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第2章

第百五十五話 カムラドネの宴

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 カムラドネの家に戻り、レイラと二人でゆったりと過ごす。カラルはドルトミアのダンジョンの管理に戻っていて、ルーミエとユウキは会社(カンパニー)での魔法習得に向けて訓練をしている。

 レイラのお腹も随分と大きくなり、来月には出産を控えている。毎日の散歩は実家の母親やメイドさんたちと一緒にして、初出産への準備も順調に進められているようだ。そんな俺も家にいても一緒に散歩するくらいで特に役に立てている感じはない。そんなことを伝えると

「そんなことないのよ、アキトは私と赤ちゃんの大切なパパになるんだからね。いてくれるだけでいいのよ」

 と、言って微笑んでくれる。

「私は十分に幸せよ……でもね、最近ユウちゃんが元気がないってルゥちゃんがいっているのよ」

「前に会ったときにはそんなふうには見えなかったけどな……」

「なんだか、魔法習得が思うようにできないって悩んでいるようなの」

 さすが第一夫人……他の嫁の状況も心配してやれる度量の広さをもっている。

「そっか……そしたら明日にでも会いに行ってみるよ」

「明日とは言わずに訓練が終わったら連絡してあげたら?それで二人で旅行にでも行ってきたらどうかしら?」

 旅行か……カラルとは色んな所にいったし、ルーミエはドルトミアに行く時に新婚旅行のような感じだったな。レイラとは二人きりというわけではないが、こうやってちょくちょく家に帰ってよく話をするようにしている。ユウキとは二人きりになることはなかったな……。

 その日の夕方の訓練上がり頃にユウキに連絡を入れる。これからルーミエと二人で夕食を食べに行くところだったらしく、それならカムラドネに戻って一緒に食べようと誘う。転移機能付き指輪での会話を行いながら、人のないところに移動してもらい。転移を開始する。

「おかえり、ルーミエ、ユウキ」

二人は「「ただいま~」」といって順に俺とハグを交わし、着替えのため部屋に戻っていった。

 そのあとカラルとノイリにも声をかけて、夕食を囲む。大所帯となった今ではレイラが常に料理をアイテムボックスにストックをしてあって、急に大勢が集まった場合でもメイドさんに負担をかけないようにしている。それにレイラの料理はとても美味しいのでみんな大喜びだ。

 今日の料理はトマト中心の野菜サラダ。ステーキ、ロールキャベツ、唐揚げ、シーフード・パスタが食卓に並んだ

 食卓を囲みお互いの近況報告をする。レイラは出産を控え、散歩やスクワットなどのお産に必要な筋トレもして出産に向けて頑張っているのと、女の子と男の子どちらが生まれてきてもいいように名前も候補を用意しているようだ。

 カラルはドルトミアのダンジョンの構造改革を行い、これまで以上に冒険者を招き入れる計画をロンダールと練っていて、とても充実しているとのことだ。

 そして俺と共同で生み出したドラゴンも順調に育ち、こちらの世界に召喚できるようになったが、強すぎてどこで使ったらいいのか、難しいと嘆いていた。

「そうやって悩んでいるときが一番楽しいんだよ」

「ええ、そうなのだけれど、アキト様との子でもあるから……あっ!そうか、アキト様が召喚できるようになったらいいのよ」

「ん!?俺が召喚術を覚えるってこと」

「そうよ、わらわに転移魔法が習得できたのだから、きっといけるはずだわ……魔人の世界にいくのだから、アキト様も強化しないとね。力だけではなく、わらわと同じことをしてもらいましょう!」

 そのあとは何やらぶつぶつと独り言のように俺の強化訓練を練っていた。

 ルーミエは、回復魔法系の訓練で徐々にではあるけれど成果が出てきて、面白くなってきていると報告する。

「でも、回復っていっても指先をちょっと切った傷がジワーって治る程度なんだけれど、アキトも回復魔法使えるよね!?どうやったら早く上達するかな?」

「俺の魔法の師匠はノイリだからな~」

 それを聞いて慌てるノイリ。

「え!?アキトさんの師匠?私が?そんなの初耳ですよ」

「エスタでノイリ師匠は俺にこう言ってくれたんだ『訓練あるのみです。実戦だけでなく訓練も積むことで上達する』って教えてくれたじゃないか」

「確かにいいましたけど~。そんなのだけでは普通、師匠って呼ばれないですよぉ~」

「あと箱魔法についても『アイディア次第で強くなる』って言ってくれたおかげで、箱魔法はとんでもない進化をとげているんだよ」

「それはアキトさんが、努力しているからじゃないですかぁ」

 ルーミエはノイリの手をとり「師匠!アドバイスをお願いします!」と迫っている。

「もう、ルーミエまで……回復魔法かぁ……練習は傷口を魔法で直すことを繰り返しているのよね?」

「はい」

 ルーミエの返事がいつもと違っていて面白い。

「……そうね、危機感を持って、訓練してみてはどうかな。例えば……アキトさんが……いや自分で直しちゃうか。ユウキが大怪我をしている。でも助けられるのは自分しかいない……って想像して魔法を使うの」

「な、なるほど……」

「以前の私の魔法はあまり役に立たなかったけれど、あの儀式のお陰で格段に力が増しているのよ。それに元々はルーミエもユウキも魔法の素質が無かったのでしょう?」

「うん、小さい時に否定されたから、間違いないのだけれど、やはりあの儀式が関係しているのかな?」

 一同うつむき加減でまだ俺の強化訓練内容を思案しているカラルを見た。
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