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007 なんでこいつらばっかり
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宿の布団は綺麗で、ふかふかして気持ち良く眠ることができた。おかげで朝から頭がスッキリしている。
宿での朝食も結構なボリュームでお腹いっぱいになった。今日は一日狩りをして、資金をためるぞ。
朝食を食べて、宿を後にする。
昨日、唐揚げを買ったお姉さんの露店の前を通る。揚げ物のいい匂いにつられ、千Gで弁当を購入してしまった。
「また来てくださいね~」
と、お姉さんは手を振ってくれた。
これで手持ちは三百二十二G……。もうあとはない。
町を出て少し歩いて、森に入る。うねうねと続く狭い道を歩いていると羊戦士に出会った。
体長はおよそ八十センチ、二足歩行の二頭身の羊戦士。口はツンとすましていて、大きくかわいらしい目でまつげが長く、顔は人間らしくほっぺたがふっくらとしてる。
体を覆うもこもことした薄いピンク色の毛皮に頭の上には垂れた耳とクリッと巻いた角がちょこんと生えている。体格とは不釣り合いなロングソードを持っている…。
同じようなことを昨日も思ったっけ……。またこいつかと思いながら少し観察してみた。
羊戦士はきょろきょろしながら、時には茂みの中をロングソードで、がさがさとつつきながら何か探しているようだ。
ようやく俺に気づいたと思ったら、ニカっとした笑顔で道を譲ってくれた。
おや、襲ってこないのか?俺は何か裏があるのでは無いかと思い、恐る恐るその脇をすり抜ける。通り過ぎる時に無駄だと思いつつも声を掛けてみた。
「ここで何をしている?」
「メェメェェェェェ」『仲間の手掛かりを探しています』
通じてた。しかも返事が戻ってきた。羊戦士が言っていることが翻訳されて視界の端に文字として映し出された。
無意識に羊戦士に聞き返していた。
「仲間がどうしたんだ?」
「メェメェェメェェェ」『昨日この近くの牧場に住んでいた仲間が連れ去られました』
「ああ、ヨウちゃんだっけ?」
ん!?……あっ!しまった。羊戦士と話せたことに驚いてしまって思わず口を滑らせてしまった。
「メェメェ?」『何か知っているのか?』
「いや……。別に……」
「メェェェ。メメェ!!」『怪しいな!教えろ!!』
そう言ってロングソードを突き付けてきた。
ごちゃごちゃうるせえな。
分析能力で見ると名無しだったので野生の羊戦士なんだろう。突きつけられたロングソードを万能バットで跳ね上げる。俺はそのまま回転しながら、隙のできたどてっ腹に向かってアッパーでフルスイングする。
その体は真上に三mほどの放物線を描き、地面に落ちるがモコモコの毛皮のおかげで何度か弾んだ。
羊戦士がうつ伏せでうめいている。
「メ゛ェ゛ェェェェェオエエエエエ」
うずくまっているところを踏みつけると、HPバーの黄色手前の緑部分で止まった。
テイミング、実行。……はい、かかりました。
昨日の奴とは違い、野生の羊戦士はカバン型のアイテムボックスなどは持っていなかった。
「立ち上がってロングソードを渡せ」
と、俺は命令する。
羊戦士の発言は意識しない。何を言っているのかは見ないことにした。
「メェ」
涙目の羊戦士はおずおずとロングソードを差し出した。受け取ってアイテムボックスにしまう。代わりに短剣を渡してそれを使ってお前も戦えと命令する。
「メッ」
「返事が分かりにくい!こうしろ!」
敬礼の動きを教える。
「わかったか!」
「メェッ!」
やらせておいて言うのもなんだが、動き自体がムカついた。そうか、存在自体が嫌いなんだな。
宿での朝食も結構なボリュームでお腹いっぱいになった。今日は一日狩りをして、資金をためるぞ。
朝食を食べて、宿を後にする。
昨日、唐揚げを買ったお姉さんの露店の前を通る。揚げ物のいい匂いにつられ、千Gで弁当を購入してしまった。
「また来てくださいね~」
と、お姉さんは手を振ってくれた。
これで手持ちは三百二十二G……。もうあとはない。
町を出て少し歩いて、森に入る。うねうねと続く狭い道を歩いていると羊戦士に出会った。
体長はおよそ八十センチ、二足歩行の二頭身の羊戦士。口はツンとすましていて、大きくかわいらしい目でまつげが長く、顔は人間らしくほっぺたがふっくらとしてる。
体を覆うもこもことした薄いピンク色の毛皮に頭の上には垂れた耳とクリッと巻いた角がちょこんと生えている。体格とは不釣り合いなロングソードを持っている…。
同じようなことを昨日も思ったっけ……。またこいつかと思いながら少し観察してみた。
羊戦士はきょろきょろしながら、時には茂みの中をロングソードで、がさがさとつつきながら何か探しているようだ。
ようやく俺に気づいたと思ったら、ニカっとした笑顔で道を譲ってくれた。
おや、襲ってこないのか?俺は何か裏があるのでは無いかと思い、恐る恐るその脇をすり抜ける。通り過ぎる時に無駄だと思いつつも声を掛けてみた。
「ここで何をしている?」
「メェメェェェェェ」『仲間の手掛かりを探しています』
通じてた。しかも返事が戻ってきた。羊戦士が言っていることが翻訳されて視界の端に文字として映し出された。
無意識に羊戦士に聞き返していた。
「仲間がどうしたんだ?」
「メェメェェメェェェ」『昨日この近くの牧場に住んでいた仲間が連れ去られました』
「ああ、ヨウちゃんだっけ?」
ん!?……あっ!しまった。羊戦士と話せたことに驚いてしまって思わず口を滑らせてしまった。
「メェメェ?」『何か知っているのか?』
「いや……。別に……」
「メェェェ。メメェ!!」『怪しいな!教えろ!!』
そう言ってロングソードを突き付けてきた。
ごちゃごちゃうるせえな。
分析能力で見ると名無しだったので野生の羊戦士なんだろう。突きつけられたロングソードを万能バットで跳ね上げる。俺はそのまま回転しながら、隙のできたどてっ腹に向かってアッパーでフルスイングする。
その体は真上に三mほどの放物線を描き、地面に落ちるがモコモコの毛皮のおかげで何度か弾んだ。
羊戦士がうつ伏せでうめいている。
「メ゛ェ゛ェェェェェオエエエエエ」
うずくまっているところを踏みつけると、HPバーの黄色手前の緑部分で止まった。
テイミング、実行。……はい、かかりました。
昨日の奴とは違い、野生の羊戦士はカバン型のアイテムボックスなどは持っていなかった。
「立ち上がってロングソードを渡せ」
と、俺は命令する。
羊戦士の発言は意識しない。何を言っているのかは見ないことにした。
「メェ」
涙目の羊戦士はおずおずとロングソードを差し出した。受け取ってアイテムボックスにしまう。代わりに短剣を渡してそれを使ってお前も戦えと命令する。
「メッ」
「返事が分かりにくい!こうしろ!」
敬礼の動きを教える。
「わかったか!」
「メェッ!」
やらせておいて言うのもなんだが、動き自体がムカついた。そうか、存在自体が嫌いなんだな。
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