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我は…

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愛とカナ様は、愛の実家…

ひろしの部屋に戻ってきた。

愛は、カナ様の手を離し、笑顔で伝える。

「ありがとう。カナ様…楽しかった…。」

カナ様は、愛を真剣な眼差しで見つめる。


「本当に良いのか?」


愛は、真剣にカナ様を見つめ答えた。

「うん!良いよ…。」


カナ様は、愛に指先を向ける。

一瞬の閃光が愛を包む。

愛は、元の姿…ひろしに戻った。

カナ様は、ひろしに言う。

「もう良いぞ、母に会いに行くが良い。」


ひろしは、久しぶりの母へ会いに、茶の間へ行く。

母は、激怒した。

「ひろしぃー!あんた今までどこに行ってたぁー!」


バチぃーン!

バチコーン!

パッ!パァーン!

母の愛情、往復ビンタを食らったひろし。

頬が、ぼっこり腫れながら部屋へ戻った。

ひろしの顔を見てカナ様は、おっしゃる。

「良い顔をしているではないか」

ひろしは、カナ様に質問する。

「あのぉ…前回のように愛の存在は?」

カナ様は、答える。

「消えてないよ!姿を戻しただけぇ。」

「愛は行方不明。」

…。

(そりゃずっと家出してた事になるわな…。)

(ビンタもされるわ…。)

ひろしは、納得した。


世間では、人気アイドル愛が行方不明になり、大騒ぎしていた。


それから数ヶ月後…

カナ様は、ひろしの部屋にずっと住んでいた。

ひろしが、大喜びで帰ってくる。

「やったよ!カナ様、アイリのライブチケット手に入ったぁ!」

「握手券もあるよ!」

ベッドで寝っ転がっていたカナ様は、チケットをひろしに見せる。

「我もあるよ!握手券付き。」

おまえも行くのかよー!と、ひろしは思った。


アイリのライブの日…

ひろしは、ちょっとオシャレな格好をしていた。

カナ様の服装が、気になるひろし。

カナ様は、自分の服を召還する。


ゴスロリ服…。

サングラス。

(…。)

ひろしは、安心と共に引いていた。


カナ様とひろしは、アイリのライブ会場へ向かう。

ひろしとして、初めてアイリに会える。

嬉しくて胸は、もうドキドキが止まらない。

ルンルンのひろし。

カナ様は、相変わらずだった。

アイリのライブ会場に居る、ひろしたち。

待ち遠しかった、アイリのライブが始まる。

ステージに上がるアイリ…

ひろしは、声が届くように叫ぶ。

アイリぃー!

(あぁ…久しぶりだね!アイリ…可愛いなぁ。)

魅了される、ひろし。

カナ様は、無言でアイリを見ていた。

そして…

ライブの最後にアイリは、ファンたちに言った。

「皆さん…私の大切な愛は…どこにいるかわかりません…。」

「私は皆さんに、愛を忘れてほしくない!」

「絶対どこかで元気でいる。」

「最後に、私の大好きな…愛の曲を歌います。」


愛の曲が流れる…

アイリは、愛を思い出し、涙を流しながら歌っていた。


ひろしも涙が止まらない。

(ごめんね…アイリ…)


アイリの歌は終わり…

ライブも終わった…。


握手会が始まる。

握手券を持つファンたちは並ぶ。

ひろしは、カナ様の後ろに並んだ。

(なんでおまえが俺の前なんだよ…)


ファンと握手を交わしていく、アイリ…。

カナ様が、アイリと握手をした。

カナ様の服装が違うので、アイリは、お姉さん?とは思わなかった。

ひろしの番が来た。

アイリと握手するひろし…

「ずっと大好きです!これからも頑張って下さい。」

そう、アイリに伝えた。


「ありがとう…またきて…ね…」


不思議そうにひろしを見て、アイリは言った。


すっかり夜になった道を歩く、カナ様とひろし。

帰るために駅を目指していた。

ひろしは、興奮しながらカナ様に言う。

「アイリは可愛いですねー。あぁ良かったなぁ。」

「いや本当に…」

ひろしは、しゃべり続けていた。



(来たか…)

カナ様は、姿を消した…


「んでね…あれ?カナ様?」

カナ様がいない事に気づいた、ひろし。

どこ行った?とキョロキョロする。

まぁいっかと、ひろしは歩きはじめた。



「待って!」


ひろしは、後ろから聞こえた声に振り向く…

(アイリ!…どうして?)

ひろしに向かって、走って来る。


ひろしの顔を見つめるアイリ…


「あなた…愛なんでしょ?」

「私、不思議だけど、わかるの!」


アイリは、ひろしを抱きしめる…

「どこに行ってたのよ!愛。」

「心配したんだから…本当に…」

アイリは泣いていた。

ひろしは、そっとアイリの身体を離した。

「俺は、愛じゃないよ。」

「ひろしって男です。」

そうアイリに伝えた。

アイリは、うつむいてしまった…。

「そう…ですよね…愛じゃない。」


顔を上げ、力強くひろしに訴えるアイリ。


「だけど…あなたは、ずっと私を大好き…って言ってくれた!」

「私を守ってくれた…。」

「もう…離れたくないの…。」


ひろしは、ドキドキが止まらない…。

「いっ…一緒に居るってこと?」


アイリは、少し恥ずかしそうな顔をする…

「私のそばに居て…。」

ひろしは、アイリに確認する。

「お付き合いするってことで良いの…かな?」

アイリは顔を赤らめ、首を縦に動かす。

ひろしは、宇宙までぶっ飛んで行きそうなくらい喜んだ。

ひろしとアイリは、恋人同士になった。


そして…


カナ様は、二度とひろしの前に現れる事は、なかった。




我は…大魔道師カナ・エール



終わり
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