チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

文字の大きさ
上 下
117 / 182
第1章

第百十六話 復興へ

しおりを挟む
 エソルタ島とカガモン帝国が転移魔法陣で結ばれた日から街は徐々に活気を取り戻し始めた。初日からカガモン帝国の役人が街の隅々まで調査を行い、街に住んでいる人の身元調査、住居の所有権の確認などを行い始めた。

 俺はというと毎日用もないのに街の中をあちらこちらを散策する。毎回連れて歩く面々は変わるのだが、特にルーミエと行くとあちらこちらを嬉々として案内してくれる。おかげで街の中のことには随分と詳しくなっていった。

 三日目くらいから武器・防具屋、宿屋、道具屋、飲食屋が営業を始めた。こんなに短時間で開店できるのはアイテムボックスの恩恵なのだろう。店内物品、調理器具、家財道具をごっぞりしまえてしまう。必要があれば浮遊魔法の使い手を雇い、搬入しているところもあった。

そしてギルドが営業を始めた。クエストはあまりないが、近々軍隊と冒険者たちの協業でザイン周辺のモンスターの一斉清掃があるそうだ。

 街全体が新装開店前のお店のように行きかう人々で賑わいを見せている。中にはここで一山当てようという商売人もいるだろう。目的は何であっても構わない。エソルタ島の復興とかどうかなどを考えなくてもいい。そこで生活して人々が根付くことが大切だ。

 モンスターを倒しまくった怒涛の日々とはまったく正反対で、静かで何もせずにこうやってのんびり過ごす日々もいいものだ。そんなことを思いながら城のテラスで昼食をとっていた時のことだった。

「アキト~~!」と、俺を呼ぶ声が遠くから聞こえてきた。

 女の子だったらかわいいものなのだが、これがおっさんとなると、面倒なことが起こる予兆でしかなった……。男で俺を名前を呼ぶのはこの世界ではまだ二人しかいない。カガモン帝国宰相のゾンヌフと皇帝陛下エルゴートだ。

 息を切らせて走ってきた男に問いかける。

「どうされましたか、陛下」

 護衛が付き添いでいるので、言葉遣いには気を付けた。

「そなたに是非相談に乗ってほしいことがあるのだ!」

 後ろからゾンヌフも走ってきている。なんだろう?ただ事ではない予感がする。

「おお、ゾンヌフお前も来い。街に出るぞ」

 そう言うなり、俺とゾンヌフの肩に腕をかけて街へ繰り出した。どこか良いところはないのかと聞かれたが、数少ない飲食店の中から個室があるところなんてまだ一店舗くらいしかない。

 店に向かいながらも話そうとはしない皇帝陛下。

 店に入り個室が空いていることを確認できると早速案内をしてもらう。俺は昼飯はさっき食べたところだから、軽く酒とつまみを注文した。二人はがっつり食べるようで、あれやこれやと注文をする。

 ひと通り注文した品が並ぶとエルゴートは相談内容を打ち明けた。

「……実はな、ソフィアとマアヤとな……その……なんというか……あれだ。わかるだろ!?」

 あれれ、2人のことはもうすでに呼び捨てにする仲なのか……。

「何が?」と、とっさに聞き返したのだが、そこはさすがのゾンヌフ。しっかりと皇帝の言いたいことを理解していた。

「お2人ともう良い感じになられていらっしゃるのですね、さすが陛下!……となるとお悩みはあちらのほうですか……」

 なんだ?”あちらのほう”って?2人とも意思疎通できすぎていて怖いな!

「うむ、夜伽の話なのだが……」

「ぶふっ!」

 俺は口に含んでいたものを吹いた。

「ひどいリアクションだな、アキトよ……」

 そりゃ驚くわ!こっちはどうやってくっつけようかと考えているところにいきなり夜の生活の話が出てくるとはおもわなかったよ。ドン引きだよ!手が早すぎだよ!

「……まあ、いいや。どこまで進んでいるんだ?」

「ひと通りにはな……」

 なんだよそのドヤ顔。

「結構余裕じゃないか。相談なんて必要ないのだろう?」

「いやいや、困ったことがあってな……」

「もったいぶるなよ。話してくれよ」

「うむ、実は……持続力、復活までの時間、回数制限それが俺の悩みなのだ!」

 俺は椅子から崩れ落ちた。このセリフだけ聞いているとなんだか必殺技の制限のように思えてしまうから不思議だ。

「なにそれ!?複数人相手では精力がもたないということが悩みなのか!?」

「そうだ、恥ずかしながら、同時に二人の相手ができないのだ。それでアキト、お前も素敵な奥方たちがいるだろう。それでどうやっているのか参考までに聞かせてほしい。噂に聞いたことがあるが、すごいそうじゃないか?」

え!?誰情報?まさかユウキ姉妹の筋からか……。

「どうやっているかって?それはお互い満足いくまで、やるしかないだろう!それに俺の場合体力は無制限だからな~。参考にならないぞ……」

「む、無制限……マジか、さすがエソルタ島奪還者……言葉の重みが違うな」

「左様です、陛下。我が帝国最強の戦力は最高の精力も誇っているのです」

 何それ!ちょっと俺で遊んでいない?

 三人の奥方がいるゾンヌフの所は、奥方同士があまり仲がよろしくなく、複数同時はない。毎晩どこ行くかは当番制となっているそうだ。これだけ出張が多いとなかなか大変だろうな。

「アキト先生!どうしたらいいでしょうか!」

 エルゴートは熱いまなざしで俺を見る。そんな目で見られてもなぁ……。

 分析能力でエルゴートのステータスを確認する。精力……じゃなかった、この場合”強さ”が精力に該当するのだろう。

◇ ◇ ◇
エルゴード レベル23 魔法使い 
180センチ  体重 80キログラム 28歳 カガモン帝国 皇帝
強さ:30 器用さ:42 賢さ:108 魔法威力:121、ボーナス:56
◇ ◇ ◇

 確かに”強さ”が足りないな。ボーナスを全て”強さ”に振っておこう。

「手を出して……今から少し俺の力を分け与えてあげよう。俺のことを信じろ。条件はそれだけだ」

 などとエルゴートに吹き込み、手を重ねてまじないを行うふりをして、ありがたみを持たせた。

「お、なんだか力がみなぎっているようだ、ありがとうアキトさん。今晩さっそく挑戦させてもらおう」

 その後は酒を飲みつつ、下ネタやらこれまでの武勇伝を聞かせてもらいながら、お下品な男子会は大盛況のまま幕を閉じ、次回はエルゴートの報告会を酒のツマミに集まることとなった。こんなバカなことを言いあえる友がいるのもいいものだ。
しおりを挟む
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい(小説家になろうへのリンク)続きは小説家になろうに掲載しています

異世界に呼ばれて来た25歳DTの俺はキャバ嬢風の闇主様にすべてを捧げたい
ストーリー:「え!?勇者的活動NG? 誰かを救おうなんて、思ってないですよ」
  
転移した異世界で闇主様からチート冒険者やうざい2頭身アニマルの排除を任された主人公の25歳童貞野郎。
 
 その途方もない目的達成のご褒美はなんとキャバ嬢のような盛り髪のセクシーな闇主様みずから、卒業のお相手をしてくださるとか!? 
 
対人最強チート魔法と超破壊力の万能バットを駆使しながら、脱童貞を夢見つつ、あてもない異世界ブラック紀行が今始まる。
感想 24

あなたにおすすめの小説

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...