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第2章
第132話 トレイン
しおりを挟む「やっぱり、アキトは強いよね~」
走りながらルーミエが呆れるように言う。
「そうありたいと思っていて努力はしているつもりだよ。それでもまだカラルの方が強いんじゃない?」
「技や体力的な強さに関してはわらわが上だと思うけど、何て言ったらいいのかしら?世界の理(ことわり)を超える強さっていうのかしら……アキト様の場合は生命そのものへの直接関与ができてしまう神のような存在っていうのかしらね」
カラルはそんなふうに思っていたのか……。
「ま、それでもあたしたちから見たらカラルも似たようなものよ……早く魔法を使えるようになりたいわ~」
そういうユウキはこのダンジョンのことが一段落ついたら、ルーミエと一緒に魔法訓練所に通うことにしている。どれくらいの期間や費用が習得までに必要かは不明だが、カンパニーに所属しているから何らかしらの特典とかあるだろう。戻ったら事務所によってに聞いてみよう。
□
第8ダンジョンからカラルのダンジョン改変能力で地中を掘り進み、第21ダンジョンの95層へ侵入する。ダンジョンが変われば雰囲気やモンスターががらっと変わるのはダンジョンを運営している奴の趣味や嗜好が反映されるのだろう。
出会うモンスターたちを瞬殺しながら進んでいると、98層でモンスターを引きつれて逃げるパーティがこちらに向かってきている。後ろからはリザードマンが30体ほどで追いかけてきている。
先頭の男が叫ぶ。
「リザードマンの大群だ!無理そうなら逃げてくれー」
モンスターをトレインしている場合は状況を簡潔に伝えのも冒険者のマナーだ。
「大丈夫だ!まかせろ!……」
水晶玉に小声で「しばらく話せなくなるようにするが許してくれ」と伝え極私的絶対王国(マイキングダム)で話すことを禁止した。
俺はミスリルの剣を持ち、リザードマンに向かって走り出すのと同時に1m大の圧縮火炎球(フレア)を5発を展開。向かってくるパーティの頭の上を通り越して先頭のリザードマンに命中させる。数体倒せたのと相手の足を止めることができた。
6人の冒険者とすれ違った後に、襲いかかってくるリザードマンの槍攻撃をかわしながら首をはねる。続く10体以上を全ての頭部への一撃で倒す。ルーミエとユウキも参戦して一瞬でケリはついた。
通り過ぎたパーティも離れたところから戦況を見守っていたようで、全て片付くと曲がり角のところから出てきた。
「いやーあんたたち強いな、助かったよ、ありがとう。俺はデバンという」
そう言って手を差し出してきたので、握手をする。
パーティのリーダーでデバンという男から、これまでの経緯を聞いた。
99層フロアボスの定期発生時期に合わせて、主戦場の80層から99層を目指してやってきたが、
この98層でパーティメンバーの9人が死んでしまい、残り6人となってしまった。残ったメンバー6人では80層まで戻ることは難しいと判断し、敵を回避しながらでも99層に向かうことにしたそうだ。
「アキトさんたちもこれから99層に向かうのか?」
「ああ」
「地図は持っているか?」
「いや、持っていない。ルートが変わると聞いているが……」
「まあ、そうなんだが……、知らないのか?パターンが7種類あるって」
「へぇ、知らないな」
「それでここまできたのか。そんだけ強ければ余裕ってか……。その強さに俺たちは頼りたいんだが、俺たちを99層の宿場町まで連れて行ってほしい。護衛としての代金は金貨2枚でどうだ?」
「いいだろう」
金はもらわなくても良かったのだが、ここではそういうものだと思い受け取っておく。
「よし、商談成立だ」
6人は戦力的にもかなり疲弊しているようで、ここでいったん食事も兼ねて休憩に入る。
「よかったらこれも食べてくれ」
エソルタ島やカガモン帝国での屋台で買った食事を提供するとみんな「うまい、うまい」と喜んで食べてくれた。
6人は男性3名、女性3名でレベルは150くらいの強さだ。
「どれくらいダンジョンにいるの?」
とルーミエが隣の女性に聞いた。
「4ヶ月くらいかしら、この99層のフロアボスで一稼ぎしたら半年くらい休みをもらうのよ」
どうりでみんな装備に汚れが目立つわけだ。
さらに隣の女性が力強く、自分の前で握り拳をつくる。
「そうそう、まだあたいの夏は始まっていない!ってかあたいは6ヶ月もぐりっぱなしよ。今年こそひと夏の思い出をつくらなきゃ!」
一夏の思い出か……。暑さや寒さがなくダンジョン内は季節感がないが、気温は一定で快適に過ごせる。
「でもさ、地上に戻るまでに結構かかるんじゃないの?」
女性同士で話が弾み始めたところでユウキも混じり質問している。確かに90層くらいあると一般冒険者だったら2週間くらいかかるんじゃないのか?
「それがね、フロアボスを倒した後に、ドロップ品を早く売って遊びたいって人が集まって地上への超高速移動パーティが組まれるのよ。私たちはそれが目当てでもあるから99層に行きたかったのよ」
女性陣はテンションが高いな。
「フロアボスのドロップで数年遊んで暮らせるってのを聞いたことがあるから、それで頑張れているようなもんだな……」
別の男性が疲れた表情で言う。
「おいおい、ローアン、暗いぞ!アキトさんにも護衛についてもらえるんだ。もう少し頑張ろう!」
デバンが男性を元気づけるように言った。
「今日の夜には99層の宿場町にはつけるように連れて行くよ」
と、俺が断言するとみんなほっとした顔になった。
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チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい(小説家になろうへのリンク)続きは小説家になろうに掲載しています
『異世界に呼ばれて来た25歳DTの俺はキャバ嬢風の闇主様にすべてを捧げたい』
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