チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

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第1章

第百十五話 転移魔法陣

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 ザイン城の広い浴槽で泳いだり、床をスライディングして滑ったりして子供みたいにはしゃぎまくった俺たちだった。

 部屋に戻り、防音効果のある極私的絶対王国(マイキングダム)で部屋全体を覆い、何回戦かのあと、カラルが語り始めた。

 自身の髪の色とその力。仲の良かったアールマーとの思い出。竜魔族の侵略。アールマーによる力の封印。選別日のこと。父との確執から国を出るまでなどをカラルは淡々と話した。

「ま、今となってはどうでもいいは話なんだけどね……、おもしろくない話でしょ?」

 俺は首を横に振った。話を聞いていると本当にカラルは兄から愛されていた。だからこその力の封印だ。

 最後にカラルはこう締めくくった。

「兄が生きているのならば、それほどまでにわらわを行かせたくなかった理由を聞きたいわ」

そんなのは聞かなくても分かっているはずだ。愛しているから、大切に思っているから、死地にいくようなことに妹を行くのがアールマー自身が耐えられなかったはずだ。それでも直接その言葉を本人から聞きたいのだろう……。

「いいよ。探しに行こう」

「え?」

「話を聞いている限りはカラルのことを愛してくれた良い兄さんじゃないか、俺も会ってみたいよ」

「ええ、ですが……」

「時間(寿命)ならたっぷりあるし…」

 もじもじしていたから強引に口づけをして何も言えないようにする。

「俺はカラルといろんな世界を見に行きたい……」

2人でしばらく見つめあう。

「んもぅ、強引なんだからぁ」



 エルゴートをカガモン帝国の首都に迎えに行く日。転移魔法陣の設置場所の確認もあるため、カラルを連れて行く。異世界転移魔法陣で一瞬でカガモン帝国メイバールの上空に出る。

 極私的絶対王国(マイキングダム)でゾンヌフの居場所を確認すると城の中にいるようで、あれやこれやと指示を出している。観察を続けているとゾンヌフだけではない城全体があわただしく動き回っているようだ。

 声だけを届ける。

「おーす、ついたぞ。どこに行けばいい?」

「アキトか?そうだな、まずは転移魔法陣の設置の場所についてだが、大通りのギルドに設置しようと思うのだが、どうだ?」

「いいだろう」

「ギルド長のガインという丸坊主の男に話を通してある」

「そいつに言えばいいんだな、設置しておくよ」

「こちらもこれから城を出る。ギルドで落ち合おう」

「カラル、仮面を二つ用意してくれ、それと箱魔法を擬態してくれこのまま街に下りる」

 そう言って俺はフード付きのマントを渡す。

「はい」

 出された仮面をつけ、マントをかぶり箱魔法のまま城壁の内側に着地する。それから歩いて大通りのギルドに入った。

 受付の獣人娘に声をかける。

「ギルド長はおられるか?」

「お約束ですか?」

「ああ、宰相からの件と伝えてくれ」

「はーい」と、言って、事務所に入っていった。

 しばらくすると二メートル近い巨体のおっさんがでてきた。

「おう、話は聞いている。よろしく」と、言って握手を求めてきたのでがっちりと握手を交わす。

「早速だがあの部屋に設置を頼む」

「ああ」

 エソルタ島の方はカノユール王国のザインにある。広場に設置していたが、移設も可能だ。前までは空間魔導士を配置して、術を発動させる予定だったが、カラルの能力が格段に上がったので、モンスターコアだけを地中に埋め込むだけで、一日のうち数時間の転移魔法陣の発動が可能になっている。定刻になると起動する仕組みになっている。

 設置する部屋で作業すること三十分ほどで転移魔法陣が発動する。壁に現れた魔法陣に手を入れてみると向こう側に突き抜ける感覚……。俺も通れるのかな?

 前回は力の強い俺は通り抜けることができなかったのだが、カラルの封印が解けて、俺より強いということになるのだろう。ザインの広場に行ってまたギルドに戻る。

 戻ると部屋の外が騒がしくなっていた。宰相のゾンヌフとマントを頭からかぶった皇帝が四人の護衛をひきつれてギルドに来ていた。こちらに気づいたゾンヌフが手をあげる。

「よう、アキ……むぐぅ」

 仮面姿の俺を見たとたんに名前を呼ぼうとしたので極私的絶対王国(マイキングダム)で文字通り口止めして、下手に出て近づく。

「宰相、お久しぶりでございます」

 特に護衛にも怪しまれることはなかった。

「ごほん、して状況はどうだ?」

「ははっ。あちらの部屋にてすでに発動しております」

「よし、ご苦労であったな」

 俺とカラルは一礼をして下がった。

「ギルド長をこちらに」

 のしのしとゾンヌフの前にやってきて首を垂れる。

「はい!」

「魔法陣の管理を頼むぞ。本日から数日間は軍関係のものがギルド内を出入りをして迷惑をかける。以後の冒険者の通行料の件については先日話した通り実施せよ」

「ははっ」

 通行料を取ってギルドに管理させる。なるほdp宰相であるゾンヌフは的確な指示だな。

 魔法陣のある部屋にゾンヌフ、マントをかぶった皇帝、護衛と俺とカラルが入る。まずはカラル先導しが通過する。続いて護衛が通り、戻ってきて安全なことを報告する。ゾンヌフと皇帝が入り、二人の護衛を残し最後に俺が通りに抜ける。

 魔法陣が展開されている広場には先ほどはいなかったソフィア、マアヤ、ルーミエ、ユウキ、レイラの全員でお出迎えだ。みんな綺麗に着飾ってゾンヌフに挨拶をする。護衛はそのまま広場で魔法陣を護衛の役目で待機することになった。

 近くの元レストラン兼ホテルだったところに入り、皇帝はマントを脱いで全員に挨拶をする。

「お久しぶりです。ソフィアさん、マアヤさん」

 顔をくしゃくしゃにしながら二人の手を握った。気を遣い俺はその場を退席する。続いてゾンヌフも出てきた。

 宿屋の壁にもたれかかりゾンヌフは俺にこれからのことを告げる。

「これからこの街に軍隊、冒険者と移民希望の者をどんどん流し入れるぞ」

「ああ、頼む。現状はこのザインだけが奪還できた状態で、後の街は捕らわれた人たちを救い出した後、また占領されているという設定だ」

「ここがスタート地点ということか」

 レイラとカラルも外に出てきた。

「カラルこの街の環境を詳しく説明してやってくれ」

「はい、今エソルタ島全土は冒険者育成島と化しています。どの街でも近づくほどモンスターは強めにしています。地上ではその土地の特色に合ったモンスターを配置していますし、街一つに対して塔か地下迷宮を用意して、最終ボスにも魔人なども配置しているところもあります。ダンジョンに関してはイメノア王国側の王都ワースルに最大最強のダンジョンを配置しており、そこが攻略されればエソルタ島は奪還となります」

「最終目的地はワースルか……聞いているだけでも攻略にはかなりの時間がかかりそうだな」

「ああ、そうだ。もうすでに攻略が目的ではなくなっているからな。完全奪還に関しては数年単位では考えていない。冒険者たちの目的となる財宝も充分に用意している。彼らがやってきて、必要な食料、道具、武器、防具、宿屋、酒場に金を使う。そしてそれを目当てに集まるギルド、商人、農民、住人。やがて生活する人々の子供たちが生まれ、学校や治安維持のための警備兵が必要なってくる。そういったすべての生活の歯車が回り始めることで五十年、百年先に活気ある島になると俺は思っている」

「確かにな……付け焼き刃では意味をなさないからな。よくわかったよアキト。カラルさんありがとう。さあて、今日からまたバリバリ働こうか!」

 そういってゾンヌフは大きく伸びをした。
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チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい(小説家になろうへのリンク)続きは小説家になろうに掲載しています

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