上 下
1 / 6

イチ

しおりを挟む
幼い頃に遊んでいた、れいなと登の秘密基地。

静かで、少し不気味な森の奥にある館。

好奇心盛んな登は、館に入る。

れいなは、怖がりながら登について歩く。

館には、全身を映す鏡があった。

れいなは鏡を見た。

鏡の中のれいなは、まるで生きている感じがした。

怖くなったれいなは、登をひっぱり館から出た。


ジリリリリリ…


いつもと同じ時間に目覚まし時計が鳴る。

(あぁもう朝か…)

(懐かしい夢だったなぁ。)

一人暮らしのれいな。

学校へ行く用意をして家を出る。

(今日も起きてないだろうな。)

れいなは必ず、幼なじみの登を迎えに行く。

登の実家のチャイムを押すれいな。

でてくるのは、登じゃなくて母だった。

もうわかりきってる事。

ギリギリまで寝ている登は、いつもぼさぼさの髪で出てくる。

れいなはいつも気になっていた。

「ねぇ、すごい事になってるよ、良いの。」

適当に手グシをする登。

身だしなみはどうでも良く、周りを気にしない男だった。

いつも二人で登校するので、周りからヤジも飛んでくる。

「お前らもうヤッてんだろ?」

「昨日も激しくか?」

「れいな、俺の相手もしてよ。」

登は適当に相手をする。

「朝からうるせぇよ!バカどもが。」

そう言っては睨みを利かせ、おっぱらう感じだった。

「れいな大丈夫か?」

「気にすんなよ。」

れいなは、ガサツだけど優しくしてくれる登の事が好きだった。

学校でのれいなは、その可愛いさから男達にモテる。

登を好きなれいなは、他の男に興味はない。

仲良くしてる女の子と話す程度で過ごしていた。

生活費を稼ぐため、コンビニでバイトをしているれいな。

学校が終わったら、すぐバイト先へ向かう。

レジに立つれいなに話しかける男は多い。

いつも高級車に乗って、タバコを買いにくる男がいた。

名札を見ながら話しかけてくる。

「麻宮さん?いつもいるよね。」

「学生でしょ?大学の資金かなにか?」

れいなは、お客さんを無視する訳にはいかないので答える。

「いえ、生活費をちょっと。一人暮らしなんで…」

れいなは、バカ正直に言ってしまう。

「じゃあバイト終わるまで待ってるよ。」

「俺と遊んで。」

れいなは、遊ぶ事はできないとはっきり断る。

バイト終わりの時間が来て、帰ろうとする。

その男は駐車場で待っていた。

怖くなったれいなは、逃げるように帰る。

追いかけてくる事はなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

教師(今日、死)

ワカメガメ
ホラー
中学2年生の時、6月6日にクラスの担任が死んだ。 そしてしばらくして不思議な「ユメ」の体験をした。 その「ユメ」はある工場みたいなところ。そしてクラス全員がそこにいた。その「ユメ」に招待した人物は... 密かに隠れたその恨みが自分に死を植え付けられるなんてこの時は夢にも思わなかった。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝落ち通話

なつのさんち
ホラー
寝落ち通話って知ってますか? 顔も名前も知らない相手と、眠りに落ちるまでお喋りする通話なんです。 でもそれって怖くない? 人間、寝ている時が一番無防備なんだもの。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

結末のない怖い話

雲井咲穂(くもいさほ)
ホラー
実体験や身近な人から聞いたお話を読める怪談にしてまとめています。 短い文章でさらっと読めるものが多いです。 結末がカチっとしていない「なんだったんだろう?」というお話が多めです。

五丁目のマンション、エレベーター内にて

三文小唄
ホラー
東京某所、とあるマンションに私は住んでいた。そこは7階建てで、私の部屋はそのうちの6階だ。 見た目は小綺麗なマンションであるが実情はひどいものだ。ここはいわゆる”出る”そうだ。曰く付きと言えば、昨今の人は理解されるだろう。心理的瑕疵物件というやつだ。 しかし私たちの住む部屋自体にはそういった現象はない。と言ってもまだ私が確認していないだけかもしれないが。 ここの部屋には”出ない”。よく”出る”と言われるのは、エレベーターだ。 このマンションにはエレベーターが二基設置されている。 それはマンションの両極端に設置されており、一方は明らかに後から増設されたようなものだ。 無論、ここの住人はこの増設された方を使用する。もう一方のエレベーターは、よほどの猛者出ない限り使用はしないだろう。なんせ”出る”のだから。しかし、やはりたまにこのエレベーターを使用してしまう愚か者がいるのだ。これは、その愚か者たちの末路を記したものだ。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...