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28話  いつも通りに

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 実際のところ、僕に嫉妬している誰それが存在していようがいまいがどうでもいい。
 出来れば話を僕に都合がいいようにもっていきたかったというだけの話だった……むしろ、嫉妬した誰かなんていなければ、部員を集めるためのいい方法があるわけであり、そんな奴は出てきてほしくもない。

「ばれちゃ……仕方がない」

 そんな男のような女のような声と共に、『元』部室のドアが開かれる。
 入ってきたのは、これまた中性的な見た目をした女生徒……いや、男子生徒なのだろうか?

「嘘だろ……適当に言ったのに」
「って適当だったんですか!? 流石先輩、全く意味不明な話なのに納得しかけてましたよ……こんなタイミングで適当なことを言うって、やっぱり頭のネジが外れているじゃないですか!」

 なんて騒いでいる彩錦あかねを完全に無視して、僕は男女、もしくは女男……ズボンをはいているから女男としよう……とにかく僕はその女男に詰め寄る。

「どうして、存在しているんだ? おかげで僕の作戦は失敗だ……僕に嫉妬して、でたらめな噂を流している奴がいたら意味がないんだよ……」
 存在しないやつをボロボロにすることは出来ても、こんななよなよした男をスケープゴートにして噂の中の『あること』の部分まで消し去るなんて出来ない。

「……嫉妬して? 何を言ってるんですか? 僕はあなた……恋次れんじ様にこれ以上悪い虫がつかないようにと、わざと脚色した噂を流しただけですよ?」

 あまりもの衝撃に僕は梓と、彩錦の方を見る。
 開いた口がふさがらないとは、まさにこういうことを指すのだろう。2人ともぽかんとした表情をしていた。
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