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第十八章 バカンスも終わって
581.住む前の問題-②
しおりを挟む「カティアが来てもダメか」
「事前に来るのがわかっててもでしょ? むしろ、余計に暴走してない?」
「そうだな。さっさと叩き起こしてくる」
「待った待った~。カティアも連れてってー?」
「は?」
「なんでですか!?」
「蒼の世界の読み物であったじゃないー? 寝ている相手の口付けで目覚めさせるって言うの」
「性別逆じゃないですか!?」
「愛する者同士は間違ってないじゃない?」
なんか色々ごちゃ混ぜになってやしないだろうか!?
と言うか、人前でキスをしろと!?
ぶんぶん首を振っていると、フィーさんはさっとクラウを奪って僕をサイノスさんに預けた。
「フィーさん!?」
「援護はするから行ってらっしゃい?」
「字面!? 絶対面白がっていませんか!?」
「間違ってはいない!」
「ちょっと!?」
「……とりあえず行くぞ」
「サイノスさんぅう!!」
仕方ないと言っておきながら、あなたの表情苦笑いですけど!? 絶対面白がっていませんか!!
飛んでくる家具は魔力が刻まれると普通は所有者以外動かせないはずなのに、ヒュンヒュン飛んでくる。あ、セヴィルさんが持ち主だから動いて当然?
サイノスさんの結界で僕とかには当たりはしないけど、目的地のベッドに向かえば……セヴィルさんはそれはそれは静かに寝ていらっしゃいました?
この惨状なのに、よくそんな寝顔でいられるなあ!?
「とりあえず、結界を二重に張るがゼルには触れられるようにはしとく。フィーの提案通りやってみろ」
「そんな無茶な!?」
「頼む。それで起こせるんならこっちとしても助かるんだ」
「いつもはどんな?」
「魔力が落ち着くまで、こいつらを殴っては落としてた」
「ひぇ」
それはめちゃくちゃ疲れるし危険だ。
ずっとは言え、サイノスさんがそこまで苦労されているのなら……背に腹はかえられぬというし、やるだけやってみよう。
サイノスさんに頷いてから結界を二重に張ってもらい、ヒョイッとセヴィルさんのベッドに投げてもらった。家具とかが飛んでこないか心配だったが、とりあえず大丈夫だったので……人前だけど、女も根性だ! とセヴィルさんの唇にムニッと自分のを押し付けた。なんかファーストキスより緊張するし、恥ずかしいんですけどぉ!?
「……カティア?」
ちょっと息苦しくなったので離れた瞬間には、セヴィルさんは起きてた。めちゃくちゃ真っ赤な顔をして。
つまりは、これ大成功?
「おー、うまくいった!」
「ふゅふゅ!(出来たー!)」
「こりゃ、同室決定だなあ?」
外野はワイワイ言っているけど……毎朝これをするのは僕らの心臓が保ちましぇん!!
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