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第2章
第126話 第4ダンジョン3
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「3、2、1、放て!!」
3回目の大規模魔法がカウントを合図に始まるはずだったが
2発の火柱しかが上がらず、数匹の鉄尾毒蜘蛛(スティールテール・ポイズン・スパイダー)が黒焦げになっただけだった。
「おいおい、ここで終わりなのか?」
ため息混じりの声が聞こえてくる。
「まだ最高ランクの冒険者は出てきてないのに…」
まだ強い奴らもいるんだな。
もちろん俺もまだイベントは終わらせたくないと思っている。
極私的絶対王国(マイキングダム)で鉄尾毒蜘蛛に”絶命”を命じると激しく動いていた鉄尾毒蜘蛛が崩れ落ちる。
周囲にいたものたちが、何が起こったか理解できずに広場に沈黙が広がる。
敵の攻撃が止まり、広場ではけが人を運んだり、蜘蛛の死体を回収したりで大忙しだ。第2クールは失敗に終わり、第3クールの部隊が揃うまでの間、広場にいる者たちだけで繋がなければならず、ルーミエと数人の冒険者で次にくる敵に備え準備を始めている。
鉄尾毒蜘蛛は広場にいたのと、ダンジョン入り口の内部で渋滞していたのを含めて、およそ70体を”絶命”で一掃した結果、後に続く、銀鋼竜(シルバー・ドラゴン)を一時的だが足止めすることができた。
銀鋼竜は体長が20m近くあり、銀色鋼の鱗で覆われていて、翼はなくトカゲのように地面すれすれを這う動きは速く、更にブレス攻撃、かみつき攻撃、爪での攻撃があり、魔法が効かない、剣をはじくといわれるドラゴンの特性を持っているためかなりの難敵になるだろう。
ダンジョン入り口付近の鉄尾毒蜘蛛の死骸がバリバリと押し除けられている。
「ルーミエ、次は銀鋼竜がおよそ100体だ」
極私的絶対王国(マイキングダム)を使い耳元で教える。並の冒険者なら心が折れてしまいそうな数を聞いても怯まなかった。
「ありがとう、アキト。それと協力よろしくね」
「?」
協力することはかまわないのだが、奥の手の意味をまだ俺は理解できていない。
通信指輪が振動を始める。
席を立ち、ケイには聞こえないように、通信に応える。
「許可」
「ユウキ、いっきまーす!」
ユウキの元気な声が聞こえてきた。援軍はユウキのことだったのか。
「…了解。俺の上空50mで転送魔法陣展開する」
上空で転移魔法陣を展開し、ユウキを転移させた。そしてそのまま自由落下させる。
俺の背後にゆっくりと着地させるように極私的絶対王国(マイキングダム)でコントロールする。
「お兄ちゃん、久しぶりー」
と、正面からすりすりしてくるので頭を撫でてあげる。
スンスン…、良い香りだ。シャンプー変えた?
突如現れた女性にケイたちは驚いているが紹介は後回しだ。
広場にいるルーミエを指差す。
「ルーミエはあそこだ。頼むよ」
銀鋼竜が10体ほど入り口から出てきている。
敵を見て逃げ出す冒険者もいるようで広場には5人ほどしか残っていない。
「いや、まだだよ。ルーミエの『とっておき』が来るよ」
その言葉が示すとおり、ルーミエの前に黄金色に輝く魔法陣が展開されている。
中から全身を白く輝く西洋甲冑を纏った体長2mはある大きな騎士が現れた。はためく純白のマントもカッコいい。
何あれ!?
いつの間にあんなにカッコいい奴と知り合いになったの?
甲冑の騎士は銀鋼竜に向かって歩き始め、白く輝く2mはある大剣を取り出す。
白いミスリル武器なのか?見たことのない金属だ。
先頭にいた銀鋼竜が前足でのなぎ払い攻撃を繰り出し、騎士に襲いかかる。
騎士は慌てることなく、大剣とも思えない速度で振り抜くと、前足が吹き飛んだ。何て怪力だ。白い騎士は崩れ落ちる銀鋼竜の頭部を下から上へ切り上げ、完全に動きを止めた。
ドラゴンの皮膚の硬さもものともしないほどの武器と力があってこその剣技。
それはルーミエも同じようで、銀鋼竜の1体ずつを素早い動きで急所を狙い、動きを止めてから首をはねている、見ている間にも3体目を相手にしている。
倒すよりもダンジョンの入り口から出てくる方が多く、あと少しで防災壁にたどり着きそうな銀鋼竜もいる。
あのう、ユウキさんそろそろ参戦した方が良いのでは?なんて思っていると、白の騎士が手を前にかざし、銀色の炎を呼び出した。
…!あれは霊格の炎シルヴィ。ということはあの甲冑の中はカラルか…。
白の甲冑に銀の炎。絵になる美しさだ。
銀色の炎から射出された火の玉は自動誘導で動き、頭にとりついた。銀鋼竜は炎を振り払おうと前足を頭部に持っていくが、消すこともできず、動きが止まるまで離れなかった。
いやーなかなか凝った趣向じゃないか。すっかり騙されたよ。
「ユウキ、大体のことは分かったよ。アレが来たならもう安心だな」
「でっしょ-!だからあたしはもう少しここでお兄ちゃんを堪能してから出撃するよ」
俺の膝の上に座り、人目もはばからず抱きついてくる。
「それだとユウキの出番はもうないかもな…」
防災壁の中からネネコーラン社の主力部隊が30人ほど飛び出してきた。
確認するとレベルは600前後とこれまでの冒険者と比べてずば抜けてレベルが高い。
「ケイ、あれがお前のところの最高ランクの冒険者たちか?」
「よく分かったね、そうだ。みんな一癖も二癖もある奴らばかりだが、実力は本物だ」
その言葉が示すとおり、2、3人で連携し1体ずつを次々に駆逐していく。中には1人で倒している者もいる。
その様子を見て応援は必要ないと判断したようで、ルーミエは白い騎士を魔法陣へ帰す。
へぇ、そういう演出もちゃんとするんだ…。
広場のルーミエはこちらに手をふったあと、防災壁の中へ消えていった。
□
ルーミエが戻ってくるまでのあいだ、俺はケイたちにユウキも嫁だということで紹介する。
ルーミエがあれだけの強さを持っているのだから、その興味は当然ユウキにも向かう。
「あたしはルーミエほど強くないよ~。どちらかと言えば戦闘は苦手な方だし…」
「アキト、さっきの白い騎士は何だ?」
「何なんだろうね、奥の手って言っていたからね。召喚術の一種じゃないかな~?」
とすっとぼけてみたものの、その後質問の波状攻撃が続いた。
いろいろな質問にはぐらかしていると、ルーミエが戻ってきた。その後ろには先ほど白い騎士として活躍したカラルもいる。ノースリーブの深い赤紫色のワンピースがとても上品だ。
アマンがルーミエを迎える。
「ありがとう、ルーミエ。なんとか切り抜けられたよ。…で、そちらの女性は?」
「初めまして皆さん、アキトの妻のカラルといいます」
とカラルは会釈する。
ケイのパーティはみんなで顔を見合わせている。
「アキト、おまえ3人も嫁がいるなんて何者だよ?」
当然そうなるよな~。
「まあまあ、詮索してもいいけど、答えないのも冒険者の自由のひとつだろ?」
「あっはっはっは!なんだよ、それ!
確かにアキトの自由だよ。ひ弱そうな野郎だとばかり思っていたが、ルーミエのところもなかなか一筋縄ではいかないくせ者のようだな。やっぱり冒険者はそうでなくちゃな!」
ケイは豪快に笑い、理解を示してくれた。
ケイの首から提げている記録石(キロクセキ)が点滅する。
「おっと、連絡だ」
タップすると情報が浮き上がるようだ。そんな機能あったんだ…。
「どうしたんだ?」
「ああ、これか、本部からの連絡だ。
第2クールが失敗して、この後のシフトが変わったらしい。…えっと…げ!明け方から真夜中にかわってるじゃねぇか!」
どうやら、予定が繰り上がったようだ。
「うわぁ~」
「最悪ぅ」
とパーティメンバーから嘆き声が聞こえた。早めに宿に戻って、休息をとらなければならない。
「ルーミエ!聞きたいことが山ほどあるが、また会えることを楽しみにしているよ。真夜中にここで戦っているのでよかったら来てくれよな、じゃあな」
慌ただしく引き上げていくケイたちを見送る。
「あらあら、会社に所属するのも大変なようね」
カラルが見送りながらつぶやいた。
「見返りがあるから帰属する。危険があるから報酬がでる。1人ではできないことをみんなで集まって力を発揮する。会社ってそういうものだろ、社畜、企業戦士、会社人間、ブラック企業…結局良いように使われ、て最後は搾り取られるだけなんてところもあるくらいだ…」
とはいえ前世の俺も就活なんかも漠然と考えていた時期でもあった。
「ではアキト様には不要と言うことでしょうか?」
「いや話を聞く時間がないほど、急いでいるわけでもないからね。これからネネコーラン社の人事とやらに話をしてみようと思うんだ」
ユウキとカラルは昼食まだだったので、最近の出来事などを聞きながら観覧席で料理の注文をした。
ユウキは姉たちの結婚式まで1ヶ月ほどあるが、身支度などを確認したところそんなに手伝うこともなく、式に向けてエステのようなことをして、綺麗になることに努めるだけのようだ。しかし冒険者生活を数年送ったユウキにとって体を動かさない日があると、体がむずむずするらしく、素振り5000回など常人では考えられないような練習量をこなさないとぐっすり眠れないとぼやいていた。
カラルはエソルタ島全般のモンスターの管理をしているが、今はまだ冒険者たちも手探りの状態でダンジョンの浅い層に潜るだけだったり、町の付近で狩りをしたりするなど、ダンジョン運営側としての仕事はまだ少ないようだ。
話をまとめるとユウキもカラルもここ1ヶ月くらいはすることがなく、暇なようだ。それに何かあったら向こうから連絡もあるのでこちらに来て一緒に行動することになった。
ルーミエの奥の手に対しての報酬が
「アキト様 を一晩自由にする権利」
「お兄ちゃんを一晩自由にする権利」
とハモって宣言された。
「別にわらわは報酬はなくてもよかったのよ」
「そうそう、ルーミエがどうしてもって何か代償をって言うからね…」
「えへへ、ごめんねアキト。勝手に景品みたいにしちゃって」
うんうん、嫁たちが仲良くしてくれるだけで俺はいいよ。
ちなみに、ルーミエとユウキは初めての時から同時にアレをすることに抵抗はない。更にカラルに関しても複数ですることには全く抵抗がない。
必然的に『一晩自由にする権利』を俺の意向で3人同時なんて言うのもアリなので、今晩はケイのところが戦っている時には手伝ってやれないな。
さあ夜が楽しみだ!
3回目の大規模魔法がカウントを合図に始まるはずだったが
2発の火柱しかが上がらず、数匹の鉄尾毒蜘蛛(スティールテール・ポイズン・スパイダー)が黒焦げになっただけだった。
「おいおい、ここで終わりなのか?」
ため息混じりの声が聞こえてくる。
「まだ最高ランクの冒険者は出てきてないのに…」
まだ強い奴らもいるんだな。
もちろん俺もまだイベントは終わらせたくないと思っている。
極私的絶対王国(マイキングダム)で鉄尾毒蜘蛛に”絶命”を命じると激しく動いていた鉄尾毒蜘蛛が崩れ落ちる。
周囲にいたものたちが、何が起こったか理解できずに広場に沈黙が広がる。
敵の攻撃が止まり、広場ではけが人を運んだり、蜘蛛の死体を回収したりで大忙しだ。第2クールは失敗に終わり、第3クールの部隊が揃うまでの間、広場にいる者たちだけで繋がなければならず、ルーミエと数人の冒険者で次にくる敵に備え準備を始めている。
鉄尾毒蜘蛛は広場にいたのと、ダンジョン入り口の内部で渋滞していたのを含めて、およそ70体を”絶命”で一掃した結果、後に続く、銀鋼竜(シルバー・ドラゴン)を一時的だが足止めすることができた。
銀鋼竜は体長が20m近くあり、銀色鋼の鱗で覆われていて、翼はなくトカゲのように地面すれすれを這う動きは速く、更にブレス攻撃、かみつき攻撃、爪での攻撃があり、魔法が効かない、剣をはじくといわれるドラゴンの特性を持っているためかなりの難敵になるだろう。
ダンジョン入り口付近の鉄尾毒蜘蛛の死骸がバリバリと押し除けられている。
「ルーミエ、次は銀鋼竜がおよそ100体だ」
極私的絶対王国(マイキングダム)を使い耳元で教える。並の冒険者なら心が折れてしまいそうな数を聞いても怯まなかった。
「ありがとう、アキト。それと協力よろしくね」
「?」
協力することはかまわないのだが、奥の手の意味をまだ俺は理解できていない。
通信指輪が振動を始める。
席を立ち、ケイには聞こえないように、通信に応える。
「許可」
「ユウキ、いっきまーす!」
ユウキの元気な声が聞こえてきた。援軍はユウキのことだったのか。
「…了解。俺の上空50mで転送魔法陣展開する」
上空で転移魔法陣を展開し、ユウキを転移させた。そしてそのまま自由落下させる。
俺の背後にゆっくりと着地させるように極私的絶対王国(マイキングダム)でコントロールする。
「お兄ちゃん、久しぶりー」
と、正面からすりすりしてくるので頭を撫でてあげる。
スンスン…、良い香りだ。シャンプー変えた?
突如現れた女性にケイたちは驚いているが紹介は後回しだ。
広場にいるルーミエを指差す。
「ルーミエはあそこだ。頼むよ」
銀鋼竜が10体ほど入り口から出てきている。
敵を見て逃げ出す冒険者もいるようで広場には5人ほどしか残っていない。
「いや、まだだよ。ルーミエの『とっておき』が来るよ」
その言葉が示すとおり、ルーミエの前に黄金色に輝く魔法陣が展開されている。
中から全身を白く輝く西洋甲冑を纏った体長2mはある大きな騎士が現れた。はためく純白のマントもカッコいい。
何あれ!?
いつの間にあんなにカッコいい奴と知り合いになったの?
甲冑の騎士は銀鋼竜に向かって歩き始め、白く輝く2mはある大剣を取り出す。
白いミスリル武器なのか?見たことのない金属だ。
先頭にいた銀鋼竜が前足でのなぎ払い攻撃を繰り出し、騎士に襲いかかる。
騎士は慌てることなく、大剣とも思えない速度で振り抜くと、前足が吹き飛んだ。何て怪力だ。白い騎士は崩れ落ちる銀鋼竜の頭部を下から上へ切り上げ、完全に動きを止めた。
ドラゴンの皮膚の硬さもものともしないほどの武器と力があってこその剣技。
それはルーミエも同じようで、銀鋼竜の1体ずつを素早い動きで急所を狙い、動きを止めてから首をはねている、見ている間にも3体目を相手にしている。
倒すよりもダンジョンの入り口から出てくる方が多く、あと少しで防災壁にたどり着きそうな銀鋼竜もいる。
あのう、ユウキさんそろそろ参戦した方が良いのでは?なんて思っていると、白の騎士が手を前にかざし、銀色の炎を呼び出した。
…!あれは霊格の炎シルヴィ。ということはあの甲冑の中はカラルか…。
白の甲冑に銀の炎。絵になる美しさだ。
銀色の炎から射出された火の玉は自動誘導で動き、頭にとりついた。銀鋼竜は炎を振り払おうと前足を頭部に持っていくが、消すこともできず、動きが止まるまで離れなかった。
いやーなかなか凝った趣向じゃないか。すっかり騙されたよ。
「ユウキ、大体のことは分かったよ。アレが来たならもう安心だな」
「でっしょ-!だからあたしはもう少しここでお兄ちゃんを堪能してから出撃するよ」
俺の膝の上に座り、人目もはばからず抱きついてくる。
「それだとユウキの出番はもうないかもな…」
防災壁の中からネネコーラン社の主力部隊が30人ほど飛び出してきた。
確認するとレベルは600前後とこれまでの冒険者と比べてずば抜けてレベルが高い。
「ケイ、あれがお前のところの最高ランクの冒険者たちか?」
「よく分かったね、そうだ。みんな一癖も二癖もある奴らばかりだが、実力は本物だ」
その言葉が示すとおり、2、3人で連携し1体ずつを次々に駆逐していく。中には1人で倒している者もいる。
その様子を見て応援は必要ないと判断したようで、ルーミエは白い騎士を魔法陣へ帰す。
へぇ、そういう演出もちゃんとするんだ…。
広場のルーミエはこちらに手をふったあと、防災壁の中へ消えていった。
□
ルーミエが戻ってくるまでのあいだ、俺はケイたちにユウキも嫁だということで紹介する。
ルーミエがあれだけの強さを持っているのだから、その興味は当然ユウキにも向かう。
「あたしはルーミエほど強くないよ~。どちらかと言えば戦闘は苦手な方だし…」
「アキト、さっきの白い騎士は何だ?」
「何なんだろうね、奥の手って言っていたからね。召喚術の一種じゃないかな~?」
とすっとぼけてみたものの、その後質問の波状攻撃が続いた。
いろいろな質問にはぐらかしていると、ルーミエが戻ってきた。その後ろには先ほど白い騎士として活躍したカラルもいる。ノースリーブの深い赤紫色のワンピースがとても上品だ。
アマンがルーミエを迎える。
「ありがとう、ルーミエ。なんとか切り抜けられたよ。…で、そちらの女性は?」
「初めまして皆さん、アキトの妻のカラルといいます」
とカラルは会釈する。
ケイのパーティはみんなで顔を見合わせている。
「アキト、おまえ3人も嫁がいるなんて何者だよ?」
当然そうなるよな~。
「まあまあ、詮索してもいいけど、答えないのも冒険者の自由のひとつだろ?」
「あっはっはっは!なんだよ、それ!
確かにアキトの自由だよ。ひ弱そうな野郎だとばかり思っていたが、ルーミエのところもなかなか一筋縄ではいかないくせ者のようだな。やっぱり冒険者はそうでなくちゃな!」
ケイは豪快に笑い、理解を示してくれた。
ケイの首から提げている記録石(キロクセキ)が点滅する。
「おっと、連絡だ」
タップすると情報が浮き上がるようだ。そんな機能あったんだ…。
「どうしたんだ?」
「ああ、これか、本部からの連絡だ。
第2クールが失敗して、この後のシフトが変わったらしい。…えっと…げ!明け方から真夜中にかわってるじゃねぇか!」
どうやら、予定が繰り上がったようだ。
「うわぁ~」
「最悪ぅ」
とパーティメンバーから嘆き声が聞こえた。早めに宿に戻って、休息をとらなければならない。
「ルーミエ!聞きたいことが山ほどあるが、また会えることを楽しみにしているよ。真夜中にここで戦っているのでよかったら来てくれよな、じゃあな」
慌ただしく引き上げていくケイたちを見送る。
「あらあら、会社に所属するのも大変なようね」
カラルが見送りながらつぶやいた。
「見返りがあるから帰属する。危険があるから報酬がでる。1人ではできないことをみんなで集まって力を発揮する。会社ってそういうものだろ、社畜、企業戦士、会社人間、ブラック企業…結局良いように使われ、て最後は搾り取られるだけなんてところもあるくらいだ…」
とはいえ前世の俺も就活なんかも漠然と考えていた時期でもあった。
「ではアキト様には不要と言うことでしょうか?」
「いや話を聞く時間がないほど、急いでいるわけでもないからね。これからネネコーラン社の人事とやらに話をしてみようと思うんだ」
ユウキとカラルは昼食まだだったので、最近の出来事などを聞きながら観覧席で料理の注文をした。
ユウキは姉たちの結婚式まで1ヶ月ほどあるが、身支度などを確認したところそんなに手伝うこともなく、式に向けてエステのようなことをして、綺麗になることに努めるだけのようだ。しかし冒険者生活を数年送ったユウキにとって体を動かさない日があると、体がむずむずするらしく、素振り5000回など常人では考えられないような練習量をこなさないとぐっすり眠れないとぼやいていた。
カラルはエソルタ島全般のモンスターの管理をしているが、今はまだ冒険者たちも手探りの状態でダンジョンの浅い層に潜るだけだったり、町の付近で狩りをしたりするなど、ダンジョン運営側としての仕事はまだ少ないようだ。
話をまとめるとユウキもカラルもここ1ヶ月くらいはすることがなく、暇なようだ。それに何かあったら向こうから連絡もあるのでこちらに来て一緒に行動することになった。
ルーミエの奥の手に対しての報酬が
「アキト様 を一晩自由にする権利」
「お兄ちゃんを一晩自由にする権利」
とハモって宣言された。
「別にわらわは報酬はなくてもよかったのよ」
「そうそう、ルーミエがどうしてもって何か代償をって言うからね…」
「えへへ、ごめんねアキト。勝手に景品みたいにしちゃって」
うんうん、嫁たちが仲良くしてくれるだけで俺はいいよ。
ちなみに、ルーミエとユウキは初めての時から同時にアレをすることに抵抗はない。更にカラルに関しても複数ですることには全く抵抗がない。
必然的に『一晩自由にする権利』を俺の意向で3人同時なんて言うのもアリなので、今晩はケイのところが戦っている時には手伝ってやれないな。
さあ夜が楽しみだ!
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チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい(小説家になろうへのリンク)続きは小説家になろうに掲載しています
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