チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

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第1章

第九十九話 イメノア王国ワースル そのニ

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 王都ワースルまでの道中はこれから始まる戦いのことを考えているのか、みんなの口数が減り、空気が重い。少しでも雰囲気を変えようと思い隣にいるゾンヌフに話しかけた。

「ところで、陛下の嫁さん候補は見つかりそうなのか?」

「今その話をするのか?頭の痛い話だな……。先日の仮面舞踏会はいい息抜きができのだが、やはり遊びの場だからな。王妃候補となる方を見つけるところではないよな」

「ふーん、大変だな」

 ゾンヌフが顔を近づける。

「大変といえばお前のほうだろう?四人の嫁が浮気現場に突入してきて、どう釈明しても血の雨だったんじゃないのか?」

「実際、あの時俺は何もしていなかったんだよ。相手の女の子に幻影を見せて、そういうことをしましたっていうことにして帰したんだよ」

「あの連れ込んだ女性は気に入らなかったのか?彼女は高位の貴族の娘で、お高くとまっていて、誰にもついていかないという話でな。見た時はまた難しい女に目をつけたなーなんて思っていたんだがな」

「俺の相手まで把握していたのかよ」

「まあな、主催者としては当然だ。それぐらいできないと政(まつりごと)の世界では生きていけんぞ。……それにしても密室の出来事をどうやって証明できるんだよ」

「それが……」

 幻惑のイヤリングというアイテムについて説明をする。相手に幻影を見せて帰らせたのだが、イヤリングの持ち主であるカラルはそこから何が起こったのか読み出せるということを説明した。

「……なんとも恐ろしい話だな」

「素敵な子だったけど、やっぱり嫁の顔が浮かんで、そんな気持ちになれなかったよ。なんだかんだ問い詰められて冷や汗をかいたが、雰囲気は楽しめたかな」

「無事で何よりだったよ。それで陛下のお相手なんだがな……誰かおらんか?」

「一介の冒険者にそんなこと聞くなよな~」

「まったく王女ニ人を娶っておきながら、よく言うよ。お前と結婚してなければ申し分ないお相手だったのだがな……」

 そんなこと言いながら王都までやってきた。

 イメノア王国、王都ワースルは山の中腹より少し低いところに平野部があり、そこに城を中心とした城下町が築かれている、裾野に広がる山の斜面にも家や店などの建物が並ぶ。街の近くには大きな湖があり。その湖面は穏やかで波が立っておらず鏡のように反射している。

 街を見下ろすと巨大なドラゴンが警戒するように数匹旋回している。

 さて、どうやって攻略するかな……これまでの戦いを思い出す。

 街の上空から攻撃したこともあったが、居場所が魔人にばれて、戦うことになったことと、できるだけ現地に近い方がいいということで山の中の地中に潜伏して攻撃することにした。

 街の中も含めて、周辺もモンスターだらけだったが、森の中は比較的少なく、気付かれずに山の斜面に降り立つことができた。そこからカラルのダンジョ生成製能力を使って、地中に穴を掘り突き進んでいく。ニ十畳くらいのスペースにテーブルとソファを並べワースル攻略のための基地が完成した。

 続いてカラルと手をつなぎ、ダンジョン化した極私的絶対王国(マイキングダム)でワースルの街を全て覆い、戦術管制画面(タクティクスコンソール)で敵の位置を点で映す画面、統計情報画面と俯瞰視点からの中継画面の三つを映し出す。

 まずは生存者の確保だ。その人数はおよそ五百人。五つの王都内にある学校で捕虜となっていて、食料供給のための農作業を校庭でさせられているようだ。

 カラルに生存者がいるそれぞれ施設の地下に空間をつくってもらいつつ、学校内のモンスターたちを”絶命”で倒していく。周囲に気づかれること無く、モンスターを殲滅することが出来た。

 そして最後に生存者に極私的絶対王国(マイキングダム)で操り、地下室と地上を階段でつなげてに降りてくるように命じて避難させる。

 地下室で待っている生存者たちに、声を届けて、しばらくそこで待機しておくように伝えた。

 多少の混乱はあったものの、全ての生き残った人々の確保が完了したところで、地下室への入り口を閉じてしまう。

 これで唯一の心配だった、生存者の確保が完了した。

 魔人の位置を確認する。城の中に五体いるが、集まっているわけでもなく個々で行動しているようだ。他の四体も街の中をうろうろしているだけだった。

 魔人たちは生存者を地下に逃したことにまだ気づいていないようだ。生存者を探すようなそぶりがあれば、派手にモンスターを倒したり、上空を旋回しているドラゴンを撃墜して街に落として、混乱させてやろう。

 魔人一体ずつの身体的特徴を確認する。全て男でこれまで倒してきたことのある、戦士タイプのようだ、魔人の世界で”魔法騎士”や”魔導士”といった魔人の上級版はいない。

 一体が何やら周りに誰もいないのに話をしているので音声を拾う。

「……現在ワースルに全員集合完了しました、転移魔法陣の供物用の人間は確保中です」

 一体誰と話しているのだろうか?戦術管制画面(タクティクスコンソール)を注意深く見てみると指輪に話しかけている。

「カラル……あの指輪は地脈通信用か?」

 画面いっぱいに指輪を拡大して映しだす。

「いいえ、地脈用ではありません……ひょっとすると魔人の世界と通じる異世界通信用かもしれないわ。アキト様、できればあの指輪を手に入れてください」

「わかった、やってみるよ」

 会話の内容から生存者の命を使って転移魔法陣の開通時間を短縮するような内容だった。避難させておいて正解だったな……。

 こちらの事前の準備は無事完了した。さあ、始めるか!

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チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい(小説家になろうへのリンク)続きは小説家になろうに掲載しています

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