チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

文字の大きさ
上 下
23 / 182
第1章

第二十三話 カムラドネでのびりんぐ

しおりを挟む
 悪魔の塔攻略の翌日、朝食前に一仕事する。

 日の出前にレイラに起こされ、色々とイベントが発生して、確認を後回しにしていた”新しい機能が追加されました。スキャニング能力”というログについて試してみる。

 この世界の暖かい配慮もそっちのけだったが、大変ありがたいと思っています。「世界よ!ありがとう」と、感謝の気持ちを表し、祈りのポーズをとった。

 屋敷の二階から隣の家を凝視するとAR表示でリストが浮かび上がる。

 建物内にいる人の名前、性別、職業、レベル、死亡可能残数、存在フロアが表示され、項目名をタップすると並び替えが行われる。それに集計用ページもある。人種ごと合計や性別合計などの人数が表示されている。これは便利だ!!

 続いて記録石(キロクセキ)の修正を行う。今回の悪魔の塔を冒険者もろともに破壊したため、全て無かったことにしたい。見つかると犯罪者扱いになる可能性が高い。

 記録石(キロクセキ)の討伐一覧を見ると、双子の悪魔の姉のウルム、妹のネイズの名前を始め、モンスターのみが表示され、冒険者らしき名前は一つも無かった。おそらく教会へ送られているのでカウントされていないものと勝手に解釈する。

 戦利品には冒険者が使っていた武器などが入っているが、特に目新しいものはなく、他人の持ち物を売ると足が付くかもしれないので不要であれば破棄しようかな。



 朝食の時にレイラからのプロポーズがあったことと、俺がそれを受け入れ、二人が婚約することをみんなに伝えた。
 どうやら事前にレイラから事前に話がされていたようで、みんな納得しているようだ。
三人からお祝いの言葉をもらい、レイラが答える。

「みんなありがとう。でもアキトは私だけのアキトじゃなくて、みんなのアキトだからね」

……ん?

「レイラ、一体どういうこと?」

「え~とね、アキトにプロポーズする前にみんなと約束したんだ。私は先にプロポーズさせてもらうけれど、みんな後からでも告白してもOKだよっていう協定を結んでいるの」

 そんな協定成立しちゃってもいいの?レイラと結婚するけど、ルーミエとユウキとノイリにその気があれば嫁にすることが可能ということか。この世界の結婚の観念が分からないが、みんなそれを受け入れているようだ。一夫多妻制バンザイ!

「レイラはそれでもいいのか?」

「うん、みんな仲間だからね、私はアキトと同じくらい三人のことも好きなんだよ。だからこれまで通り三人と接してね」

 憧れの一夫多妻を叶えることになるとは思わなかった。異論もなく俺は受け入れる。
それでも本人たちの気持ちも大切だし、これまで通りに接することにしよう。

 今日の予定はレイラのご両親に挨拶と昼からルーミエの剣技を教えてもらう。の二本立てで、まったりしている。

 この二週間にエスタ防衛戦、エスタからカムラドネへの移動、悪魔の塔の攻略とハイスピードでイベントが発生している。そして極めつけは嫁までできてしまったことだ。

 めまぐるしく変化しているため、ここらでちょっとのんびりさせてほしいと四人に願い出た。

ルーミエとユウキも「ここからは先を急ぐ旅ではないので、休養を取ってカムラドネでゆっくりしましょう」と、提案を受け入れてくれた。



 お昼前にレイラの両親に結婚のお許しをもらうため、実家を尋ねる。そのままの服装でいいのと、結納の品として小刀を献上することになっているそうで、エスタの防衛戦の時に得たオリハルコンの短剣を渡すことにした。

 短剣を献上する意味をレイラに聞いたところ、娘と別れることがあれば、この短剣であなたを殺しますよ。と、いうことらしい。何それ、超こわいんだけど……。

 両親にお会いして、「お嬢さんをください」的なことを伝え、お昼を一緒に食べながら、これからのことを伝えた。

 どのような経緯(いきさつ)で結婚することになったのか聞かれた。内緒にしてほしいと前置きしてから、悪魔の塔を破壊したのは俺でレイラの命を救った恩人だとレイラは強く両親に伝えてくれた。

 両親にはいつかレイラを救ってくれる可能性がある人が現れるという神託が出ていたことは伝えていたので、いきなり現れたどこの馬の骨ともわからない俺のことを温かく受け入れ、結婚も認めてくれた。

  最後に「娘を幸せにしてください。よろしくお願いします」と、お願いされ「わかりました」と、伝えご両親二人と固く握手を交わし、レイラ実家を後にした。



 午後からルーミエの剣技を教えてもらう。

「教える前にアキトの実力を見るために木刀での模擬戦をしようか」

 木刀を持って身構える。

 最初に森の中で見たルーミエとユウキの動きを思い出す。ルーミエは視界から消えるほどの移動速度持っているが、俺にそのスピードが見極められるだろうか……。


 肩幅ほどに足を開き、少しつま先立ちでいつでも動ける状態を作り、ルーミエを注視する。

「いくよ……」

 ルーミエの体が左へ揺れ、沈み込む。前のめりになり、こちらへ木刀を突き出し直進してくるのがわかる。

 一撃目を木刀を受け止めると、ルーミエは少し驚いた顔をしたが、すぐに攻撃を重ねてくる。

 一撃一撃が木刀とは思えないほど重たい。”強さ”によるチートのお陰で、なんとか受けきれている。

 防いだ木刀が次の瞬間には、別の所を攻撃してくる。木刀は一本しかないのに、まったくどうなっているんだろうか。舞うようなルーミエの連続攻撃が止まらない。攻撃を返す隙を伺うが、反撃は無理だった。

 しばらく続いた連続攻撃はとまり、ルーミエは距離を取った。

「はい、おしまい……」

 じんわりと汗ばんだ彼女が褒めてくれる。

「すごいね、アキト。全部防いじゃうなんて」

「いや、防ぐだけで精一杯だったよ。見ていると型があるように思えたのだけど……どこで修得したの?」

「これはエソルタ島に伝わる王国の剣技なの」

 懐かしそうに語るルーミエ。

「私が幼い時にね、剣技の踊るような動きを真似していたら、お父様とお兄様に教えていただいのが始まりだったかな……。筋がいいなって褒められて、それが嬉しくてね。兵士の方と一緒に訓練を続けていたら、お料理なんかよりも剣技の方が得意になってた。お母様は笑って諦めていたわ。
 今ではたくさん教えてもらったこの剣技がお父様やお兄様との思い出なのよ」

 そして夕方近くまで剣の基礎を教えてもらった。

 その日の夜。

 お酒も控えめにして、自室にて早々に寝る準備をする。一人で寝るなんて、エスタでの教会以来じゃないかな?みんなと寝るのも楽しいが、考え事をする時間も結構好きだ。

 部屋の行灯(あんどん)を消し、仰向けになり天井を見る。この世界には電気がないため、みんな寝るのが早い。暗闇の中、うとうとしているとコンコンと、ドアがノックされ、開けるとレイラが枕を持って立っていた。

「……一緒に寝てもいい?」

 断る理由はどこにもない。ドアを広げて中に入るよう促した。ベッドに枕を抱えてちょこんとすわったレイラ。隣に俺も座る。

 窓からは月の光が差し込んでいる。

「レイラと結婚できるなんて本当に幸せに思っているよ」

「私もアキトと一緒なら何も怖くないよ。でもね……巫女はこの街を出て旅をすることは禁じられているの。巫女の能力がある限り、アキトと一緒に旅ができないんだよ。今日は、私のすべてをアキトに知ってほしくて……」

 そうか、巫女ともなれば厳しい制約があるんだな。

「わかったよ」

 長い長い口づけの後、二人は初めての夜を過ごした。それはとても甘美な夜だった。



「なあ、レイラ。俺、この世界の人間じゃないんだよ」

「そうなんだ」

「あまり、驚かないんだね」

「うん、アキトのことは何があっても不思議じゃないと思っていたからね。どんな世界だったの?」

「この世界とは違って、魔法がなくてモンスターがいない世界。優しい両親がいて、俺はそこで普通に大きくなった。勉強して、友達と遊んで、恋をして、失恋して、立ち直って……。命の危険を感じることが無かったし、幸せな世界だったのかもしれない」

「帰りたいって思う?」

「そうだな、家族には一言挨拶しておきたかったかな。向こうの世界では最後、俺は死んでいることになっているから多分両親は悲しんでいると思う」

「それは寂しいね」

「うん。それだけが心残りかな。でも今のこの世界は俺の憧れでもあったし、この強すぎる力を最大限に生かして、レイラやみんなと楽しく生きていけると思うと家族との別れを差し引いても本当に幸せだよ」

「ありがとう。……でも一つ聞いてもいい?アキトの前の恋人の話、参考までにちょっと聞かせてよ。どんな女の子だったの?」

「どんなといわれてもなぁ。三年くらい付き合いだったかな。見た目も性格も普通の子だった……。十六歳の時かな、その子と付き合うようになって、二人でいろんなところへ遊びに行ったなぁ」

「あら、いい思い出ね。どうして別れちゃったの?」

「結構えぐってくるな……」

「いいじゃない、私、だいぶ嫉妬してるんだから、ここまで来たら最後まで話してよ」

「なんで別れたのかな……。付き合いが長くなって、学生だし、結婚できる年齢でもなかった、それでお互いの嫌なところが見え始めて、別れたって感じかな。まあちょくちょく連絡は取り合っていたから、もしかしたら、付き合って、別れてを繰り返して最後には結婚していたかもしれないかも……」

 レイラは聞いて置きながら機嫌が悪くなってきたようで、話題を変えた。

「じゃあ私と結婚してどういう風に思っているの?」

「良かったと思っているよ。料理は上手だし。こんなにかわいい奥さんいないよ。もしあっちの世界で出会っていたら、多分俺は相手にされないって思ってレイラに声を掛けてないよ」

「ふふふ、ありがとう。アキト」

 その後、レイラに回復魔法をかけてもう二回戦ほどありました。
しおりを挟む
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい(小説家になろうへのリンク)続きは小説家になろうに掲載しています

異世界に呼ばれて来た25歳DTの俺はキャバ嬢風の闇主様にすべてを捧げたい
ストーリー:「え!?勇者的活動NG? 誰かを救おうなんて、思ってないですよ」
  
転移した異世界で闇主様からチート冒険者やうざい2頭身アニマルの排除を任された主人公の25歳童貞野郎。
 
 その途方もない目的達成のご褒美はなんとキャバ嬢のような盛り髪のセクシーな闇主様みずから、卒業のお相手をしてくださるとか!? 
 
対人最強チート魔法と超破壊力の万能バットを駆使しながら、脱童貞を夢見つつ、あてもない異世界ブラック紀行が今始まる。
感想 24

あなたにおすすめの小説

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...