も認める美少女だ。
その事実を突きつけられ、お兄ちゃんは明らかに動揺していた。
「その様子だと気づいてなかったみたいだね」
「いやいや、今日初めて会ったんだぞ? 確かに会話は楽しかったけど、それだけで惚れるか?」
お兄ちゃんは全力で否定するが
「それだけお兄ちゃんがイケメンに変わったって事だよ。特訓の成果だね」
「あ、でもまだ特訓の途中だから調子に乗らない様に!」
「まだ……続けるのか? 俺に計画を知られたのに」
「当たり前じゃん! こんなんじゃ全然満足できないもん!」
私は堂々と言い放った。
「俺が嫌だといったらどうするんだ?」
私は冷たい微笑みを浮かべて言った。
「大丈夫だよ。お兄ちゃんは絶対に私に協力する。もう引き返せないよ?」
そして迎えた新学期、お兄ちゃんより少し遅れて家を出る。
お兄ちゃんが校門の前でぼーっとしていたので、後ろから
「な~に黄昏てんの? お兄ちゃん」
「いや、春休み色々やってきたけどちょっと不安になってな」
「大丈夫だって! 私がプロデュースしてるんだから!」
「凄い自信だな」
「まぁね~」
なんて話していると
「おはようございます!」
と小走りで近くにまで来てめぐが挨拶をする。
「おはよう、めぐ」
「おはよ~」
染谷恵美。
中学からの付き合いで、私の一番の親友。
めぐには何でも話せるしいつも感謝している。
この間はお兄ちゃんの特訓にも付き合ってくれたし。
「あ、その制服かわいい~」
「何言ってるの。めぐだって同じ制服でしょ」
「アハハ、そうだったぁ」
少し抜けている部分があるけど、外見の可愛さも相まってそこがいいと言う男子も多い。
私の他に注目されてる子が居るなんて許せない。
……なんていつもなら思うんだけど、めぐだけは全くそれを感じないんだよなぁ。
「ゆず、制服似合ってるよ」
「ありがと。めぐも似合ってる」
「ふふ。ゆずに褒められると嬉しい」
めぐはいつも私を信頼してくれる。
それが嬉しいし、私もめぐを信頼している。
「じゃあ俺は教室行くから」
「頑張ってねお兄ちゃん」
「はい、頑張ってください」
そう言って、私とめぐも一年生のクラス割を見に行く。
掲示板の前は人で溢れかえっていた。
めぐと一緒に始める新しい学校生活が純粋に楽しみで仕方がない。
私たちはワクワクしながら校舎に足を踏み入れた。
教室は既に賑わっていた。
黒板に貼られた座席表を見て自分の席に座る。
めぐとは丁度隣同士だ。
先生が入ってきて軽い挨拶と説明をされる。
生徒同士の自己紹介の時間になった。
「佐藤柚希です。咲崎中学から来ました。テニス部に所属する予定です」
その後、先生が出て行った途端に教室が騒がしくなる。
どこ中出身か?
あの先輩は知ってるか?
あの駄菓子屋言ったことあるか?
共通の話題を見つけては盛り上がり、既にいくつかのグループが出来上がっていた。
「ねぇ、佐藤さんと染谷さんって咲崎中だったんでしょ?」
「うん、そうだよ」
私とめぐの周囲にも数人の女子が集まってきた。
「私の友達が咲崎中に居たんだよね~。山田秋子っていうんだけど」
「えー! 秋子ちゃんの友達なんだ~」
「うん、そうなの。じゃあさ、咲崎中の佐藤友也って知ってる?」
お兄ちゃんの名前を聞いて、場の空気が少し変わった。
「あー! ウチ知ってる。根暗の佐藤の事じゃね」
「アタシも知ってるわー」
「それで秋子から聞いたんだけど、その佐藤友也って高校ココらしいよ」
皆の反応に、一瞬心臓が跳ねた。
「うん、それも知ってるよ。仲良いから」
敢えて兄という事は伏せて相槌を打つ。
根暗でヲタクの有名人と私が知り合いという事にみんな驚いていた。
「へぇ~そうなんだ。意外」
「柚希ちゃん可愛いのにね……あ、別に深い意味はないよ!」
みんな直接的な言い方はしていなかったけど、あの佐藤友也のイメージを持っているようだった。
好きなだけ言わせておけばいい。
だって、根暗でヲタクなお兄ちゃんはもういないんだから。
私はただただ笑顔でその場を過ごした。
――――――
――――
――
夜の11時、私の部屋にお兄ちゃんを呼び出した。
「で、今日は学校でどうだった?」
早速、一日中気になっていた事を訊いてみた。
特訓の成果はちゃんと出たかな?
「……という事があった」
「やったじゃん! 初日にしては大成功だよ!」
と私に褒められるとお兄ちゃんは照れていた。
「ありがとう、柚希のお蔭だよ」
と素直にお礼される。
「お礼言うのは早いよ。私言ったでしょ? お兄ちゃんを学校一のイケメンリア充にするって。だから今の段階で満足しないで」
昼間の事を思い出し、少し強めに忠告する。
過去のお兄ちゃんを知っている人も少なくないし、油断していられない。
「あ、ああ分かってる」
「なら良し!」
その後、これまでの特訓の経過や今後の課題について話した。
「もうこんな時間だ。取りあえず今日はここまでね」
「え? いやちょ……」
「頑張ってね! 明日の報告楽しみにしてるから」
と最後に満面の笑みを見せて無理やり終わらせた。
学校でのお兄ちゃんについては、当面の問題はないだろう。
イメチェンした佐藤友也に驚愕するみんなの顔が目に浮かぶようだ。
それよりも今は、明日のテニス部見学が楽しみだ。
私はワクワクしながら眠りについた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません
たろ
恋愛
処刑されたエリーゼ。
何もしていないのに冤罪で……
死んだと思ったら6歳に戻った。
さっき処刑されたばかりなので、悔しさも怖さも痛さも残ったまま巻き戻った。
絶対に許さない!
今更わたしに優しくしても遅い!
恨みしかない、父親と殿下!
絶対に復讐してやる!
★設定はかなりゆるめです
★あまりシリアスではありません
★よくある話を書いてみたかったんです!!
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる