チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

文字の大きさ
上 下
154 / 182
第2章

第百五十三話 取り調べ

しおりを挟む
 国境問題も一段落ついたので、エソルタ島の状況を見に行く。カラルはエソルタ島に拠点を持っているのでそこへ転移魔法陣で移動が可能だ。移動が完了した後に俺がカラルへの通信兼転移魔法指輪で転移する。

 転移先はエソルタ島カノユール王国、王都ザインの城下町の戸建て住宅だ。ザイン城門の目の前にあり、常に衛兵が門の前にいるのと、宰相のゾンヌフから警備兵に目の前の家に出入りがあれば、俺たちのことも含め、報告するようになっている。

 さてとゾンヌフに連絡するかな……極私的絶対王国(マイキングダム)でザイン城内を探る。どうやら会議中なので終わるまでの間、レイラやユウキ、ルーミエに連絡をとって、お互いの状況を報告や雑談する。

 そうこうしているうちに、ゾンヌフの会議も終わったので極私的絶対王国(マイキングダム)で話しかける。

「アキトだ。伝えたいことがあるが時間はあるか?」
 
 ゾンヌフも慣れたもので、突然の声に驚きもせずに答える。

「今からなら時間はある。城の前の家か?これからそっち行く」

「わかった。待っている」

 窓から城の方を見ているとマントを被った二人がこちらに歩いてくるのが見えたのでドアを開けて迎え入れる。ゾンヌフともう一人はエルゴート陛下だった。俺との握手も早々に、カラルに丁寧な挨拶をする皇帝。

「カラル殿、ますますお美しくなられて……」

 女好きではブレない陛下。特に咎めることなくスルーするがカラルもほどほどに相手をする。

「あら、陛下。お褒めにあずかり光栄です」

 応接に案内して、カラルにお茶菓子などを準備してもらう。その間にロスニェル国との国境付近で行ったことを報告する。

「では、明け方の国境付近が騒がしいという報告はアキトが起こしたものなのだな?」

「そうだ。警戒は高めてもいいが、くれぐれも国境には近づかないように注意を呼びかけてくれ。魔人も野放しにしているので、出会うとほぼ命はないと思った方がいいぞ」

「予も引っかかりそうな罠よな……」

 その場にいた俺たちは頷いていた。確かに女好きの皇帝は一発でアウトだな。

「これからは様子を見ながら、手段を変えて国境を警戒していく。当面は現状維持で頼む」

「わかった。……それにしても我々が頭を抱えてきた問題をこのように簡単に片付けてしまうのも流石だなアキト」

「まだ片付いてはないが、国境問題は実験的な意味も含んでいるから、長い目で見てくれ」

 カラルはお茶を給仕し終えて、俺の隣に座った。

 カガモン帝国の俺への要望は二点あった。一つは今報告した国境問題。もう一つは数年前の先代皇帝の暗殺事件に関してだ。こちらは毒殺であり、暗殺者は身元は不明で今は証拠と呼べるものは何一つ残っていない。こちらに関しても解決への手段は準備していて、当日にその犯人に関係する者がいないか確認することになる。

「で、もう一つ依頼があった暗殺事件なんだけれど……、これは陛下にも協力いただきたいと思っている。具体的に何をするのかは口で説明するのは難しいので実際に体感してもらった方がいいだろう」

 ゾンヌフは興味深げに乗り出した。そして俺は続ける。

「……それで試しに”最近触れた異性の体について”探っていこうと思う」

 今回の実験では相手の無意識のうちに答えを導き出すというものだ。今回問いかける内容は、一つ目は昨晩異性とアレをしたか?二つ目はその人数だ。

「嘘を言われると判断がつかないだろう?」と、ゾンヌフは疑っている。

「まあ、普通はそうなるよな~」

 と、とぼけながら、極私的絶対王国(マイキングダム)を発動し、心の中で一つ目の質問を投げかけ、そして命じる。『アレをしたのなら右耳の後ろを掻け』

 するとごく自然の動作で、違和感なく俺以外の三人の手が動いた。

 エルゴートは耳を掻いている。ソフィアとマアヤがエソルタ島にいるからであり、以前に二人を相手にして精力が持たないなんていう相談も受けていたので間違いないだろう。カラルは俺としたし……ゾンヌフも右耳の後ろをポリポリと掻いている。

「ゾンヌフは昨日家に帰ったか?」

「なんだ、そんなとこから始めるのか?こんなに忙しいのに帰られるわけないだろう。まったく……」

 帰っていないのにアレをしているのか?

 二つ目の質問を心の中で投げかける『その相手が一人なら頭を掻け、二人以上なら鼻の頭を触れ』

 エルゴートは鼻を触り、カラルは頭を掻いている。ゾンヌフは……鼻を触っている!?

 確かゾンヌフのところは奥方同士はあまり仲が良くない、加えて子供も小さいのでエソルタ島に来ているとは考えにくい。何かあるな……。

「大体のことはわかった。陛下はソフィアさんとマアヤさんと楽しい夜を過ごされたようですね」

「エソルタに来たのだ。当然だろう」

「カラルは俺と一緒だったし……さてゾンヌフ君」

「!」

 ビクッと体を震わせる宰相。

「君は昨晩、家にも帰らず誰とお楽しみだったのかな?」

「……い、異性に触れるなんて俺にはよくあることだぞ」

 ゾンヌフは俺がまだ異性に触れたかどうか、という最初の質問について探っていっていると勘違いしているようだ。

 話の次元はすでにそんなところにはない。極私的絶対王国(マイキングダム)の進化系で無意識に答えさせてしまうという、なんとも恐ろしい技を開発したのだ。

 ゾンヌフに追い込みかける。

 城の者に手を出したか?イエスなら顎に手を持っていけ。ノーなら手を膝に置け……違うようだ。

 となればエソルタ島での遊ぶところでの話か?イエスなら顎に手を持っていけ。

 ……お、イエスだ!

「宰相だもんな。城の中の女の子になんて手を出すわけないよな?」

 答えやすい質問を口にしながら、さらに具体的な質問を無意識下に投げかける。

「あ、当たり前だろう!」

 ネタばらしも含めて見ているエルゴートやカラルにもわかりやすく不自然な仕草をさせる。当のゾンヌフもどうして、おかしなポーズをしているのかもわからないまま、野球のブロックサインのように答えること数回。

 その結果ゾンヌフ君は、この城下町にある娼館のVIP特別室でエルフと獣人と人族の三人を相手にして、明け方まで乱ちき騒ぎをしていた。ということだった。

「ありがとう。よくわかったよ。家にも帰ることもできないほどの激務が続いてストレスも溜まってたんだな……。エルフ、人族、獣人の三人が相手か……」

「…………」

 バレているのかもしれないとゾンヌフは察知したようで、何も返してこない。最後のひと押しだ。

「娼館で明け方まで大活躍だったようだな。さっきの会議も眠くなかったか?……そうだ、これ飲んどけよ」

 机の上に体力回復のポーションを置いてやる。ゾンヌフの顔から血の気が引いていく。

「!!……アキト……いや、アキトさん!」

 エルゴートも俺が何も聞かずとも、真実にたどり着いていたことを理解する。

「三人相手にか……予は二人でもやっとだと言うのに……お前なかなかやるな」

「ち、違います陛下!これにはいろいろと……」

「ぷっ!!はっはっはっ……この忙しいのに恐れ入ったよ。よい、よい、お前には普段から苦労をかけておるからな。このことは他言せんから安心しろ」

 エルゴートは大ウケで腹を抱えて笑っている。

「そういうわけだ、ゾンヌフ。俺も”多分”誰にも言わないから、心配すんなよ」

「アキト!……さん。”多分”ではなく、”絶対”でお願いします」

 と、とすがりつく一国の宰相。

「ゾンヌフさん、顔をお上げになって……」

 俺の隣にいたカラルは席を立ち、ソファの後ろにまわり、腕を俺の首の前で交差させ軽くハグをすると、胸の柔らかくゆったりとした感触が首筋に感じられる。そして俺の頭の上から語りかける。

「お楽しみになられるのは元気な証拠で良いことですわ。……でもね、くれぐれもうちの夫をそのようないかがわしいお店に連れて行かないようにしてくださいねぇ」

 カラルの顔は見えないが部屋の空気が一瞬にしてヒリついた。一体どんな表情をして言えばそんなふうになるのか……それを見たゾンヌフだけでなくエルゴート陛下も背筋をピーンと伸ばし

「「はい!わかりました!」」と、軍人ばりの姿勢の良さと大きな声で答えていた。
しおりを挟む
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい(小説家になろうへのリンク)続きは小説家になろうに掲載しています

異世界に呼ばれて来た25歳DTの俺はキャバ嬢風の闇主様にすべてを捧げたい
ストーリー:「え!?勇者的活動NG? 誰かを救おうなんて、思ってないですよ」
  
転移した異世界で闇主様からチート冒険者やうざい2頭身アニマルの排除を任された主人公の25歳童貞野郎。
 
 その途方もない目的達成のご褒美はなんとキャバ嬢のような盛り髪のセクシーな闇主様みずから、卒業のお相手をしてくださるとか!? 
 
対人最強チート魔法と超破壊力の万能バットを駆使しながら、脱童貞を夢見つつ、あてもない異世界ブラック紀行が今始まる。
感想 24

あなたにおすすめの小説

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...