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第2章

第142話 支配

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「4号のダンジョンを欲っするのか?」
ロンダールはカラルに問いかける。

「ええ、そこの水晶玉にあった時はほしいなって思っていたのだけれど、あなたたちの話を聞いている内にどちらでも良くなってしまったわ」
答えるカラルを上から下までじっくりと眺める。

「ふむ、なかなか上質な魔族と見受けるが、このダンジョン都市ドルトミアの1つのダンジョンでも相当の使い手でないと、ダンジョンは腐ってしまうぞ、それほどの素質はあるのかな?お嬢さんや」
腐ってしまう……。ダンジョンって生ものなのか……。

「業魔族とでもいえば分かるかしら?」
カラルは隠すことなく、自身の出自を語る。

「ほっほっほっ、生きている内にその容姿を見られるものとは思わなんだな……。どうやってそれほど力の強い魔族がこの世界に転移してきたのかも興味が尽きないところだ。これだから長生きはやめられん……。して本来の髪の色を見せてくれ。それで判断しようぞ」

「お安いご用よ……」

業魔族の強さは髪の色で決まる。黒い色に近づくほど強い個体として格付けされる。

金色の髪の色から青みがかった黒に変わっていく。

元日本人の俺には黒色の髪は当たり前でつまらない。普段は褐色の肌に金髪という見た目なのは俺の趣味に合わせてくれてのことだ。それにダイナマイトボディで言うことないほど魅力的だ。

カラルが軽く力を解放すると、その場所はびりびりとした緊張感に包まれる。

「この圧力はまぎれもない本物だな。そして最上級の部類か……わかった。32個のダンジョンはやれんが、その精気の上前をはねること約束するのと、この儂をくれてやる」

「……なるほど。あなたはわらわの操り人形となり、更に長い生涯を手に入れるのね」

「そうだ、動き回れる健康な体と自由な時間をもらえるのなら、このダンジョンの手入れもする。精気も1日あたり20ソレントはあるぞ」

ソレント?精気の量を表す単位なのか?どれくらいの量なのかが、さっぱりわからない。

「に、20ソレント!?そんなにあるの?でも1000万人もいて、その真下にダンジョンを構えるとそれくらい当たり前なのかしら……すごいわね」

生唾をゴクリと飲み込むカラル。そのすごさはいつも通り人族である、ルーミエ、ユウキや俺には伝わらない。

「どうだ、なかなかなもんじゃろう」

「ダンジョンは32の支配球がこれまで通り管理して、あなたはそれを統括する役目をするのね。……悪くない取り引きね」

ロンダールは作ったダンジョンを箱庭のように手を入れ、育て、愛した。

そしてダンジョンの上にできた、人々の営みを見て楽しんでいる。だから操り人形となってもダンジョン都市ドルトミアで更に生き続けることを望んだ。

「そうだ!あと1つ付け加えてもいいかしら?」

「何だ?」

「召喚(サモン)型の管理をわらわに伝授してよ……」

「構わんよ、ダンジョンを愛するもの同士、それくらいのことは授けてしんぜよう」

「わぁ、ありがとう!」
これまでにないくらいカラルの顔が笑顔になった。
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